203 フルーツパウンドケーキを食べよう
オーブンが鳴ったので
俺はソファから降りるとオーブンを開けてパウンドケーキを取り出す。
そしてナイフで必要分カットして
皿に盛り付ける。
それを、皆に配膳する。
冷蔵庫から麦茶を出して
コップに注いでいく。
「これがパウンドケーキ?」
「正確に言うと今回のはフルーツパウンドケーキだな」
「なかにフルーツが!?」
ほら?生地と生地の間にカットフルーツ入ってるだろと言う。
「あ、本当だ」
「まま!これ甘い匂いする」
ミルドレシアが言うので
これはフルーツパウンドケーキと言って甘く美味しい物だよと教える。
耳をぴんとして尻尾を高速で振るうミルドレシアとメセタ。
(親子だな)
まあ、真意は不明だが親子ということにしておいても良いだろう。
いずれは真相も分かるしな。
ミルドレシアに切ったフルーツパウンドケーキを1切れ食べさせる。
「ぱく……もぐ……美味しい」
とにっこりするミルドレシア。
メセタもして欲しそうにするので
「今回だけだぞ」
と俺はメセタにも1切れを食べさせる。
「ぱく……もぐ……!?」
ズガーンビガビガ
ハイランドウルフメセタはあまりの美味さに衝撃を受けている。
と、言わんばかりに固まっている。
俺は、
「おーい!メセタ?」
「は!?わたしはあまりの美味さに稲光のような衝撃を受けておりました」
と言う。
(まじに衝撃受けていたんかい!?)
エリクスも食べる。
「これ美味い!俺この味好きだわ……今度レシピ教えて兄貴」
「いいよ」
とエリクスに言う。
最近エリクスは本当に料理に対して利口というか
積極的にしてくれている。
元々いい子なのは分かっているんだ。
きっと冒険者の組合の育成が杜撰なのであろう。
いまは俺の元で農作業を手伝ってもらって一緒に暮らしている。
まあ、半分は俺の責任もあるけどな。
エリクス曰く
『兄貴は悪くない』と言ってるけど
やはり少しは非があるとは今でも思っている。
だからこその罪滅ぼし?では無いかもだが。
あいつが生活しやすいようにしてやるのがいいかと思っている。
フルーツパウンドケーキを食べながら俺はそう思う。
これからも色々とあるかもだがよろしくな
エリクス。
それから
新しい家族であり俺の息子
ミルドレシア
お前もよろしくな。