475 日曜の午後、凪の時間
ゾニルフさんとアルドさんを見送り、「ガドガド」という車の音が遠ざかって静寂が戻ると、我が家には日曜日の午後特有の、ゆったりとした空気が流れ始めた。大きな仕事が一段落した後の、この「凪」のような時間が俺は好きだ。
「ふぅ……。さて、夕飯の支度まではまだたっぷり時間があるな。みんな、午後はのんびり過ごそうか」
俺がリビングのソファに深く腰を下ろすと、リッカが隣に座り、「麗人さん、今日もお疲れ様でした」と穏やかな微笑みを向けてくれた。彼女の呼ぶ俺の名が、心地よく鼓膜を震わせる。
庭ではエリクスが「兄貴を護れるようにならなきゃな」と護衛の訓練に励み、リビングでは子供たちが思い思いに過ごしている。
「お父さん、見て! お城作ったよ!」
リッカから産まれたライトが、積み木を高く積み上げて俺を呼ぶ。
「すごいな、ライト。立派なお城だ」
「お母さん、このお花の名前、教えて?」
俺が産んだユミナが、絵本を指差して甘えてくる。俺はユミナを膝に乗せ、その頭を優しく撫でた。
そこへ、ユーミルの子供たちが三者三様にトテトテと寄ってきた。
「パパりん、パパりん! マチルダも積み木するー!」
元気いっぱいのマチルダが俺の足元で跳ねる。
「トトさま、お茶のおかわりはいかがですか?」
少しおませなアマンダが、チャリオットの手伝いをするように俺の顔を覗き込む。
「父上、本日の商品受け渡し、お見事でございました」
末っ子のリューが、どこか凛とした態度で俺を見上げた。
「ははは、みんなありがとう。今日は本当にいい日だな」
マチルダを撫で、アマンダに応え、リューの言葉を頼もしく受け止める。
チャリオットが淹れてくれたハーブティーを啜りながら、俺は先日成功した「ゴウンユア」の収穫を思い出し、次なる農作物の交配に思いを馳せる。
ここにあるのは、愛する家族の気配と、多種多様な俺への呼び声。
夕飯の支度を始めるまでの数時間。俺たちは、ただそこにいるだけで満たされるような、贅沢で豊かな時間を、心ゆくまで享受していた。




