499 繋がる想いと、静かな夜
リッカが淹れてくれた温かなハーブティーの香りが、リビングに満ちていく。
俺はメセタの柔らかい毛並みに身を預け、その温もりを感じていた。
「我が主、お身体の加減はいかがですか? 少しでも私の体温が、貴方の痛みを和らげる助けになれば良いのですが」
メセタが穏やかな声で語りかけてくる。スキルを通じて直接心に響くその言葉は、どんな薬よりも俺を落ち着かせてくれた。
「ああ、ありがとうメセタ。……リッカも、いつも本当にありがとうな」
俺がそう言うと、リッカは「お礼なんて。私は麗人さんの嫁ですから、当たり前のことです」と、魔獣言語を交えながら優しく微笑み、俺の肩をそっと抱き寄せた。
俺が願っても出てくるのは「本」ばかり。けれど、その制限があったからこそ、俺は今、こうして言葉のスキルを駆使して、人間も魔獣も関係なく、家族として深く対話できている。
「さて……夜も更けてきたな。明日はまた、みんなで畑に出よう」
「はい、我が主。明日も私が、貴方の隣でお守りいたします」
「私も、美味しいお弁当を準備して待っていますね」
家族の言葉が重なり合い、心地よい眠気が俺を包み込んでいく。
過去から積み上げてきた一分一秒の時間が、今のこの揺るぎない絆を作っているのだと、俺は深く感謝しながら目を閉じた。




