477 夕飯作りと、温かな家の匂い
取り込んだばかりの洗濯物は、まだお日様の温もりを蓄えていた。俺とリッカ、そしてエリクスで手分けして、それらを丁寧に畳んでそれぞれのタンスへと収めていく。家事の合間に漂う石鹸の香りが、日曜日の終わりが近づいていることを優しく告げているようだった。
「さて、それじゃあ夕飯の支度に取り掛かるとしようか」
俺の言葉を合図に、家族がそれぞれ動き出す。
リビングの広いスペースでは、ユーミルの子供たち――マチルダ、アマンダ、リューの3匹と、ライト、ユミナが、ユーミル、高速狼のメセタ、そしてミルドレシアと一緒に遊び始めた。
「パパりん、マチルダ、メセタと追いかけっこするの!」
「トトさま、リューがミルドレシアに乗ろうとしていますよ」
「父上、見ていてください。我らの連携を」
「お父さん、僕もユーミルと遊んでくるね!」
「お母さん、あとでお手伝いに行くから待ってて!」
賑やかな子供たちと聖獣たちの声が背中越しに聞こえる中、俺とリッカ、そしてチャリオットはキッチンに立った。
「今日のメニューは豪華ですよ、麗人さん」
リッカが楽しそうにエプロンの紐を結ぶ。
今夜の献立は、浅蜊の磯蒸しに、その旨味をたっぷり吸わせた浅蜊のボンゴレパスタ。さらに、畑で採れた新鮮なグリーンリーフ、人参、玉ねぎ、じゃがいも、コーンをふんだんに使った彩り豊かなサラダ。そして、出汁の香りが食欲をそそる揚げだし豆腐。これに炊き立てのご飯と味噌汁を添える。
「よし、まずは浅蜊の下処理からだな。チャリオット、野菜のカットをお願いできるか?」
「承知いたしました、女神様。サラダ用のじゃがいもは蒸しておきましょうか」
「ああ、頼むよ」
キッチンには、浅蜊から出る磯の香りと、揚げだし豆腐のつゆが煮える甘辛い匂い、そして炊飯器から漏れるお米の甘い香りが混ざり合い、最高の「夕飯の匂い」が立ち込め始める。
「いい匂い……兄貴、手伝えることはあるか?」
訓練を終えたエリクスも、美味そうな匂いに誘われるようにやってきた。
「それじゃあ、エリクスはサラダの盛り付けを頼むよ。彩り良くな」
賑やかな遊び声と、トントンという包丁の音。
この温かな喧騒こそが、俺にとって何よりの幸せだ。
「さあ、みんながお腹を空かせて待ってるぞ。仕上げに取り掛かろう!」
俺たちは息の合った連携で、次々と料理を大皿に盛り付けていった。




