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518 陽だまりの残り香と、夜の静寂
チャリオットが淹れてくれたお茶の香りが、リビングにゆったりと広がっていく。
俺はソファーに深く腰を下ろし、窓の外を眺めた。
そこには、昼間に干した洗濯物が月明かりに照らされ、夜風に静かに揺れている。
「麗人さん、お茶が入りましたよ。今日は本当に充実した一日でしたね」
リッカが隣に座り、温かい湯気が立つカップを差し出してくれる。
「ああ。畑を耕して、収穫して、洗濯もして……。特別なことは何もないはずなのに、不思議と満たされた気分だよ」
俺たちは、テレビから流れる穏やかな番組の音をBGMに、今日一日の出来事を思い返した。
昼間の太陽の熱を吸い込んだ洗濯物からは、今もかすかに「お日様の匂い」が漂ってくる。
こんな感じに毎日が過ぎ去っていく。
俺や家族たちが築き上げてきた毎日。
日常生活、これらはなににも変えられない確かなそしてそこにある日常なのだ。
だからこそ俺はそれを大切にしたい。
そう心に命じた。




