488火曜日の朝、炊き込みご飯の香りに誘われて
新しい朝が来た。
カーテンの隙間から差し込む光に目を覚まし、俺はゆっくりと身体を起こした。
月曜日に降らせた雨のおかげで、空気はしっとりと瑞々しく、窓の向こうには澄み渡った青空が広がっている。
寝室を出て、俺は家族が集まるリビングダイニングへと向かった。
まだ静かな廊下を通り、キッチンの入り口でいつものエプロンを手に取る。
頭から通し、腰の紐をキュッと結ぶ。
「よし、今日も始めようか」
キッチンには、既にいつもの顔ぶれがあった。
「おはよう、兄貴! 今朝もいい天気だな」
エリクスが爽やかな笑顔で挨拶をくれる。
「おはよう、エリクス。本当に、絶好の農作業日和になりそうだ」
「女神様、おはようございます。お召し物は汚れないようお気をつけください」
チャリオットもまた、完璧な所作で朝の準備を整えてくれていた。
「おはよう、チャリオット。今日も手伝いをお願いするよ」
今朝の献立は、心落ち着く和食に決めている。
まずはメインの炊き込みご飯だ。
「ポンッ」
スキルで出現させた炊飯器の蓋を開けると、出汁と醤油の香ばしい香りが湯気と共に立ち上った。
具材は昨日収穫した野菜の端切れを細かく刻んだものだが、それがまた良い味を出している。
その横で、チャリオットに味噌汁の仕上げを頼み、エリクスには焼き魚の様子を見てもらう。
香ばしく焼けた皮の匂いが食欲をそそる。
小皿には、程よく浸かった色鮮やかなお新香を盛り付けた。
「さあ、準備ができたぞ。みんなを呼んでこようか」
俺が言うのとほぼ同時に、パタパタと賑やかな足音が近づいてきた。
「お父さん、おはよう! くんくん……いい匂い!」
ライトが元気に飛び込んできて、
「お母さん、おはよう。今朝は炊き込みご飯なの?」
ユミナも目を輝かせて椅子に座る。
リッカが微笑みながら子供たちを席に促し、
「パパりん、お腹空いたー!」
「トトさま、お新香が綺麗ですね」
「父上、本日も精進いたします」
マチルダ、アマンダ、リューも、それぞれの定位置に収まった。
朝日が差し込む食卓に、湯気を立てる和の朝食が並ぶ。
俺はリッカと視線を合わせ、深く頷いた。
「「「いただきます!!」」」
家族全員の元気な声が重なり、火曜日の穏やかな朝が始まった。




