484 雨上がりの静寂と、夕暮れの準備
ベビーケーキを囲んだ賑やかなおやつタイムが終わり、子供たちが満足げにお腹をさすりながら遊びに戻ると、窓の外を叩いていた激しい雨音が次第に小さくなっていった。
「お、少し小降りになってきたな」
俺が窓の外を眺めると、厚く垂れ込めていた雲の切れ間から、夕暮れ間近のオレンジ色の光が差し込み始めている。空一面を覆っていた雨雲が、役目を終えたようにゆっくりと流れていく。
「麗人さん、雨上がりの空気は本当に澄んでいて気持ちがいいですね」
リッカが隣に来て、一緒に外を眺める。
雨粒を纏った庭の木々が、夕陽に照らされて宝石のようにキラキラと輝いていた。俺が願った雨は、土の奥深くまでしっかりと染み込み、明日からの作物の成長を力強く支えてくれるだろう。
「兄貴、俺、ちょっと庭の様子を見てくるぜ。水たまりができてないか確認してくる」
エリクスが元気よく外へ飛び出していった。兄のアルドさんのように完璧なサポートを目指す彼なりの、今の自分にできる「役目」なのだろう。
家の中では、チャリオットが静かに夕食の準備を始めている。
「女神様、雨も上がりましたし、今夜は少し温まるスープを用意しましょうか」
「ああ、いいいね。よろしく頼むよ」
俺はソファに深く腰掛け、マチルダたちが追いかけっこをする足音を聞きながら、読みかけの本を手に取った。
夕飯までの、ほんのわずかな隙間時間。
雨上がりの湿った土の匂いが、開いた窓から微かに届き、心地よい眠気を誘う。
「お父さん、虹が出てるよ!」
「お母さん、見て見て、おっきい虹!」
ライトとユミナの弾んだ声に誘われ、俺は再びリッカと顔を見合わせた。
「よし、みんなで虹を見に行こうか」
穏やかな一日の終わりを祝福するように架かった七色の橋を、俺たちは家族全員で、いつまでも眺めていた。




