510 穏やかな朝の食卓と、日常のしあわせ
朝の柔らかな光がリビングダイニングに差し込み、キッチンからは炒めた野菜の香ばしい匂いが漂っています。
俺は手にした木べらを使い、鍋の中の具材を最後の一混ぜしました。
人参、キャベツ、玉ねぎ、そしてこま肉。
自分たちの手で用意した食材が、温かな湯気を立てて完成の時を告げています。
「よし、できたぞ。二人とも、手伝ってくれ」
俺の声に、チャリオットとエリクスが素早く動きます。
「御意に、女神様。わたくしがスープを盛り付け、食卓を整えましょう」
チャリオットは洗練された手つきで、白い陶器の器にスープを注ぎ分けていきます。
「兄貴、俺はパンを運ぶぜ! 焼きたてだから熱いぞ!」
エリクスが大きなバスケットに山盛りのパンを載せ、テーブルへと運びました。
リビングに集まってきたリッカや子供たちと一緒に、俺たちは椅子に座ります。
木製のテーブルには、湯気を立てる料理と、家族の笑顔が並びました。
「「「いただきます」」」
声を合わせて食事を始めます。
自分たちで切り、炒めた料理を口に運ぶ。
ただそれだけのことですが、この世界でのスローライフにおいては、何にも代えがたい贅沢な時間です。
「おいしい! 玉ねぎがとっても甘いわ」
リッカが微笑みながら、ゆっくりと味わっています。
「本当だ、パパりん天才!」
マチルダたちも、口いっぱいに頬張りながら喜んでいます。
賑やかだった食事も終わり、心地よい満腹感に包まれました。
しかし、食事は「ごちそうさま」で終わりではありません。
「さて、片付けまでが料理だ。エリクス、食器を運ぶのを手伝ってくれるか?」
「おう、もちろん。チャリオット、俺たちが運ぶから洗い場は頼むぜ」
俺たちは協力して空いた皿をキッチンへ運びました。
チャリオットが手際よく食器を洗い、俺は最後に、家族の団らんを支えたテーブルに向き合います。
ふきんを手に取り、木目の美しいテーブルを丁寧に拭き上げます。
パン屑を払い、水滴を拭い去ると、テーブルは再び朝の光を反射して静かに輝き始めた。




