311 捜査と第二の犯行
シーン:捜査の進展 — 疑惑の渦中
篠田と警察は、武田信一郎が巻き込まれていた取引の詳細を掴むべく、旅館に宿泊する客たちの背景をさらに洗い出していた。
特に、前日の電話の証言から浮上した男性客・佐々木隆志に疑念が向いていた。
佐々木は、最近仕事でトラブルを抱え、取引先との問題が解決していないことが判明した。
彼が宿泊客の中で最も疑わしいと考えられ、篠田は警察と共に彼の部屋を訪れた。
「佐々木さん、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「なんですか? 昨日も話しましたけど、私は何も関係ありませんよ。」
篠田は佐々木の態度に一抹の不自然さを感じながらも、さらに質問を続ける。
「武田さんと昨夜、何かやり取りをされていたのではないですか? 取引に関して揉めていたという証言もあります。」
佐々木は一瞬、目を伏せた。
しかしすぐに顔を上げ、冷静を装いながら答える。
「彼とは取引上の関係がありましたが、個人的には何の恨みもありません。昨夜、電話で話したのは別件です。それ以上のことはない。」
篠田はその言葉を信じきれないまま、佐々木を見つめ続けたが、今は決定的な証拠が不足していた。
彼は引き続き別の角度から事件を調べることに決めた。
シーン:第二の犯行 — 新たな犠牲者
その夜、旅館は再び不安に包まれていた。
宿泊客や従業員は、まだ解決しない殺人事件に緊張し、普段なら静かな温泉宿が張り詰めた空気に包まれている。
深夜、篠田は一人、露天風呂近くを歩いていた。
月明かりが旅館の外を照らし、静寂の中でかすかな水音が聞こえてくる。
篠田は、何か引っかかるものを感じながら、手がかりを求めて歩いていた。
その時、旅館の奥から悲鳴が響いた。
「誰か! 誰か助けて!」
篠田は一瞬でその方向に駆けつけた。悲鳴が聞こえたのは、別館にある客室の一つだった。
篠田が到着すると、そこで驚愕の光景が広がっていた。
床に倒れているのは、従業員の一人・高橋明子。
彼女はぐったりとした様子で、苦しそうに息をしていたが、すでに意識がなかった。
部屋には争った痕跡があり、部屋中に物が散乱している。
篠田は急いで警察と救急を呼び、高橋の無事を祈りながら周囲を見渡す。
彼女が何者かに襲われたことは明らかだった。そして、犯人はおそらくまだこの近くに潜んでいる。
シーン:証拠の発見 — 重要な手がかり
警察が現場に到着し、捜査が開始される。
篠田もまた、部屋の中を調べていた。
すると、彼の目に止まったのは、部屋の隅に転がっていた一枚の紙切れだった。
それは、何かのメモのようで、手書きの文字が走り書きされていた。
「これが…何かの手がかりか?」
篠田は慎重にそのメモを拾い上げた。そこには、短く「会いたい。今夜、裏口で。」
とだけ書かれていた。
これは、被害者が襲われる直前に誰かから受け取ったメモに違いない。
篠田はそのメモの筆跡に見覚えがある気がした。
だが、誰のものなのかまだはっきりしない。
このメモを残した人物が、高橋を襲った犯人なのか? それとも、彼女を罠にかけた誰かの指示だったのか?
シーン:新たな疑惑
第二の犯行が起きたことで、篠田は旅館に潜む犯人が単なる偶然でなく、計画的に動いていることを確信した。
高橋明子が何を知っていたのか、なぜ彼女が襲われたのかを突き止めなければならない。
篠田は再び、佐々木隆志を含む宿泊客たちに疑念の目を向ける。
彼らの中に、事件を裏で操っている黒幕がいる可能性が高い。
そして、次に誰が標的にされるのか、誰もが不安と疑心暗鬼に陥っていく。
篠田はもう一度、三浦美紀や他の宿泊客たちとの会話を振り返りながら、事件の背後にある人物に迫っていく。果たして、この静かな温泉宿で繰り返される殺人事件の真相は何なのか——。
「やはり第二の犯行はありましたな」
チャリオットがいう。
「俺の言った通りだった」
エリクスがいう。
(大抵の場合は第二の犯行や第三の犯行まであったりするんだよな)