480 朝の仕込みと、家族の食卓
エプロンを締め、気合を入れた俺は、調理台の前で包丁を握る。
まずはメインの魚だ。俺がスキルを発動させると、**「ポンッ」**という軽快な音と共に、新鮮な魚が現れた。
慣れた手つきでスプーンを手に取り、鱗を一枚残らず綺麗にこそげ落としていく。エラを切り離して内臓を取り除くと、次は身を捌く工程だ。包丁の先で大骨をなぞり、細かな小骨も一本一本丁寧に取り除いていく。下処理を完璧に終えた身を、香ばしく焼き始めた。
魚を焼いている間に、手際よく他の準備も進める。
出汁の香りが立つ味噌汁を作り、畑の恵みを刻んで新鮮なサラダを用意する。
そして、**「ポンッ」**という音と共にスキルで炊飯器を出現させた。中にはふっくらと炊き上がった白米が詰まっている。
「さあ、準備ができたぞ」
盛り付けた料理を次々と食卓へ運ぶと、ちょうど家族が揃った。
「お父さん、いい匂い!」とライトが席に着き、「お母さん、おはよう」とユミナが目をこすりながら椅子に座る。リッカも「麗人さん、おはようございます。今朝も美味しそうですね」と微笑み、マチルダは「パパりん、お魚だー!」とはしゃいでいる。アマンダは「トトさま、いただきます」と上品に、リューは「父上、感謝いたします」と背筋を伸ばした。
皆で囲む朝の食卓は、一週間の活力を与えてくれる。
温かい食事を平らげると、そこからは片付けの時間だ。
「よし、それじゃあ洗っちゃうよ」
食器をシンクへ運び、洗剤を泡立てて一枚ずつ丁寧に洗っていく。リッカやチャリオットが隣でそれを受け取り、柔らかな布で水気を拭き取っていく。
「はい、これはここですね」
拭き終わった皿や茶碗を、指定の戸棚の奥へと戻していく。
カチャリ、と最後に扉を閉める音。
「ふぅ、片付いたな」
清潔になったキッチンを見渡し、俺は心地よい達成感と共に、今日一日の農園仕事への意欲を燃やした。




