375 メセタとミルドレシアと一緒に朝の散歩
朝日が昇り始めたころ、俺は早めに起き上がり、そっと家を抜け出す。
後ろにはメセタとミルドレシアがついてくる。
「朝の空気が気持ちいいな。」
俺が呟くと、メセタが優雅に並んで歩きながら口を開いた。
「我が君とこうして朝の散歩を共にするとは、なんと運命的な…まさにこれはキッスというべきかと…」
その言葉に俺は呆れながらも赤面してしまう。
「おい、何を言ってるんだよ。まだ朝だぞ!」
メセタはさらに身を寄せ、挑発的な笑みを浮かべる。
「我が君、照れているお姿もまた魅力的ですな。」
「いい加減にしろ!」
俺は軽くメセタの頭をチョップする。
「あー、これも愛ゆえに」
と、謎の迷言を残すメセタ。
メセタが頭を抑えて笑っている横で、ミルドレシアがじっとこちらを見ていた。
その鋭い金色の瞳には、まるで「またやってるな」という呆れた気配が漂っている。
「……またパパはママを困らせてる。」
そう感じ取ったのか、ミルドレシアは一歩前に出て、メセタの足元に立ち止まった。そして次の瞬間――
「っ!?」
メセタの顎にミルドレシアの鋭いアッパーが炸裂した。
「ミ、ミルドレシア!?(こらぁ、えらく決まったな)」
俺が驚きの声を上げる中、メセタは綺麗な放物線を描いて飛ばされ、近くの草むらに着地する。
そこから起き上がったメセタは、どこか誇らしげに笑みを浮かべていた。
「我が息子の成長…素晴らしい。だが、次はこうはいきませんぞ!」
「いや、素直に反省しろよ……。」
俺が額を押さえつつ溜息をつくと、ミルドレシアは俺の足元に座り込んで尻尾を振る。
その無邪気な仕草に、俺は笑わずにはいられなかった。
朝風を感じながら家へと帰る