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異世界転移した俺は万能スキルでスローライフを謳歌する  作者: みなと劉


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407/449

407 収穫物を家に入れアキトさんの家を掃除する

 家に戻ると、収穫したばかりの野菜がぎっしり詰まった青いコンテナを、俺はそっと玄関の土間に運び込んだ。足元にコンテナを置きながら、リッカたちが手伝いにやってくる。

「ふう……。今日もたくさん採れたね」とリッカが微笑む。

「うん、今年はほんとに豊作だ。あとは保存するものと、すぐに使うものを分けておかないとな」

 俺はコンテナの中身をざっと見渡し、傷みやすい葉物はすぐに冷蔵庫へ、トマトやきゅうりは別の箱にまとめることにした。色や硬さを確かめながら、使い道を考えつつ仕分けていく。

「俺はすぐに使うほうを整理するよ!」

 エリクスが元気よく言い、手際よく新鮮なものを取り分けていった。

「じゃあ、私は洗って乾かす作業を担当するね」

 とリッカも手を動かす。メセタとミルドレシアも何かと雑用を手助けしてくれて、みんなで効率よく作業が進む。

 俺はふと思い出した。

「そうだ、今日はアキトさんの家のリビングを掃除する日だったな」

「よし、収穫物はこれで片付いたし、掃除道具を持って行こう」

 そう言って掃除用具を準備し、みんなに声をかけた。

「メセタ、ミルドレシア、アキトさんのところへ行くぞ」

 二匹は元気に尻尾を振りながらついてくる。

 家の外へ出ると、俺は掃除道具の入ったバッグを肩にかけつつ、メセタとミルドレシアを軽く撫でた。

「ところで、アキトさんはどうしてるでしょうね」

 メセタが落ち着いた声で答える。

「アキトさんは今、第一世界に帰還している。ユウキさんと同じく、ここ第二十世界には収穫祭のある10月頃に戻ってくる予定らしいけどね。それまでは、定期的にこちらを掃除しておく計画になってる」

「ああ、そうか。じゃあその間も、私たちがしっかり管理しておかないとな」

 気温もまだ温かく、この季節は埃もたまりやすい。彼がいない間に快適な環境を維持できるように、念入りに掃除するつもりだ。

 家から少し歩き、アキトさんの家に着く。木々の緑に囲まれた小さな一軒家は、静かで落ち着いた雰囲気が漂う。扉を開けて中へ一歩踏み入れると、少しホコリが積もっているのが分かった。

「よし、まずは玄関からだな」

 俺はバッグからほうきを取り出し、ゆっくりと埃を掃き集める。メセタとミルドレシアもそれぞれに動き出し、メセタは棚の上にある不要な物を整理し、ミルドレシアは窓を開けて空気を入れ替え始めた。

「これから10月までまだ時間があるし、定期的にこんな感じで掃除に来るといいな」

 そう言いながら、俺は雑巾を濡らして床を拭き始めた。程よく湿らせた雑巾が木の床を滑るたびに、古い埃がきれいに取れていく。

「風通しもよくしておくと、湿気も抑えられていいはずだ」

 ミルドレシアの声が心地よく響く。彼女たちの助けもあって作業はとても捗る。だんだんと部屋の中に清潔感が戻ってきて、まるで新しい息吹が吹き込まれたみたいだ。

「次はリビングのカーテンも洗っておこうか」

 俺がそう提案すると、メセタが頷き、

「お手伝いいたします。それに、掃除のついでに小さなメンテナンスも忘れずにね。家具などの傷みも見ておきましょう」

「助かるよ、頼りにしてる」

 俺は二匹に笑いかけながら、時間をかけてゆっくり丁寧に家を整えていった。こうしてアキトさんの家も、収穫祭が来る頃には気持ちよく迎えられるだろう。

 この異世界でのスローライフは、たとえ誰かがいなくても、俺たちの手で静かに支えられているのだと実感する。今日もまた、こうしたささやかな日常を大切にしながら、俺はゆっくりと時間を刻んでいくのだった。

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