489 後片付けと、火曜日の畑へ
賑やかな朝食の時間が終わり、温かな余韻が残る食卓。
「ふぅ、炊き込みご飯、美味しかったな」
俺が満足げに呟くと、リッカが「本当に。麗人さんの作る和食は、心が落ち着きますね」と微笑みながら空いたお皿を重ねた。
「よし、それじゃあ片付けを済ませて、俺は畑の様子を見てくるよ」
俺の言葉に、家族がいつものように動き出す。
「お父さん、僕も運ぶのを手伝うよ!」とライトが立ち上がり、
「お母さん、私はテーブルを拭くね」とユミナが布巾を手に取る。
「パパりん、マチルダもピカピカにするー!」
「トトさま、お皿を洗う音って楽しいですね」
「父上、残ったものは私が冷暗所へ運びましょう」
マチルダ、アマンダ、リューも、それぞれのやり方でキッチンへと集まってくる。
シンクから聞こえる心地よい水の音と、家族の話し声。
その賑わいを背中で聞きながら、俺は使い込んだ食器が棚に戻されていくのを確認した。
「麗人さん、後片付けはもう大丈夫ですよ。チャリオットと一緒にやっておきますから」
リッカの優しい言葉に甘え、俺は「ありがとう」と答え、勝手口へ向かった。
エプロンを外し、代わりに丈夫な作業着に袖を通す。
昨日、俺が願った雨。
あの恵みの雨が、土にどのような変化をもたらしたのかを確認するのが、今日の最初の仕事だ。
「兄貴、俺も準備できたぜ!」
庭で待っていたエリクスが、愛用の道具を肩に担いで声をかけてくる。
「よし、行こうか。雨上がりの土は重いから、気合を入れないとな」
俺たちは、まだ少し湿り気を帯びた瑞々しい空気の中、朝日を浴びてキラキラと輝く裏庭の畑へと踏み出した。
昨日耕したばかりのあの畝が、雨を吸って最高の状態になっていることを確信しながら。




