501 朝を迎える
窓から差し込む柔らかな光が、寝室の床をゆっくりと照らしていく。
俺は心地よい眠りから覚め、隣で穏やかな寝息を立てるリッカの横顔を眺めた。
「……ん、麗人さん。おはようございます」
リッカがまどろみの中で俺に気づき、そっと微笑む。その柔らかな表情を見るだけで、今日という日が素晴らしいものになると確信できる。
「おはよう、リッカ。身体、冷えてないか?」
俺が気遣うと、彼女は俺の腕に寄り添い、「大丈夫ですよ」と小さく頷いた。
ベッドを抜け出してリビングへ向かうと、そこには既に銀色の毛並みを輝かせたメセタが待機していた。
「おはようございます、我が主。今朝の空気は澄んでおり、畑の野菜たちも喜んでいるようです」
メセタが心に直接、凛とした声を届けてくれる。俺がその頭を撫でると、メセタは嬉しそうに目を細めた。
キッチンでは、いつものように完璧な執事服に身を包んだチャリオットが、一分の隙もない動作で準備を進めている。
「おはようございます、女神様。お目覚めの白湯をご用意いたしました。胃を温め、今日一日の活力を呼び覚ましてください」
「ああ、ありがとう、チャリオット。助かるよ」
彼を「親父」ではなく「チャリオット」と呼び、俺の執事としての誇りを尊重するようになってから、この家を流れる空気はより洗練され、かつ深い信頼に満ちるようになった。
俺はスキルの発動を思い描き、心の中で願う。
(……今朝の調理に必要な、適度な重みのあるフライパンと、上質な木のヘラを)
手元に**「ポンッ」**と現れた道具たちは、しっくりと俺の手に馴染む。技術そのものではなく、その技術で生み出された「物」を手にすることで、俺はこの世界での生活を自分の手で作り上げている。
二階からは、ライトやユミナ、そしてマチルダたちの賑やかな足音が聞こえ始めた。
「お父さーん!」「おはよー!」
家中に活気が満ちていく。
新しい朝。




