483 雨音を聴きながら、至福のベビーケーキ
「ざあーっ」という激しい雨音が屋根を叩き、窓の外は真っ白な雨のカーテンに覆われた。先ほどまで作業していた畑が、俺が願った通りの恵みの雨に潤っていく。
「ふぅ……。いい具合に降り出したな」
濡れる前に家に入り、軽く着替えた俺は、リビングでホッと一息ついた。
キッチンからは甘い香ばしい匂いが漂ってくる。チャリオットが、雨で外に出られない家族のために「おやつ」を準備してくれたようだ。
「皆様、おやつの準備が整いました。本日はベビーケーキでございます」
チャリオットが運んできたのは、一口サイズの丸くて可愛らしいベビーケーキ。表面はこんがりときつね色に焼け、中はふんわりと柔らかそうだ。
「わあ、可愛い! お母さん、これ食べていい?」
ユミナが目を輝かせ、隣でライトも「お父さん、僕も! 焼きたてだね」と嬉しそうにフォークを構える。
「パパりん、マチルダもパクってする!」
「トトさま、この甘い香りは最高ですね」
「父上、雨の日の楽しみをありがとうございます」
マチルダ、アマンダ、リューも、それぞれの呼び方で俺の周りに集まり、賑やかなおやつタイムが始まった。
リッカが淹れてくれた温かいお茶と一緒に、ベビーケーキを一口運ぶ。
口の中で優しい甘さが広がり、外の激しい雨音さえも心地よいBGMに変わっていく。
「麗人さん、雨の中お疲れ様でした。お味はいかがですか?」
リッカが隣で微笑む。
「最高だよ。やっぱり家でみんなと食べるおやつが一番だな」
エリクスも「兄貴、これ何個でもいけちゃうぜ!」と上機嫌で頬張っている。
窓の外では雨が降り続き、家の中には家族の笑い声とベビーケーキの甘い匂いが充満している。
月曜日の午後。雨が降るからこそ味わえる、ゆったりとした凪の時間がそこにはあった。




