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耳は生きているー№4

ジャッジ・D・1・2

作者: 種子火(たねび)

       【ジャッジ・D 】

                    【夢の世界で裁く人】

                    【D=ドリーマーの意味】

 【夢中百合子の夢の世界】  1

【直進か右折かどっちだ】            


百合子は愛車のカワサキ900CCニンジャに跨って、航空記念公園へと

向かって居た

百合子は直進だ、目の前の交差点が近づいて来て居る

目の前の信号は青だ、対向車線に1台のトラックが走行して向かって

来て居る

トラックの動きが直感で、どことなくぎこちない

直進か右折する気かどっちだ、ウィンカーを点滅させて居ない


なんだ、直進か

なら、こっちもこのまま直進だ と 百合子は思った

対向車のトラックとの距離が縮まり数秒程で擦れちがうと思った     その途端

トラックが右折レーンに寄った

【あーっ ・ぶつかる】 【間に合わない】

【今更右折するなー・トラック野郎】

【あーっ・あーっ・あーっ】

【ドッグァァーン 】


交差点の真ん中で正面衝突した

百合子の体は高く宙に舞い上がり、激しく吹っ飛んだ

【あーっ・あーっ・あーっ】

トラックの真上を飛び越して、百合子の体は地面に激しく叩き      付けられた

【ドガッダーン・ドダッ】

カワサキニンジャのフロントフォークが真っ二つにへし折れた

900CCニンジャは、一瞬でポンコツニンジャに変わり果てた

【ピープー・ピープーどうした・・待ってろピープ・ーピープー】

【数日が経過した】

『夢中さん聞こえますか』看護師

『夢中さん私が見えますか』『私の声が聞こえますか』看護師

虚ろな意識の中で百合子はぼやけた顔を見た、誰かが覗き込んで居る


『夢中さん自分の名前が言えますか』看護師

如何やら百合子は、生と死の間を彷徨って居たらしい

意識が朦朧とする中覗き込んで居る女性の顔が少しずつ鮮明に成って来た

【名前をおっしゃって下さい】看護師

『はいっ、夢中百合子です』

『気が付きましたね、今あなたは病院のベッドの上ですよ』看護師

『7日間意識不明でしたよ』『意識が戻って良かったですね』看護師

利き腕の右腕に、細長い亀裂がジグザグ状に出来て居た

骨折で無かったのは幸いだった

М・R・Iで頭蓋骨に小さな傷が見つかったがこれと言って後遺症らしい   症状は出て居ない


右腕の痺れ以外は全く問題無いと言うが、前頭葉の前頭前野に小さな   影と1本の黒い筋が在るがしかし、後遺症らしい症状は出て居ない

医師の判断で10日間で退院した

しかしそれ以来不思議な夢を見る様に成った

夢中家の家族は5人と2匹の犬だ


父親の夢中徳蔵・母親の夢中富子・姉の夢中皇花おうか

兄の夢中半蔵はんぞうヨークシャーテリア雌のモグ店長 

別名衛生兵     

ヨークシャーテリア雄のミッキー班長(別名・ミッキー・通信兵)

今までにも毎晩毎夜、夢を見るのは何時もの事だった

鳥の様に空高く飛び周ったり、魚の様に海を泳いだり海中深く潜ったり

しかし交通事故以来不思議な夢が続いた

在る夕方の食卓での出来事

百合子はソースを取ろうと手を伸ばした

右手が震えてソース瓶を倒してしまった

ソース瓶を倒した弾みで中身が飛び散り前の席の姉の真っ白い     

ブラウスにソースが斑模様に染まった

【あれーっ・あーあ】皇花の声

【あーっ】【姉ちゃんごめん】百合子

【手が震えて上手に動かない】百合子

【ウオーッ・どうしたんだ、百合子】徳蔵

【こりゃー、ひでーや、洗濯しても元に戻らねーなー】半蔵

【いいよ・いいよ・百合子】富子

【皇花早くブラウス脱ぎなさい、ブリーチ着け置きして洗濯すれば

元通りに成るよ】富子

その場は何とか収まった


その夜百合子は、震える右手を見つめるだけだったが

ソース瓶が倒れた時間と記憶が、皆の頭の中から消えてしまえばいいのにと強く思った

次の日

朝食の食卓で5人揃った所で姉の皇花に謝った

【皇花姉ちゃん昨日はごめんね、白いブラウスにソースを飛ばして    しまって本当にごめんなさい】百合子

【えっ・何・それって】皇花

【私の白いブラウスは、部屋のハンガーにぶら下がっているわよ】皇花


【あのうー・父さん母さん兄ちゃん、昨日の夕飯の食卓でソース瓶を

倒して皇花姉ちゃんの白いブラウスがソースで斑模様に成ったの、覚えて 居るわよね】百合子

【えーっ・何だ・それー】半蔵

【百合子どうかしたんじゃないのかい、そんな事ゆうべの食卓で何にも

無かったよ】富子

【百合子悪い幻でも見たんじゃないのかい、頭大丈夫かい】徳蔵


【皆、昨日のソース瓶ぶっ飛ばし事件、覚えていないのー】百合子

徳蔵・富子・半蔵・皇花の4人は顔を見合わせて

【プッと吹き出した】

【百合子悪いD・V・Dの見過ぎだぜ】半蔵

【そうだよねー、モグ店長・ミッキー班長】皇花

2匹のヨーキーはワンと吠えたが、暫くして2匹供に首を大きく傾げた

【おーっ・皆みろよ・衛生兵と通信兵が首を傾げて居るよ】半蔵

【不思議だね、犬が首を傾げるのを始めて見たね】富子

全員顔を見合わせて頷いた

百合子以外の4人は、昨日のソース飛び散り事件を記憶して居なかった

【百合子は不思議な衝動に駆られた】


【その夜百合子は夢を見た】

駅前の歩道を白杖を持った女性が点字ブロックの上を歩いて居た

歩道から外れて点字ブロックの上に飛び出して居る自転車に、ぶつかり

転倒して頭を打って怪我をして救急車に搬送されて行く夢

帰り道の交差点で信号待ちをして居たミニバイクが、隣に並んだ左折の

大型トラックに巻き込まれて大怪我をして救急車に搬送された夢

夢の中の出来事とは言え交通事故現場は、余りにも酷く悲惨な映像と

成り生々しい                       


          【現実の世界】

百合子は駅前の歩道を歩いて居た。正面から点字ブロックの上を白杖を

持った女性が歩いて来た。歩道の点字ブロックの上に数台の自転車が

ちぐはぐに止められて居る、飛び出して居る自転車も在る

あっ危ないぶつかりそうだ、ぶつかったら倒れて大怪我をしてしまう

百合子は自転車が消えて無くなればいいのにと強く思った

白杖を持った女性は今にも自転車に接触しそうだったが


一瞬にして自転車は消えて、白杖を持った女性は自転車に接触せずに

倒れる事無くその場を通過した

【あっ・自転車が消えた】

周りの居る大勢の人々は当たり前の様に動いて居る

以前から自転車が無かったかの様に

百合子は交通事故の後遺症定期検査を受ける事に成った

右腕の骨には何の異常も無いが痺れだけは残っている、頭蓋骨の

М・R・I・の検査を受けた

前頭前野の黒い影はすっかり消えて居たが、黒い一本のスジが一本増えて

90度に交差して居た(十字形に成って居る)

しかし後遺症らしい症状は無く、医師の判断で半年後に定期検査を

受ける事に成った


定期検査を終わった帰り道交差点で信号待ちをして居た

ミニバイクが左折のウィンカーを点滅させて止まって居た

少し遅れて大型トラックがミニバイクに並んだ数秒後左折の

ウィンカーを点滅させ始めた

ミニバイクを先に発進させるだろうなーと思った瞬間、大型トラックが

ミニバイクと同時に発進させた

【あっ】

後輪に巻き込まれる

百合子はトラックが消えて無くなればいいのにと強く思った

大型トラックは一瞬にして消えて無くなりミニバイクは無事に左折

出来た

周りの大勢の人々も、何事も無く当たり前の様に動いて居る

百合子は思った・何か得体の知れない大きな力が宿った様な気がした

超能力とか言う物だろうかと、真逆か自分にそんな力が宿ったのかと

またも不思議な衝動に駆られた

【百合子は何時ものように夢を見た】


小学校2年生位の女の子が、うっそうとした林の中を歩いている

おぼつかない足取りで砂利道を彷徨っている  歩きにくそうだ

周りには人は居ないが、子供達の声が遠くの方から聞こえて居る

川幅10メートル位の川が流れて居るが、女の子はそっちの方には

向かって歩いては居ない

道が右と左に分かれて居る、女の子は左側の道を選んで歩き出した

左側の道は緩い勾配に成って居る

最初の入口付近の道より道幅が少しずつ狭く成って来て居る、まだ周り

は明るい。 800メートル位歩いた所で後ろを振り向いた

誰かに呼び止められたのか、しかし誰の姿も見えない

大人と違って女の子は真っ直ぐには歩いて居ない


狭い道幅を右側に寄ったり左側に寄ったり、キョロキョロしながら

歩いて居る

ほぼジグザグに近い状態で歩いて居る、しゃがみ込む事も在る

遠くの方から聞こえて居た子供達の声も聞こえなく成った

少し薄暗く成って来て居る

立止まるとまた後ろを振り向いた、何か気配を感じたのかそこで

【夢は終わった】


【次の日百合子は夢を見た】

35~36才の男が一人で林の中の狭い道を歩いて居る

背丈は170㎝位でやや細身、紺色の長袖紺色系の野球帽を被って居る

メガネは掛けていない、灰色系のリックサックを背負って居る

黒っぽいスニーカーを履いて居る、両手に黒っぽい手袋左手に黒の

腕時計・右手には廉価版のデジカメを握って居る

キョロキョロはしているが真っ直ぐに歩いて居る

男の歩く速さが少し速く成って来た、急ぎ足に成って来て居る

男は後ろを振り返ったそして前を向いてまた急ぎ足に成った

何か見つけたのか男の口元が何か呟いて居る

左手の腕時計を見た、再び急ぎ足で歩き出した

【そこで夢が終わった】


【目が覚めて不思議な衝動に駆られた】

夢の世界に自由に出入りする事が出来るのだろうかと

百合子は夢の世界に自由に侵入する訓練を何度も試みた10数回

繰り返す内に遂に、夢の世界に侵入する事が出来る様に成った

【夢の世界と現実の世界を・自由に出入りする事が出来る様に成った】

現存する物体を夢の世界に持ち込む事も、10数回繰り返す内に現存する

物体を持ち込む事が出来る様に成った

車の様に重くて大きい物体は持ち込めないが1~2キロ位の重さなら

自由に持ち込めるように成って居た      そんな時

【少女行方不明事件が起きた】


小学校2年生8才山上薫さん

両神村の薄川付近のキャンプ場に、15人のグループでキャンプに来ていた

家族連れで大人8人子供達7人のグループ

6人の子供達は川遊びをして居たが山上薫さんが中々来ない、子供達は

母親の未知子さんを探して、薫さんが来て居ない事を伝えた

未知子さんは薫さんを探したが、薫さんに会えなかった

地元の警察に通報して60分後に捜索隊約80名が捜索したが、見つける事は

出来なかった

可成り暗く成りその日の捜索は打ち切られた

明日の早朝5時から300人体制で捜索する事に成った

しかし2日経ち3日経ち2週間経っても、何の手がかりさえも見つける事も出来なかった


2ヶ月経っても何の手がかりも無く捜索は縮小した。60人体制で更に

1ヶ月捜索、延べ2000人が動員された

そして更に1年が経過した

事件から2年経ったある日・突然のニュースが流れた

両神村の少女行方不明事件の容疑者逮捕のニュース

入沢田泥保痴(いりさわだ・どろたもち・35才)無職・前科3犯

婦女子暴行を2回繰り返し14年の服役


映画館で多発して居る痴漢行為捜査中の、張り込み中の婦人警官の

スカートの中に手を入れて指をくねらせて触り、現行犯逮捕された

映画館内での痴漢行為は約80件にも及ぶ痴漢常習犯だった

映画館内での痴漢行為の取り調べの最中に、少女誘拐をほのめかしたのを

きっかけに、事件当日の容疑者の足取りを追跡した所、入沢田泥保痴の

関与が大きく浮上した


事件当日の通過車両を記録する・N・システム(自動車ナンバー・自動

読み取り装置)に寄ると関越自動車道の花園インターを降りて、秩父方面

国道140号に入り秩父方面へ走り親鼻橋を通過して直ぐ右折したのも

判明した(両神村方面)

白い2ドアスポーツタイプの車が走行して居るのが解った(容疑者所有)

少女の遺体等・遺留品等も見つかって居ない

少女の殺害はしていないと、否認して居る

物的証拠もないまま状況証拠の積み重ねだけで、入沢田泥保痴を逮捕

起訴した、入沢田泥保痴は全く身に覚えが無いと無罪を主張して居る


弁護側も物証も無く凶器も発見されて居ないと、不当逮捕として無罪を

主張して居る

【検察側と弁護側が真っ向から対立した】

最終的に結審するまでに早くても、3年程は掛かりそうに成った

夢中百合子は入沢田泥保痴に会った事は無い・勿論顔など知らない

しかし夢の中で観た男35~36才の男は一体誰なのか何故百合子の

夢に出て来たのか、入沢田泥保痴なのか全くの別人なのか夢に出てくる

【男の脳内に侵入して脳内に在る夢を呼び出し・潜在意識を司る大脳の

内側に在る古い皮質と呼ばれて居る部分に侵入する事にした】


潜在意識の過去・現在を呼び出し今まで生きて来た無限の情報を

取り出して、事件当日の男の脳内に在る夢の映像を再生する事にした

【百合子の前頭前野に、男の脳内に蓄積された夢の世界の映像が少しずつ

映し出され鮮明な映像に再生された】

両神村のキャンプ場の林の中を歩いて居る、暫く歩くと道が2手に別れて

居る

左側の道を選び少し傾斜が続く、少しずつ険しく成って行く登り坂だ

周りには誰も居ない

【よしっ・今だ】

ここで百合子は男の脳内に広がった夢の世界へ侵入した

【百合子は男の背後にその姿を静かに現した】

灰色のリュックを背負った35―36才の男が前を歩いて居る・黒っぽい

スニーカー・紺色系の長袖に・紺色系の野球帽を被って居る

両手に黒色の手袋左手に腕時計と右手にデジカメを握って居る

【前に観た夢の映像と全く同じだ】


【百合子は早足で追い着くと背後から声を掛けた】

       【人違いかそれとも何か】

【こんにちは~】       【うわ~っ・あっあ~】

うわ~っ・びっくりしたな~もう   いつの間に後ろに          

さっきは誰も居なかったけどなー  男

そうですよねー・この辺には余り人は来ませんからねー  百合子

忍者見たいな方ですね、足音は全くしませんでしたからねー  男

実は伊賀忍者の音無し早歩き術を会得して居ます 百合子

ほう、それは珍しい特殊技能ですね

リュックの中身は採取した植物等ですか 百合子

いやーまー、山の天気は変わり易いですからねー、カッパとか非常時の

ペンライトとかラジオとか観天望気の為の双眼鏡とか磁石とかその位

ですね


天気には詳しいそうですね 百合子

毎週来て居ますからねー、自然と天気には気を遣いますねー

一人で歩いて居ると時々独り言を呟いたりしませんか 百合子

ほう、面白い質問ですねー 男

そうですねーたまに思わず呟いたりしますかねー 男

ここのキャンプ場は子供達が大勢で随分賑やかですよねー 百合子

まーそうですねー・賑やかで楽しそうですねー

失礼ですがお子さんはいらっしゃいますか 百合子


いやー独身ですから子供には余りこれと言って興味は無いですね

どうしてですか  百合子

はっきりいって子供ってわがままで自分勝手でうるさいだけの存在

ですね 男 

ひとつあげるとしたら何か良い所は在りますか 百合子

何にも知らない無垢な所ですかね 男   それだけですかね 男 

しかしそれがまた非常に怖い所でも在るんですがね


2年前ここのキャンプ場で小学校2年生の女の子が、行方不明事件が在った

事ご存知ですか

あーあの事件ね、テレビのニュースで何回も報道されたので何度も

観ましたね

ニュースを見てどう思いました

大人が8人も居たらしいですから、誰か一人代表に成ってグループ全体を

見渡せると言いますか、きちんと仕切られる人が居れば結果は大きく

違っていたんではないかと思って居ます 男

グループ行動で一番怖い落とし穴ですね 男

キャンプ場に着いたら一度皆で集まって、役割分担を決めた後に一人

代表者を選んで子供達の世話役・見張り役を決めるべきでしたね

あーっ・すっかり忘れて居ました随分お話してしまいましたね

もうそろそろ帰らなくっちゃ、薄暗く成って来ました 男

序にお名前お聞きしても宜しいでしょうか

【畔蒜酒斑金時】(あびるざけ・まだらきんとき)と申します。


あれーっ・そうなんですか・入沢田泥保痴さんでは無いのですか

はいっ違います・畔蒜酒斑金時です

【畔蒜酒斑金時さん、今会話して居る世界は夢の中です】

今日はこの辺でお別れにしましょう

【百合子は夢の中の脳に・覚醒時の脳が命令して目を覚まさせた】

【特に夢の内容が怖い時や、もう夢を見たくない時等・覚醒時の脳が

命令しない限り夢から目が覚めにくい】(真実の話です・私本人です)

夢で観た男と全く同じ顔だったが、入沢田泥保痴では無かったらしい

少女行方不明事件とは関係のない男だったのだろうか


【百合子は秩父警察留置管理課に電話して留置場に居る・入沢田泥保痴

の面会を申し込んだ】

前日の申し込みは出来ないので当日予約のみだ

AM・8時半からPM・4時半までだ

1階の受付に予約した名前を告げると、名前が記入された紙を渡される

エレベーターで留置場の在るフロアーに上がると、既に面会待ちの人々

が長イスで面会の順番を待って居る

其々誰かに面会する様だ・面会は一日一回15分間だけだ

面会室のドアにインターホンが在る・インターホンで面会を申し込む


あのう・入沢田泥保痴さんですか、私は夢中百合子と言う者です

時間が無いので率直にお聞き致します、少女誘拐はやって居ないの

ですか 百合子

えー・俺はよー・少女誘拐なんてやっちゃーいませんよ

事件当日あなたの車が両神村方面へ、向かって居たそうなんですが

それは本当ですか

両神村に行ったのは本当です

どんな用事で両神村に行ったのですか 百合子

俺はよー石集めが趣味でよー・何と言っても秩父は石の宝庫でよう

あの辺には小さな川がいくつも在ってよー模様の良い石がゴロゴロ

しているんだぜ


両神村の地形なんか詳しいですか

両神村と一言でいっても広いからね、詳しいのは川の周りだけだぜ

両神村を選んだ理由は何か在りますか 百合子

さっきも言った様によー、川の上流に行く程良い石がゴロゴロ在るん

だぜ

拾った石はどんな風にして居るんですか、漬け物石とかですか

何言っているんだよう、折角拾った石だぜ、綺麗に磨いてだなー

飾ってじっくり眺めるだけだな

石に話しかけたりするんですか

おう姉ちゃん中々いい質問だぜ、姉ちゃんセンス在るぜ

たまに暇な時は話しかけるぜ

【石に話し掛けると返事はありますか】

【拾ってくれてありがとう】

【それだけですか】

【石だけに口硬いね】

夢なんか見たりしますか 百合子

夢はしょっちゅう見ているぜ、特に川に入って良い石を見つけて川から

拾い上げる夢なんて最高だぜ


【夢中さん時間です15分経ちました、退室して下さい】 刑務官

金庫を開けて中身を全てポケットに仕舞って、金庫のキーを返却した

よーし・今日はこれで良い 百合子

             【何故・人骨ばら撒く】

【百合子はベッドに横に成った静かに目を閉じた】

入沢田泥保痴の潜在意識の過去・現在を呼び出し今まで生きて来た無限の

情報を取り出して、男の脳内に蓄積された夢の映像を再生する事にした

【百合子の前頭前野に、男の脳内に蓄積された夢の世界の映像が少しずつ

鮮明な映像と成って映し出された】


【18メートル幅位の浅い川の中を歩いて居る】 

【ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ】

良い石を見つけたのか、しゃがんで石をバールで掘り起こして居る

こりゃーいい石だと呟いて居る

5キロ位はありそうだ、背負った籠を降ろして中に入れた

【ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ】

再び川の中を歩き出した口元が動き何か呟いて居る、また石を見つけた

のか

しゃがんで石をバールで掘り起こした、また籠の中に入れた

8キロ位は在りそうだ

2つの石を入れた所で駐車場へ向かい石をトランクに入れた

休憩なのか運転席に座って缶ビールを開けた【プシュウー】

うめーなーこれだから石拾いは止められないぜ

タッパーを開けてフライパンで炒めた、醬油味つけ厚切りハムを食べた

【うめーなー】


60分程休憩した後、籠の代わりにリュックを背負って歩き出した

沢から山の方へと登り始めた、登り切ると林道を歩き出した

道は砂利道で、緩やかに左側にカーブしたり右にカーブしたり

続いている

男は林道から逸れてやや傾斜した藪のなかを歩き出した、石を探す

様子では無い様だ、男は立ち止まるとリュックの中から携帯スコップを

取り出した、スコップとバールを使って地表から50㎝位掘ると

泥まみれに成った白い石の様な物体が掘り出された、泥を落さないと

石だか何だか解らない、そのいくつかをレジ袋に入れてリュックに

しまった

石にしては余り丸く無く不自然な形だ、細長い形も在る

【人骨じゃないのか百合子は直感で思った】男は更に掘り始めた

またも人骨の様な石の様な物体が出て来た、男はバールで叩き始めた

大雑把に割った

男はまたそれらをレジ袋に入れ、リュックにしまった

【そして穴を埋戻した・枯葉を拾い集め、葉っぱで覆った】


【次の瞬間次の夢に切り替った】

車が走って居るスポーツタイプの2ドアで白い。関越道だ

関越を降りて140号を道成りに直進して、秩父市内を抜けて橋立鍾乳洞

方面へ向かって居る

橋立鍾乳洞の脇道を登って車を停めて、徒歩で森の中を歩いて居る

急な斜面だ、暫く藪の中を歩いた所で立ち止まり、リュックから取

リ出した

レジ袋の中身をさも目立つ様にそれらを地面にばら撒いた

【つまり両神村の山中で掘り出した骨に似た物を、橋立鍾乳洞の山中に

ばら撒いたのだ】

          【白血球・H・Ł・A・B・5・γ・4】

【よしっ・今だ】

百合子は入沢田泥保痴の脳内に広がった夢の世界に侵入した

【百合子は男の背後に静かにその姿を現した・間違いない人骨だ】

百合子は背後から声を掛けた

【石拾いのおじさん、今撒いたのは人間の骨じゃないの】 百合子

入沢田泥保痴は振り返った

【うわーっ】【何だいきなり】【うおーっ】

【いつの間に出て来たんだよー・ゆ・ゆ・幽霊かーっ】

おじさん私の顔覚えて居るかしら

【しっ・しっ・しらねーなー】【は・は・は・始めて見たなー】

【前に会ったのは秩父警察の留置場面会室だけど、見覚えて居ますか】

【あの時は現実の世界・今話して居る世界は夢の世界・解りますか】

【そ・そ・そ・そう言えば見覚えが在るような・無いような】男

【す・す・す・少しずつ思い出して来た、面白い質問をして来た

あの女の子かい】


【今バラ撒いたのは山上薫さんの骨じゃないですか】百合子

【見ていたのかい】男

【両神村からずーっと見ていたのよ・言い訳できないよ】百合子

【しかし・殺害の映像は無かったね】百合子

【殺害した・犯人が別に居そうですね】百合子

【そ・そ・そうだ何で解るんだ】男

【あなたの脳内に存在する全ての映像を再生して観ていますよ】百合子

【そこまで見えて居るなら仕方がない】男

【その通り山上薫さんの骨だ、殺ったのは俺じゃない】

【俺は頼まれただけだ】男

【何を頼まれたのですか】百合子


【両神村の山中に印が着いた木が在る、その木から3メートル離れた

場所を掘って出て来た物を橋立鍾乳洞の裏山斜面にまき散らしてくれ】と

【その人物とは誰ですか、名前を言って貰えませんか】百合子

【あっ・それは言えない・言うと殺される】男

【俺に頼んだ男に指示した男だ】

【入沢田泥保痴さん、あなたの他に2人が関与して居るって事ですね】

【本当の事を言うと他にも4人位関与して居るが、しかしこの4人供に

俺は面識が無い】


【実は山上薫さんは珍しい白血球型の持ち主なんだ】

【3千万人に一人しか持っていない白血球型・H・Ł・A・B・5・γ・4】

【在る大金持ちの孫娘が、命に係る重大な病気に成り、掛かり付けの

医者に余命半年と宣告された、年齢は8才女の子山上薫さんと全く同じ

その孫娘も

白血球型が・H・Ł・A・B・5・γ・4】男

【どうしても白血球型・H・Ł・A・B・γ・4・の血液と腎臓・肝臓・膵臓

が必要に成った】

大金持ちはインターネットで調べた結果孫娘本人以外に日本国中で

2人居る事が解った

【一人は80才の老人残りの一人が山上薫さんだった】

それで山上薫さんは命を狙われ・誘拐されてしまった 男

【生体移植手術に関わった医師は20人以上に登る、もっと居る可能性も

在る】

その大金持ちとは誰ですか、正直に答えて下さい貴方の為ですよ

【いやー・あの・・✿➡❺❖➍・前沢詐欺汚那尻人です】

(まえざわさぎ・おなけっと)

あーあー・あの大金持ちの

入沢田泥保痴さん今喋った事は全てボイスレコーダーに録音しました

【自首して下さい、そして全てを警察署でもう一度喋って下さい】

しかし今喋った事は夢の世界の戯言ですよ、検察だって信用しませんよ

起訴はできませんよ、仮に検察が起訴しても夢の世界の話なんて

裁判官は証拠として認めず証拠として採用する訳がないですよ


入沢田泥保痴さんこのボイスレコーダーに録音されて居る声は正に

貴方の声ですよ

声紋鑑定でも間違いなく一致します

此のボイスレコーダーの内容の通り、山上薫さん遺体が両神村の山中から

発見される事に成ります

【ボイスレコーダーの内容は正に犯人しか知り得ない】百合子

【秘密の暴露に相当します】百合子

【今からでも遅く無いです・秩父警察署に自首して下さい】百合子

【3日待ちましょう】百合子

【3かを過ぎたら秩父警察署に、このボイスレコーダーを証拠として

提出します】百合子

【夢の世界の戯言が再生再現出来るとでも言うのかい】 男

【目が覚めたら必ず自首して下さい】百合子


【私は夢の世界を自由に操る事が出来る・現実の世界で自由に再現

再生出来る女です】百合子

3日経っても入沢田泥保痴は秩父署に出頭しなかった

【へっへっへっ・あの女の妄想・作り話さ・夢の中で喋った事等

再生・再現出来る訳ねーぜ・へっ・へっ・へっ・へー】


【秩父署はボイスレコーダーを頼りに両神村の山中を捜索して

山上薫さんと思われる遺体を発見した】

秩父署は犯人しか知り得ない【秘密の暴露】の証拠に基づき入沢田泥保痴

を山上薫さんの遺体遺棄容疑で逮捕した

不法生体移植手術容疑で、20人以上の医師も逮捕された、勿論

前沢詐欺汚那尻人は少女略取誘拐指示容疑で逮捕された

以外だった、山上薫さん略取誘拐及び殺害容疑で逮捕されたのは

畔蒜酒斑金時だった


【人の命を軽んじ人道を逸脱した身勝手な行動は、悲惨極まりなく許せる

ものでは無い、人の命を部品の様に取り扱い金の力で命を支配した】

【ある日突然命を奪われた被害者は無念極まりない】

【怒心頭本気田・裁判長は(いかりしんとう・ほんきだ)】

【前沢詐欺汚那尻人に禁錮99年の刑を申し渡した】


佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に99年間

暮らす事に成った

飯は99年間サメの生寿司・サメの肝たたき・味噌汁は具沢山生ゴカイ

暴れ喰い

【海底刑務所第39号棟(別名・サンキュー刑務所)に入獄決定した】


【夢中百合子の夢が今夜また始まる】

【今日の夜・夢中百合子が君達の夢の世界に侵入するのも直ぐそこまで

来て居る】

            【でかい足跡】

【今夜も百合子は夢の世界で空を飛んで居た、眼下の夜景は大きな庭に

何十万個の宝石を、ばら撒いたかの様に美しく輝いて居る】

【キラキラ・キラキラ】【キラキラ・キラキラ】【キラキラ・キラキラ】

いつ見ても飽きる事のない美しい夜景

百合子は40階建のビルの屋上に舞い降りた、周りにも30階建20階建の

ビルが複数建って居る

窓越しに見える20階付近の部屋が気に成った

カーテンは開いたままだ

男女3人が言い争って居る様に見える、女2人男一人

あっ男が女一人を突き飛ばした・突き飛ばされた女は弾んで転んだ

カーテンが閉められた

2人の人影がカーテンにぼやけて投影された

倒れた女の人影に2つの人影が重なって居る・何やらうごめいて居る

人影が短く成ったり長く成ったり・あっ部屋の照明が消された


【突然夢が切り替わった】

在る景色が広がって居る、可成り明るい昼間の様だ

2人の男女が車を走らせて居る、ハンドルを握って居るのは女の方だ

関越道で新潟県方面へ向かって居る、長岡ジャンクションで柏崎方面に、

走って居る、柏崎を降りて291号に入り武石峠たけいし方面に

向かって居る

その付近には石川峠田島峠等が在る途中に八石山等も在る


【突然次の夢に切り替わった】

『今日はこれからどうするの』女

『うーん・そうだなー・どっかへ寄るか』男

『ちょっと、お腹が空いたしね』女

『温たかいそうめんでも食うかな』男

『アッハッハッハ・相変わらずそうめんオンリーなのね』女

『貧乏な俺には最高のご馳走さ・茹で時間2~3分だしね』男

『アホなうどんなんて茹で時間・13~14分も掛かるぜ』男

『マヌケなうどんでも・7~8分も掛かる』男

『例外も有るけどね、稲庭うどんなんて珍しい物も在るね』男


店を出て車のトランクを開けると、泥の着いて居る2本のスコップを取り

出して駐車場の隅に在る水道水で洗った、敷いて在るブルーシートも

取り出しどろをはたきおとした、車の中やトランクの中はハンディ

掃除機で吸い取った

【そこで夢は終わった】

数日後    【行方不明事件が起きた】

ホテルに泊まった3人組が出て行った後、風呂場に血痕が付着して居ると

ホテル側から通報が在った

宿泊客名簿には泊まった3名の名前が記載されて居た

客室は39号室・何となく臭い名前だ

草野興梠儀くさの・こうろぎ男・鈴虫涼子すずむし・りょうこ

畑野罰田美はたけの・ばったみ


ホテルの防犯カメラに寄ると出て行ったのは男一人女一人だ

一人の女の姿が消えて居る・事件性が疑われる

乗っていた車は盗難車だった

3日後・盗難車は空き地に乗り捨てられて居たのが発見された

空き地に乗り捨てられた車の脇に2種類の足跡が残されて居た

【2つの足跡は30㎝と32㎝の足跡だった】


【群馬県警の捜査員は首を傾げた】

足跡から想像すると身長は2メートル以上に成る

ホテルの防犯カメラに写っている3人は、どう見ても男は170㎝以下

女2人は160㎝以下だ

わざわざ、何でこんなでかい足跡を残した

ホテルの39号室のドアノブ・ガラステーブル・洗面所の蛇口・コップ

冷蔵庫・電子レンジ・テレビのリモコン・トイレのレバー・等全てが

指紋が消されて居た

指紋検出は出来なかった


群馬県警は逃走した男と女を全国指名手配した、防犯カメラの映像も一般

公開された・連日の様にテレビのニュースに登場した

しかし何の連絡も無く何の手掛かりも何の報告もされなかった

遺体等・遺留品等も無い・凶器等も見つかっていない

群馬県警は盗難車の出所を探した、盗難届が出ていた

持ち主は、群馬県北群馬郡子持村在住の会社員(俵屋煎餅さん)と解った

夜中に盗難されて居た           (たわらや・せんべい)


【事件が起きたホテルは渋川市の・スカイランド・スーパーホテル】

この辺には美術館や博物館・記念館・牧場・ガラス工芸美術館・温泉等

多数存在して居る、外国人観光客も多い

事件発生から一か月が経って居た

犯人はこの辺の土地勘が在るらしい

車が乗り捨てられて居た場所は烏帽子岩えうぼし・いわ付近の空き地

だった・烏帽子岩付近には国道28号が在る

美術館・温泉等・多数存在して居る為に一日の通過車両も何千台にも登る


何千台にも登るこの中から一台の車を特定するのは非常に難しい

烏帽子岩付近から吾妻あがつま方面へ向かったのか箕郷町みさと

方面か国道155号に入って岡崎方面へ向かったのか国道211号で

草津街道方面か

群馬県警は盗難車両を徹底的に調べたが、証拠に繋がる様な物は発見

されなかった

車の後部座席から微量の砂が見つかったが、証拠としては乏しい


犯人の乗り換えた車が特定できず捜索は難航を極めたが

群馬県警は・Nシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)を使い

盗難車両の移動記録を作成した

北群馬郡子持村から伊香保温泉の宿へ移動して居る

次の朝・徳富蘆花文学館とくとみ・ろか竹久夢二記念館(たけひさ

ゆめじ)記念館・切り絵美術館・ガラス工芸美術館・システィーナ

美術館と巡り・事件が起きた・スカイランド・スーパーホテルに午後4時過ぎに入館して居る

【次の日に烏帽子岩へと向かって居る事が判明した】

逃走用・乗り換え車両は既に烏帽子岩付近に準備されて居たものと

思われる共犯者が居る可能性が浮上した

捜査は難航して更に一か月が経った


【百合子は夢を見ていた】

男女2人が車に乗って走行して居る、この男女の夢を見るのは3回目だ

一回目は遠景からの窓越しで夜だ・顔の特定が出来て居なかった

2人の会話は親し気だが夫婦では無いらしい


『夜空野不運児さんには連絡着いたの』女

『いやー・まだだね、中々連絡取れない男なんだよ』男

『すっかり昼間のワイドショーに出てしまったなー』男

2人は淡色系茶色のサングラス、白いマスクで男は着けヒゲにして居る

『時々検問なんかあったりするとドキッとするぜ』男

『今はアメリカの・バイデン大統領が来日中で、あっちこっちで、警察官

だらけだよ』男

『都内だけらしいから大丈夫よ』女


『迂闊には出歩けないぜ、大通りは避けた方がいいようだな』男

『なるべく細い裏道を走った方がいいようだな』男

『N・システムに写らねーように走らねーとな』男

『交差点には必ず設置されて居るからな』男

『N・システムの全国設置数は千七百か所も在るらしいぜ』男

『毎年新しく増設されて居るらしいぜ』男

【そこで夢が終わった】


【百合子は夢の中に登場する男の方の、脳内に侵入して脳内に在る無限の

情報を呼び出し・過去・現在の映像を再生する事にした】

3人の偽名と本名も解った

【今回の殺害に関する情報は特に鮮明な映像を再生した】

男は赤城の駒ヶこまがたけで一人穴埋めをやって居る最中だ

穴埋めを終わると周りの枯葉・枯れ枝を拾い集め埋めた場所にばら撒いた

殺害した鈴虫涼子さんを埋め終わった様だ

相棒の畑野罰田美は先に駒ヶ岳を下って行ったらしい


【よしっ・今だっ】

百合子は草野興梠儀の脳内に広がった夢の世界に侵入した

百合子の前頭前野に草野興梠儀の無限の情報が鮮明に広がり写し出された

【百合子は草野興梠儀の背後に静かにその姿を現した】

背後から声を掛けた

【草野興梠儀さん今・鈴虫涼子さんを埋めたのですね】


【草野興梠儀は引きつった顔で振り返った】

【うおーっ・誰だお前は・あーっ・なんだー】

『ついさっきまで、周りには誰も居なかったぞー』男

『いつの間に出て来たんだよう・観て居たのかよう』男

『ゆ・ゆ・ゆ・幽霊かーっ・うおーっ』男

『草野興梠儀さん本名は臨済時釈然りんざいじ・しゃくぜん

さんですね

『土に埋めたのは鈴虫涼子さん・本名は発星時蓮華さんですね

(はっしょうじ・れんか)・相棒の畑野罰田美・本名は

瑞光時尊花ずいこうじ・そんかさん・間違いないですね


【そ・そ・そ・そうだ・何で俺達の本名を知って居るんだ】

『今、喋って居るのは夢の世界』

【臨済時釈然さん貴方の脳内に侵入して、脳内の記憶を呼び戻しその全てを再生・再現したのです】

【瑞光時尊花と共謀して発星時蓮華さんを殺害して土に埋めたん

ですよね】

【あなた達の犯行の一部始終を再現したのですよ】

【逃げる事は出来ません、諦めて下さい】

【渋川市内に在る・スカイランド・スーパーホテルの39号室が

殺害現場ですね】

【金ノコ2本で遺体を切り刻みましたね】


何でそんな事が解るんだよう、当てずっぽうの想像・推測だろうがよう

【貴方の脳内に焼き付いた記憶が教えてくれるんですよ、貴方の脳内の

内側には鮮明な映像記憶として焼き付いて居るのです】

【幾ら否定しても一生消える事の無い残忍な映像が、心の奥底に焼き付き

剝がす事の出来ない映像と成って、眠って居るのです】

【もっと・再生した映像を説明再現しましょう】


【あなた達2人は金ノコ2本で其々が両手・両足を切断しました】

【頭部と胴体も切り離しました】【凶器は金ノコとサバイバルナイフ

サバイバルナイフでは腹部と胸部を突き刺しましたね】

【風呂場で血抜きをした・大型トランク2個に押し込んだ】

【車で駒ヶ岳山中に運び・2人で穴を掘り遺体を埋めた】

【先に降りた瑞光時尊花と麓で待ち合わせた】

【駒ヶ岳から赤城道路(国道4号)を走行し国道353号に入り

たちばなの郷付近で腹が空きそうめん専門店に入りました】


【そうめん一番】で、そうめんを食べましたね

【店をでると泥の着いたスコップを駐車場の隅に在る水道で洗った】

【トランクのブルーシートを取り出し砂をはたき落とした・更に

ハンディ・掃除機で車の中・トランクの砂を吸い取った】

【店に入る前に・アホなうどん・マヌケなうどんの話をしましたね】

【くそっ・噓だろう、車の中には2人切りで他には誰も乗って

居なかったぞ】男

【まるで隣で座って観て居た様にぬかしやがってよう】

【その通りです、事の一部始終を観て居たのです】百合子


【貴方の脳内の内側に焼き付いた映像記憶を再現したのですよ】

【貴方が目の当たりにした、全ての風景が再現されて私に教えて

くれるのです】百合子

【どうです、全て間違いないでしょう】百合子

【そんなバカな、くそっ】男

【今の話は夢の世界の話だろうよ・誰も信じねーぜ】

【所詮夢の中の戯言だ、作り話だろうよ】男

【殺害したのも遺体を遺棄したのも2人の犯行ですね】百合子


【その通りだ・全てその通りだ・何もかもその通り間違いない】男

【しかし現実の世界で再生・再現出来る訳ねーぜ】男

【今の話は全て、ボイスレコーダーに録音しました】百合子

【へっ・へっ・へっ・目が覚めたらどうせ消滅するぜ・へっ・へっ】

【自首して下さい、3日間待ちましょう】

【3日経っても出頭しない場合は群馬県渋川署に・犯人しか知り得ない

【秘密の暴露】の証拠に基づき発星時蓮華さん殺害・遺体遺棄容疑の

証拠としてボイスレコーダーを提出します】

【へっ・へっ・へっ・出来る訳ねーぜ・目が覚めりゃー消滅するぜ】男

【臨済時釈然さん消滅する事は在りません】

【私は夢の中の映像を現実の世界に呼び寄せ引き戻します・そして

再生・再現出来る女です・必ず自首して下さい】百合子


【百合子は夢に出て来た・瑞光時尊花の脳内に侵入して脳内の記憶を

呼び出した】

【瑞光時尊花の脳内に記憶されて居る、無限の情報の映像が百合子の

前頭前野に鮮明に広がった】

瑞光時尊花は釈然より先に山を降りて、麓に止めてある車のトランクを

開けると持って居たスコップを入れた、トランクを閉めると助手席側の

ドアを開けて座席に座った

百合子は直ぐに車に侵入したがその姿は現して居ない

助手席に座った尊花は一端後部座席を振り返りまた前を見て寛いだ

【よしっ・今だ】

【百合子は瑞光時尊花の後ろ姿を見ながら後部座席にゆっくりと静かに

其の姿を現した】

【背後から声を掛けた】


【瑞光時尊花さんお話が在ります】

瑞光時尊花は顔が引きつり顔面蒼白で振り向いた

【きゃーっ】【ひえーっ】【あっあーっ】

【ゆ・ゆ・幽霊―っ】【ギャー・だれーっ】【幽霊―っ】

【車の中は誰も居なかった筈なのにー】

【私は夢中百合子と言う者です】

【今・喋って居る世界は夢の中の世界です、現実の世界では在りません】

【幽霊でも在りません、発星時蓮華さんが行方不明に成ってから70日も

経ちました、殺害されてしまった様です】

【遺体が何処に在るか解って居ますよね、山中に穴を掘って遺体を

埋めましたね】


【駒ヶ岳から赤城国道4号を走行して国道353号に入り、たちばなの郷

付近で腹が空きそうめん専門店【そうめん一番】でそうめんを食べ

ましたね

【そうめん一番】に入店する前に車中で臨済時釈然がアホなうどん

マヌケなうどんの話をしましたね】

【どうです間違い在りませんね】


【確かにそうです、まるで隣の座席に座って観て居たかの様です】

【そうです・2人の残忍な犯行も全て観て居たのです】

【車の中には2人切りで他には誰も乗って居なかったのに、どうして

見えるのですか】瑞光時尊花

【瑞光時尊花さん、今の話は貴方の脳内に在る無限の情報を剥ぎ取り

呼び起こし再生・再現したものなのです】

【貴方の脳内の記憶が私に教えてくれるのです】

【共犯者も2人居ますね】

【夜空野不運児・舎弟の朝焼野半穴時】

【この2人に逃走用の車を準備させましたね、しかも、小細工まで

指示しましたね】


【30㎝・32㎝の靴を用意させ靴の中敷きを抜き、その代わりに

足型の鉄板(重さ・1.5キロ)を靴の中敷きとして使用した】

【大きな靴に小さい25㎝の足が入るとバランスの悪い不自然な足跡に

成る、その為にわざわざ鉄板を入れた】

【鉄板の重みで足跡がクッキリ残った、鉄板入りの靴で車の周りを

歩く様に指示をした】

【この大きな足跡を見ると、誰もが2メートルの大男が関与して

居ると思った】

【これで群馬県警は混乱した、2メートルの大男が運転して居たと思い

2メートルの大男が運転する車を探した】

【そうですね尊花さん間違いないですね、車中でN・システムについて

も会話しましたね】


【発星時蓮花さんの殺害と遺体遺棄を認めますか】

【えーまー・全てその通りです】瑞光時尊花

【私と臨済時釈然は殺人と遺体遺棄の犯行を実行しました】

【正直に認めてくれますね】

【ボイスレコーダーに録音しましたよ】

【どうしてそんなに克明に解るんですか、話は全くその通りです】

【私が喋った全ての事は貴方の脳内の内側に焼き付いた、記憶細胞が

私の前頭前野に映像として再生・再現されるのです】

【瑞光時尊花さん貴方の脳内に焼き付いた残忍な行動は、脳裏に焼き付き

心の奥底に深く眠ります】

【一生消える事は在りません】


【しかし今、喋って居るのは夢の世界ですよね】

【目が覚めたら全て消滅するんですよね】瑞光時尊花

【いいえ・消滅しません私は夢の中の映像を現実の世界に呼び寄せ

引き戻します】

【そして、その映像を再生・再現出来る・女です】

【群馬県の渋川署に自首して下さい・3日待ちましょう3日経っても

出頭しない場合は、このボイスレコーダーを渋川署に提出します】

【貴方が喋った事認めた事は犯人しか知り得ない【秘密の暴露】として

採用されます】百合子


【あのさー・昨日の夢にさー・変な女が出て来てよー、

ボイスレコーダーに録音したから渋川署に自首しろと、言って居るんだけどよーどう思う】男

【えーっ・私の夢にも変な女が出て来てさー・犯行の一部始終を録音

したから渋川署に自首しろと言っているんだよねー】

【喋る内容は全部合って居るんだよねー】瑞光時尊花

【その夢から覚めて2日経つけどねー・どうするー】

【チョット気持ち悪いけど出頭するのは止めようか】

【2人は出頭しないで3日過ぎた】


【渋川署はボイスレコーダーの内容を基に、駒ヶ岳の山中を捜索して

発星時蓮華さんの遺体を発見した】

【臨済時釈然と瑞光時尊花は発星時蓮華さんの殺害及び遺体遺棄容疑で

逮捕された】

【夜空野不運児と朝焼野半穴時も逮捕された、この2人は捜査攪乱の

罪も追加された】

【頭煮仏堕尻捲り裁判長は(ずしゃぶつだ・けつまくり)

【夜空野不運児と朝焼野半穴児に禁錮18年】

【臨済時釈然と瑞光時尊花は禁錮99年を申し渡した】


【佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に99年間

服役する事に成った】

【飯は鮫の袋叩き・みそ汁は・生ゴカイ具沢山爆裂踊り喰い】

【海底刑務所第39号棟の楽しい毎日の生活が待って居る】

【別名・サンキュー・刑務所】


【夢中百合子の夢が今夜も始まる】

【今日の夜、夢中百合子が君達の夢の世界に侵入するのも直ぐそこだ】

【ベッドの横に立って瞳を閉じるのをじーっと覗き込んで居る】


                    種子火たねび

【この物語は全てフィクションです実在しません】


           【登場人物】

 夢中百合子・夢中半蔵・夢中徳蔵・夢中富子・夢中皇花


入沢田泥保痴・畔蒜酒斑金時・前沢詐欺汚那尻人

山上薫さん・山上未知子さん(母親)

臨済時釈然・瑞光時尊花・発星時蓮華

夜空野不運児・朝焼野半穴児


怒心頭・本気田裁判長  頭煮仏堕・尻捲り裁判長




          【ジャッジ・D】  

               【夢の世界で裁く人】

                 【D=ドリーマーの意味】

   【夢中百合子の夢の世界】 2

   【謎の男と女】

【夢中百合子は今日も夢を見て居た】     


車が国道17号を高崎方面へ走って居るハンドルを握って居るのは一人

の男だ。同乗者は居ない、本庄市付近で脇道に逸れて40分程走行して

車を止めた

2階建の住宅が20数軒建って居る。静かな住宅街だ。男は車から降り

て暫く住宅地の遠景を眺めて居たが、在る一軒家が目に止まり近づいて

行くと、住宅の周りをグル・グルと周り始めた

両手に黒い手袋をしてリュックを背負って居る

家の周りには塀が無く畑や庭が広がって居る

周りの建物との境目に隔たりは無く広々とした風景だ

2階屋だが玄関の上は一階だ・夜も更けて周りは暗い


【そこで夢が切り替わった】

男がパチンコをして居る

【チーン・ジャラジャラ】【チーン・ジャラジャラ】

【チーン・ジャラジャラ】【チーン・ジャラジャラ】

パチンコ台に可成り溜まって来た

隣のイスに座って居る女の人と喋り出した

【お姉さん久し振りだね】男

【あらっ・久し振り・最近余り顔を見せなかったわね】

【如何して居たの、元気にやって居たの】女

【うーん・まー・仕事はして居たけど暇でねー】男

【コロナ騒ぎで面倒な世の中に成っちまったよなー】男

【飯の時もマスクだしね、アクリル板の衝立も在ったりねー】男

【そうねー・いちいちマスクを着けたり外したりねー】女

2人はタバコを吸って居る

適当な会話をしながら3時間が過ぎた


【お姉さんそろそろ飯にしない、今日は奢るよ】男

【えっ・あっ・そう・そうねー、御馳走に成ろうかしら】女

【車でさー・5分程の所にそうめん専門店が有るからどう】男

【あらっ・はっ・はっ・は・相変わらずそうめん党なのね】女

【まー・そうだね・手軽で旨いから小腹空いたらそうめんが一番だよ】

【そーねー・最近はトッピングも豊富に在るしね】女

【大葉・茗荷谷は欠かせないね】男

【オクラの刻みもいいわね】女

【大葉・茗荷谷は天ぷらにも旨いしね】男

【オクラも天ぷらにはピッタリよね】女

2人はそうめん専門店

【そうめん・百億麺】に入った

百合子には面識が無い2人だった

【そこで夢が終わった】

数日後

【百合子は夢を見た】


アパートの駐車場に4トントラックが止まって居る

トラックに5人の男達が忙しく荷物を運んで居る・引っ越しの様だ

一回目の夢に出て来た男とパチンコ店の男と同一人物だ

最初の夢で家の周りを歩いて居た男だ

トラックに積み終わるとトラックと同時に男の車も発進した、男の車

の助手席にはパチンコ店で知り会った女が座って居る

2キロ位はトラックと男の車は同じ方向だったが、トラックと車は

2手に分かれた

トラックは左折して高速道路に向かった・男の車は直進して一般道路を

走って居る

パチンコ店を出て【そうめん・百億麵】を食べた後から同棲を始めた

らしい・そうめん専門店を見つけると駐車場に入った


【そうめん・大金星麺】の看板

【あっ・はっはっ・本当にそうめんが好きなのねー】女

【まー・そうだね毎日食っても飽きねーしな】男

【俺と一緒に居ると毎日そうめんだけど、適に今日の夜は焼肉でもどう】

【牛タン・カルビ・ビビンバ・ハラミ・これ位食べれば満足だね】男

【モモちゃんは何食べる】男

【私もほぼ同じよ、もうちょい・ユッケもいいかな】垂着百華

【こんちゃんは、それで満足なの】たれつき・ももか

【俺はそれで充分だねー】桃源郷魂胆とうげんきょう・こんたん


【そこで夢は終わった】      暫くして

【夫婦殺害事件が起きた】【現実の世界】

事件現場は埼玉県本庄市児玉町蛭川・夜中の犯行だった

次の日の朝近所の住民から本庄署に通報が在った

翌日

本庄市児玉署は捜査本部を設置した、児玉署は現場検証を開始した

被害者は・尾場間馬楽さん(69才)妻の・タキ子さん(66才)

犯行時刻は夜10時から12時の間

死亡推定時刻は夜の11時前後と見られる

夫の馬楽さんは一階の和室(6畳間)で胸に3か所の刺傷が在った

頭も鈍器の様な物で殴られて頭から血を流して倒れて居た


妻のタキ子さんも頭を鈍器の様な物で殴られていて、頭から血を流して

倒れて居た(2階の和室8畳間)2人供に普段着姿だった

一週間で延べ400人の捜査員が動員された、現場検証は一週間で

終了した

300人以上から聞き込み捜査を行ったが、犯人に結び付く有力な

情報は得られて居ない

廊下と壁と天井に多数の血痕が付着して居た、勝手口のドアノブにも

血痕が付着して居た

馬楽さんとタキ子さんの財布は見つかって居ない


犯人が財布を持ち去った強盗殺人事件の可能性が高いと見て引き続き

調べを進めて居る

預金通帳は数冊見つかり通帳は残されて居る


 【脳内に眠って居る記憶を呼び出し再生・再現します】

児玉郡蛭川夫婦殺害事件が起きてから、5年の月日が経って居た

犯人はまだ捕まって居ない

犯人に関する情報すら全く無い、凶器すら見つかって居ない

犯人を特定出来る物証も無い

何故犯人が何の目的で、尾場間馬楽さん夫婦を殺害したのか、動機に

繋がる有力な物証や情報も無い

【難解な事件に成ってしまった】

【百合子は児玉町蛭川の夫婦殺害事件をさかのぼり、事件当日の

桃源郷魂胆の脳内に侵入した】

【記憶の一部を剥ぎ取り・引き寄せ・潜在意識を呼び出し百合子の

前頭葉・前頭前野に再生再現した】


【百合子はその光景に思わず息を飲んだ・悲惨な光景が広がった】


【桃源郷魂胆は夜中の10時過ぎに玄関のドアを開けた、鍵は掛かって

居たが道具を使って簡単に開けた】

【静かに忍び込み一階の和室(6畳間)の戸を開けた、馬楽さんは

コタツに足を入れて寝て居た】

【魂胆はリュックからサバイバルナイフを取り出して、そのまま

馬楽さんの胸に無言で突き刺した、持って来た金槌で頭を殴打した】

何の抵抗も無く出血してぐったりした、声すら出す事も無かった】

【魂胆はそのまま直ぐに2階に掛け上がり、2階の和室(8畳間)に

侵入して、横に成って休んで居たタキ子さんに襲い掛かり金槌で

頭部を数回殴打した】


【一階に降り台所のシンクの横に立った】

【2人を殴打して緊張して気が高ぶり、タバコを取り出して2本吸った】

【しかし、タバコを持つ手が微妙に震えている】

【吸い殻は台所のシンクに投げ捨てた】

【魂胆は土足で家中を歩き周り始めた、A・T・М・通帳引き出しは

A・T・М・の防犯カメラに写ってしまう為、通帳は盗まない】

【貴金属は足が着き易いので狙わない、狙うのは現金のみだ、2人の

財布だけを探して盗んだ】


【殺人現場の一部始終が、百合子の前頭前野に克明に再現された】


【桃源郷魂胆の脳内に記憶されて居る殺人現場の様子があからさまに

成った・魂胆の脳内細胞に焼き付いた記憶が深い心の奥底に眠って居た】

【その眠って居た心の奥底の記憶を再現した】

【百合子は殺人現場をもう一度リピートした】

【桃源郷魂胆がタバコを吸い終わり、家中を歩き回る所から再生した】

【魂胆はタンス・引き出し・押入れを物色して居る】

【よしっ・今だっ】

【百合子は一階のシンクの横にその姿を静かに現した】

【シンクの中に捨てられたタバコの吸い殻を拾い、用意して居た吸い殻

入れに一本だけ仕舞った、もう一本は現場に残した】

【魂胆は夢中に成って押入れを物色して居る、百合子は魂胆の背後に

静かに近づいた】


【背後から声を掛けた】

【桃源郷魂胆さん、尾場間さん夫婦を殺害しましたね】

【うわーっ・いきなり・なんだー】【ゆ・ゆ・幽霊かーっ】

【誰も居ない筈だぜー】【なんだー・こりゃー】【おわーっ】

【顔は引きつり顔面蒼白に成った】

【今、喋って居るのは夢の世界です・現実世界では在りません】

【幽霊でも在りません・今日貴方がやった事の一部始終を観ましたよ】

【どういう事だ・嘘だろう】

【そんなバカな、そんな事等出来る訳ねーだろう】

【私は夢中百合子と言います】


【大体何で俺の名前を知って居るんだよう】

【貴方の脳内に在る記憶細胞が私に教えてくれるのです】

【貴方の行動を全て観ましたよ】

【2人を殺害しましたね】

【貴方の脳内に焼き着いた記憶を呼び寄せ再生したのです】

【貴方が今まで生きて来た記憶の全て呼び寄せ、引き出す事が出来る

のです】

【そんなバカな、夢の世界の映像の再生なんて幻想だ、作り話だろうよ】

【魂胆さんパチンコ店で知り会った垂着百華さんと店を出た後

【そうめん・百億麵】で食事をしましたね

【彼女の本名まで何で知っているんだよ】


【貴方の脳内細胞が私に教えてくれるのですよ】

【大葉と茗荷谷はそうめんには欠かせない・オクラの刻みも旨い】

【天ぷらにするのも旨いとか会話しましたね】

【その後から垂着百華さんとアパートで同棲を始めましたね】

【4トントラックを手配してアパート引っ越しましたね】

【そうめん・大金星麺】に入り今夜の夕食は焼き肉にしようとか】

【牛タン・カルビ・ハラミ・ビビンバで満足とか会話しましたね】

【どうです、間違いないですね】


【どうして、そんなに詳しく解るんだよう】

【車の中はいつも2人切りだったぜ】

【全部話は合って居るが所詮夢の中の話だ、誰も信じねーぜ目がさめ

てしまえば消えて無くなるぜ】

【はっ・はっ・は・消えてしまうんだよう】

【改めて問います】

【尾場間馬楽さん妻のタキ子さん2人を間違いなく殺害しましたね】

【観て居た様に喋るじゃねーか】

【2人を殺った時きゃー家の中には誰も居なかったぜ】


【尾場間馬楽さんはサバイバルナイフで3回胸を突き刺し・その後頭

を金槌で殴打した】

【その後2階に掛け上がり、横に成って休んで居た妻のタキ子さんを

金槌で数回殴打して殺害しましたね】

【間違いないですね】

【その通りだ、間違い無い2人を殺ったのは俺だ】

【今の話全てボイスレコーダーに録音しました、どんなに言い訳を

しても、逃げる事は出来ません】

【諦めて下さい】


【児玉署に自首して下さい】

【3日間待ちましょう】

【3日経っても児玉署に出頭しない場合はボイスレコーダーを

尾場間馬楽さん夫妻殺害の証拠として児玉署に提出します】

【あのよー・さっきも言ったけどよー・俺が喋ったのは現実の世界じゃ

ねーんだぜ・夢の世界の話さ、警察は信じねーぜ・はっ・はっ・はっ】

【消滅する話だぜ】

【桃源郷魂胆さん貴方の喋った事は消滅しません】

【貴方の心の奥底に眠って居た映像を呼び寄せ、引き出したのです】

【そして、引き出した映像を現実の世界で再生・再現出来る女です】

【諦めて自首して下さい】

【桃源郷魂胆は児玉署に出頭しなかった】


【提出されたボイスレコーダーとタバコの吸い殻の証拠に基づき

桃源郷魂胆を尾場間馬楽さん、妻のタキ子さん強盗殺害容疑で逮捕

起訴した】

【現場に残された吸い殻と、ボイスレコーダーと一緒に提出された

タバコの吸い殻のD・N・A・鑑定で同一人物の物と判定の結果

が出た】

【余りにも短絡的・身勝手な犯行で・夫婦仲良く暮らす2人の人生を

奪った残虐非道な犯行は許されるべきものではない】

【悲惨極まり無い残忍な犯行だ】


【恐山大忿怒・御陀仏無念】裁判長は桃源郷魂胆に禁錮99年の裁定を

下した】(おそれざんだいふんぬ・おだぶつむねん)

【海底刑務所名物料理人【地獄野番人】プロデュース生蚯蚓爆裂

踊りてんこ盛りを堪能するが良い】裁判長

【佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に69年

間服役する事に成った】

【海底刑務所第39号棟(別名・サンキュー・刑務所)入獄決定】


【夢中百合子の夢が今夜も無限に広がる】

【今日の夜・夢中百合子が君達の脳内に広がる夢の世界に侵入して

暗黒の奥深く渦巻く・心の奥底に眠って居た心の蓋を取り外し

黒い塊を取り出してくれる】

【瞳を閉じるのをベッドの側でじっと覗き込んで居る】


【嘘の儲け話をする・残忍・凶悪・殺人鬼】

【夢中百合子は今日もまた夢を見て居る】


男が荒川河川敷で2頭のドーベルマンを連れて散歩して居る、正面から

一人の女性がゴールデンレトリバーを連れて散歩しながら近づいて来た

2人の距離が縮まって来た

男が声を掛けた

『いい犬ですね、訓練すると賢くて更に良い犬に成りますよ、訓練

して上げましょうか』

『犬には御詳しいのですか』

『え・え・私は警察犬訓練士の資格を持って居るんですよ』

『失礼ですが御名前は何とおっしゃいますか』

『私は山形犬瑞犬と言う者です』(やまがたけん・ずいけん)

『貴方の御名前は何とおっしゃいますか』

『私は本妙寺弥勒と言います』(ほんみょうじ・みろく)


『本妙寺さん宅では何頭の犬を飼って居るんですか』

『今現在、レトリバー・一頭とシベリアンハスキー・一頭ですね』

『今度、お宅に御伺いして犬に付いての専門知識とか犬の正しい

しつけの仕方等と色々教えて上げますよ』瑞犬

『御主人の御名前は何とおっしゃいますか』瑞犬

『本妙寺弥勒吉です』(ほんみょうじ・みろきち)

『御主人も犬がお好きでしょうか』

『え・え・そうですね』弥勒


【そこで夢が切り替わった】

『本妙寺弥勒吉さん、今度共同でペット・ショップ経営やりませんか』

『可成り儲かりますよ・一年もすれば高級外車のベンツに乗れる様に

成りますよ』瑞犬

『ほう・そうですか、それは楽しみですね』弥勒吉

『開業資金としてお互いに400万ずつ出し合いませんか』瑞犬

『実は昔・ペット・ショップ経営して居たのですがね、しかし・まあ

始めての事で手際が悪く余り儲からず、途中で止めてしまったと言う

苦い経験が在るんですがね』瑞犬


『失敗は成功の基と言いますから、今度は上手く行く自信が在りますよ』

『どうです、一緒にやる気在りませんか』瑞犬

『弥勒吉さん先ず手始めに手付金として、50万円用意して貰え

ませんか』瑞犬

『2日後に私の口座に振り込んで下さい』瑞犬

『必ず儲かりますから、大丈夫ですよ、頼みましたよ』瑞犬

【そこで夢は切り替わった】


蔵王犬泥沼先生ざおうけん・どろぬま(獣医師)今ですね

年を取って体が不自由な大型犬が3頭居るんですが、体を動かすのが

辛そうにして居るんですよ、安楽死させてやりたいのですが』瑞犬

【筋肉弛緩剤と睡眠誘導済を譲って貰えませんか】

『あっ・そうですか・どの位必要ですか』蔵王犬

【筋肉弛緩剤はアンプル・5本ですね】(一本・2mmℓ)

【睡眠誘導済は10gですね】(一回使用量・0.5g)

睡眠誘導済ブロジャブリン筋肉弛緩剤サクリシンを入手】


【そこで夢が切り替わった】

『はいっ・あー・もしもし』瑞犬

『瑞犬さん50万円振り込んでもう14日も経つけど、何の返事もなく

一体どう成って居るんだい・瑞犬さん』弥勒吉

『そやなー・解った・秩父郡小鹿野町で話をしますか、実は小鹿野に

別荘を持って居るんですよ』瑞犬

『見晴らし良いですよ、空気もうまくて気分転換に成りますよ』瑞犬

『瑞犬はレンタカーを借りて本妙寺弥勒吉さんを乗せると、小鹿野町

牛首峠の麓に向かった』


『弥勒吉さんさっきから随分生あくびばっかりしとるけど、40分

眠ったら直ぐ目が覚めるドリンクが在りますよ、一本2万円もする

スーパー・ドリンクですよ』瑞犬

あらかじめ用意して居たブロジャブリン・0.5g入りを手渡した

『ちょいと栓が緩いかなあ』弥勒吉

『まっ・ちょいとね・早く飲んだ方がええでー』瑞犬

『弥勒吉は一気に飲んだ』

『弥勒吉は30秒でぐっすり眠った』

『山形犬瑞犬はバッグから・サクリシン・2mmℓ入りのアンプル一本

を取り出すと弥勒吉さんの右腕に注射した』瑞犬

暫くすると呼吸停止状態に成り窒息死した、瑞犬はそのまま牛首峠に

在る別荘に向かい到着した

しかし、良く見ると別荘等ではなくただ広い農地に建てた、掘っ立て

小屋だった

瑞犬は農地の隅に穴を掘って弥勒吉さんを埋めた


【そこで夢は切り替わった】

『山芋敬長さん(やまいも・けいちょう)儂は将来犬の繁殖場や犬の

訓練所の経営をしたいと計画しているんですが、この仕事を手伝って

見る気はないですかね』瑞犬

『どうしても若い力が必要なんですよ山芋敬長さん、明日から早速

農地の整地を手伝ってくれるかい』瑞犬

暫く時が流れた

『もう、一か月経ったなー、山芋さん整地は終わりや後は繫殖小屋と

訓練所を建てるだけやな』瑞犬

『山形犬瑞犬さん一ヶ月真面目に働いたけど、まだアルバイト代

貰ってないけど支払ってくれますか』敬長


『繫殖小屋と訓練所が出来るまで待ってくれんかい、後2ヶ月ちょっと

で出来る手筈に成って居るんだ』瑞犬

『工事屋の話では突貫工事でやれば2ヶ月ちょいとだとよー』瑞犬

『そうしたらまとめて一括支払いで百万円払うけどなー』瑞犬

『必ず支払うからもうちょい待ってくれんかい』瑞犬

暫く時が流れた

『瑞犬さんもう3ヶ月経って居るんだけど、支払いの方はどう成って

居るんですか』敬長

『もうちょいなんだ、もうちょい待ってくれんかい』瑞犬

『明日一日で終わらせるからなーもう目の前なんだー』瑞犬


『しかし工事の様子を見ると、一日では終わるとは思えない

後30日は掛かりそうに見える』敬長


後・二日で一気に作業する事にして居るから、今日の所はこの

ドリンクを飲んで精力着けてくれるかい』と手渡した

(ブロジャブリン入り)

『これは何のドリンクですか』敬長

『精力増強剤やなー・これを飲んどくと明日の作業でバリバリ

動けるでー』瑞犬

『よう、効くでー』『早う飲み―や』瑞犬

山芋敬長は一気に飲んだ

山芋敬長は直ぐにぐったりして眠った

【瑞犬は用意して居たサクリシン(筋肉弛緩剤)を右腕に注射した】

【山芋敬長は数分で呼吸停止状態に成り窒息死した】

【農地の敷地内に穴を掘って埋めた】


【そこで夢は切り替わった】

瑞犬は蔵王犬泥沼に紹介されて水商売の女性と知り合った

『水滝美倫さんは(みずたき・びりん)何頭の犬を飼って居るんですか』

『そうですね・アフガン・ハウンド・一頭ですね』美倫

『大型犬は一頭で充分なのよねー』美倫

『ああー・あの・上品な大型犬ですね』瑞犬

『商売の方は儲かっているんですか』瑞犬

『まあ・まあ・ですね・見た目程儲からないのよねー』美倫

『投資するのはどうですかね』瑞犬

『何か良い投資知っているんですか』美倫


『実は俺、警察犬訓練士の資格を持って居るんですよ、今まで

そうですねー・ペットショップ経営等やっていましたけどねー』

『世の中が不景気に成って売上が伸びず止めましたね、ブリーダーに

投資するのはどうですか』瑞犬

『最初の資金が有れば可成り儲かりますよ、共同出資なんてどうです

興味在りませんか』瑞犬

『あっ・そう資金はどの位必要なのですか』美倫

『最初は・雄・雌・揃えないといけないので、犬種にもよりますが

最低でも300万円から500万円は要りますかね』瑞犬


『大型犬に成りますと一頭で80万円から120万円はしますからね』

『最初は小型犬・中型犬からスタートすれば300万円以下で大丈夫

ですがね』瑞犬

『貴方がやってくれるのならお金出しますよ』美倫

『どの位出して貰えますか』瑞犬

『手始めに200万円でどうかしら、交配して増えたらもっと出し

ますよ』美倫

『おーっ・結構出してくれますね、俺に任せて貰えますか』瑞犬

【金を貰った途端・半分以上の金は生活費に使ってしまった

資金は底をついた】

【そこで夢は切り替わった】


『あーっ・もしもし・』瑞犬

『瑞犬さん・あのさー・いつに成ったら犬を仕入れるのさー・ちゃんと

さー・犬を仕入れて繫殖させてよねー』美倫

『預けた200万円少しずつでも返して貰わないとねー、慈善事業

やって居る訳じゃー無いからさー』美倫

『犬を仕入れて交配させてよねー、利益を出して貰わないとねー』

『大丈夫だよ、何とかするからさー、もうちょいと待ってくれんかなー』

『あのさー、もう3ヶ月経って居るのよねー、眠れないのよねー毎日

お金が心配でねー』美倫

〖瑞犬は水滝美倫を熊谷の食事処に誘い出した〗

〖食事の席で〗


『瑞犬さんきちんとやってよねー、200万円投資したんだからさー』

『話は良く解ったよ、明日にでも他のブリーダーに話を付けて仕入れに

行くよ』瑞犬

〖水滝美倫のマンションの駐車場に着いた〗

【眠れないならこれ飲むといいよ】とブロジャブリン入りのドリンクを

手渡した

【飲んで効くまで40分位掛かるから今直ぐ飲むとええでー】

【水滝美倫は一気に飲んだ】

2分もすると意識が無くなり後部座席でぐったり眠った

【透かさず瑞犬は用意して居たサクリシン、一本を右腕に注射した】

【数分で呼吸停止状態に成り窒息死した】

一目散に、秩父小鹿野町・牛首峠の麓に向かった

【牛首峠に着くと農地の隅に穴を掘って水滝美倫さんを埋めた】

【本妙寺弥勒吉さん・山芋敬長さん・水滝美倫さんと3人の遺体を

並べた】

【全てが計画通りの犯行だった】


夢中百合子は3人を殺害した、山形犬瑞犬の脳内に記憶され焼き付いて

居る、記憶細胞に侵入する事にした。

【記憶の奥底に眠って居る全ての記憶を呼び寄せ、引き出す事にした】

【一軒目の殺人事件・本妙寺弥勒吉さんの殺害から山形犬瑞犬の記憶

細胞を再生する事にした】

【小鹿野町牛首峠の麓に在る農地の隅に穴を掘って弥勒吉さんを埋め

終わった場面から再生する事にした】

【瑞犬は弥勒吉さんの遺体を穴の中に投入れ、スコップで土を被せ

始めた】

【夢中に成って埋めて居る・周りには誰も居ない】


【よしっ・今だ】

【百合子は山形犬瑞犬の背後にその姿を静かに現した】

【山形犬瑞犬さん今、埋めて居るのは本妙寺弥勒吉さんですね】

【瑞犬は引きつった顔で顔面蒼白に成り・後ろを振り向いた】

【うわーっ・なんだー・ゆ・ゆ・幽霊かーっ】

【いつの間に出て来たーっ】

【ば・ば・化けもんかーっ】【うわーっ】

【誰も居ねー筈だぞーっ】【本物の幽霊かーっ】

【瑞犬さん・私は夢中百合子と言う者です】

【今、喋って居るのは夢の世界】

【現実の世界では在りません・幽霊でも在りません】


【瑞犬さん、本妙寺弥勒吉さんにペットショップ・共同経営の話を持ち

掛け・手付金として50万円を受け取りましたね】

【失敗は成功の基だとか、適当な話で最もらしく信用させましたね】

【獣医師の蔵王犬泥沼から・ブロジャブリン・サクリシン・を譲り

受け・ドリンクにブロジャブリンを混入させ眠らせ弥勒吉さんの右腕に

注射して・窒息死させましたね】

【そして小鹿野町牛首峠の麓に借りている、農地の隅に穴を掘って

投入れ埋めましてね】

【今・立っているこの現場がそうですね】

【な・な・何で知って居るんだ】


【車の中でスーパードリンクと称して飲ませ・眠らせ・そして

サクリシンを注射した】

【間違いなくその通りですね・ずーっと観て居たのです】

【おかしいぞ、車の中でも弥勒吉と2人切りだったぜ】

【蔵王犬泥沼から薬を受け取る時も2人切りだった、他には誰も

居なかったぞ】

【貴方の脳内に在る記憶細胞が私に全ての映像を再生し・映し出して

教えてくれるのです】


【そんな馬鹿なそんな事嘘だろう・作り話だ・幻だ】

【瑞犬さん、今、私が喋った事に間違いないですね】

【そ・そ・そうだ・確かにその通り全部合って居る、がしかし夢の

世界の話さ、目が覚めれば消えて無くなるぜ、そうだろう】

【瑞犬さん消滅しません・心の奥底に眠って居る貴方の記憶細胞が私の

前頭葉・前頭前野に再生して見せてくれるのですよ】

【私は最初からずーっと観て居たのですよ】

【今の話はボイスレコーダーに録音しました】

【しかし、現実の世界に再生出来る訳が無い】

【瑞犬さん今日はこれで私は消えます・また明日の夜お会いしますよ】


【つぎの夜百合子は、2件目の殺害現場を記憶して居る瑞犬の脳内

細胞に侵入して、脳内の映像を引き出す事にした】

【瑞犬が山芋敬長さんを穴に埋める場面から再生する事にした】

【瑞犬は穴を掘って居る、山芋敬長さんの遺体を穴に投入れ埋め

始めて居る】

【周りには誰も居ない、夢中に成って土を被せて居る】

【よしっ・今だ】

【百合子は土を被せて居る瑞犬の背後に静かにその姿を現した】

【背後から声を掛けた】

【山形犬瑞犬さん、今・埋めて居るのは殺害した山芋敬長さんですね】

【埋めたのは2人目ですね】

【瑞犬は顔が引きつり顔面蒼白に成り振り向いた】

【うわーっ】【何時の間に・またー出たかーっ】

【うわーっ】【誰も居ない筈だぞーっ】


【今、喋って居るのは夢の世界】

【現実の世界では在りません】

【夢の世界で会うのは2度目ですね・覚えて居ますか】

【そ・そ・そう言えば前に会った様な幻の様な記憶が微かに】

【あんまり、会いたく無い様な記憶が微かに在る様な】

【山芋敬長さんに犬の繫殖場や訓練所運営の話を持ち掛け、アルバイト

として働かせて金を支払わずに更に3ヶ月も待たせた】

【金を請求されると一括支払いで百万円支払うと、噓を着きましたね】


【金の話に成ると、もうちょい待ってくれんかいと、先延ばしにして

突貫工事で早く終わらせ、金を払うと嘘を着きましたね】

【精力増強剤と称して嘘を着き遂に、ブロジャブリンを飲ませ眠らせた

後に、直ぐにサクリシンを一本注射しましたね】

【そして・窒息死させた】

【今・この現場に殺害した山芋敬長さんを埋めたのですよね・その

足元に】

【間違いないですね・どうですか】

【な・な・何でそんなに詳しく知って居るんだ】

【周りには誰も居なかったぜ】

【確かに山芋敬長を殺ったのは俺だ、しかしおかしい】

【瑞犬さん、今の話はボイスレコーダーに録音しました】

【しかし、夢の世界の話なんだよなー・幻の世界の話なんだよなー】

【目が覚めたら消滅するんだよなー・消えてしまうんだよなー】

【山形犬瑞犬さん・目が覚めても消滅しません】


【貴方が目の当たりにした殺害映像は、心の奥底深く焼き付き一生

消える事は在りません】

【ただ貴方の潜在意識が心の奥底で重い蓋をして、心の闇の世界に

押し込めて居るのです】

【多分その光景は見たくも、思い出す事も嫌な光景なのでしょう】

【そういう自分を受け入れたくないのでしょう】

【私は貴方が心の奥底に閉じ込め押し込んで居る蓋を取り除きました】

【その、黒い闇の塊の世界を・再生・再現しました】

【瑞犬さん今日はこれで私は消えます】

【また・夜にお会いしましょう】


【百合子は3件目の殺害事件・水滝美倫さんの遺体を埋める場面から

再生して瑞犬の脳内に侵入する事にした】

【瑞犬は車の後部座席で窒息死して居る、水滝美倫さんを引きずり

出した】

【掘ったばかりの穴に遺体を放り投げた】

【夢中に成って土を被せて居る】

【よしっ・今だっ】

【百合子は、夢中に成って土を被せて居る山形犬瑞犬の背後に静かに

その姿を現した】

【背後から声を掛けた】

【瑞犬さん遺体を埋めるのは3人目かい】

〖瑞犬は後ろを振り返ったが、白目が血走り顔面の筋肉が可成り痙攣

して、全身硬直の状態で少しずつ震え初め、漏らし始めた〗


【ぐわーっ・ごげーっ】【✿➡♨❖♼】

【げっ・ごっ・ぎっ・がっ】【♥➑➒♼➡✂♺】

【♼♥♬♨♻⬆❖⬇♬➡♺♼♻♼⬆✿♥】

【グギッガッギゴッ】【ズッジッゲッゲッ】【♨♸♵❶】


【言葉に成らない・声にも成らない・うめき声】

【水滝美倫さんを殺害して穴に投入れ埋めたのかい】

【な・な・何で知って居るんだい】

【貴方の記憶細胞が私の前頭葉・前頭前野に映像を映し出して教えて

くれるのです】

【俺の記憶細胞が教えてくれるのかい】

【今・喋って居るのは夢の世界】

【現実の世界では在りません】

【瑞犬さん・貴方に会うのは今日で3回目ですよ】

【私の顔に見覚えが在るでしょう、良く思い出して下さい】


【そ・そ・そう言えば前にも何回か見た様な・何となく微かに記憶が】

【水滝美倫さんにブリーダー投資話を持ち掛けましたね】

【色々好き勝手に喋り噓を着いて信用させ・200万円をせしめ

ましたね】

【しかも200万円を手にした途端半分以上は生活費に使い果たした】

【殆どが無くなり資金は底をついた】

【投資の話は3ヶ月も放置して、美倫さんから繫殖状況を指摘されると

他のブリーダーに話をすると噓を着き・殺害を決めた】

【今まで殺害した2人の様に】


【な・な・何でそんなに詳しく知って居るんだ】

【所詮夢の中の話だろう】

【瑞犬さん貴方が目の当たりにした光景は、全て貴方の記憶細胞に

焼き付いて居るのです、一生消える事等無いのです】

【その、貴方の記憶細胞が私に全ての映像を再現して見せてくれる

のです】

【おかしい、そんな事が出来るなんて噓っぱちさ】

【美倫さんのマンションの駐車場に着くと言葉巧みに噓を着き睡眠

誘導済ブロジャブリンを飲ませた】

【後部座席でぐったりした美倫さんに筋肉弛緩剤サクリシン

注射した】

【数分で窒息死させた】


【そのまま小鹿野町牛首峠の麓に借りている農地の隅に、穴を掘り

遺体を放り投げ・埋めた】

【今貴方が立っているその場所こそが、美倫さんを埋めた場所ですね】

【間違いないですね、全て合って居るでしょう】

【秩父郡小鹿野署に出頭して下さい】

【水滝美倫さんを殺ったのは間違いなく俺だ】

【今の話はボイスレコーダーに録音しました】

【しかし、夢の世界何て目が覚めたら消えるんだ、消滅するんだよ】

【警察がそのボイスレコーダーを聴いたら笑うぜ】

【何の証拠にもならねーぜ】


【夢の世界で喋った事が現実の世界で再生出来る何て、とんだ幻だ

それこそがとんだ大噓だ、消滅するんだよ】

【山形犬瑞犬さん今・喋った事は消滅しません】

【貴方の脳内に在る記憶細胞は、貴方の記憶細胞に焼き付いて剝がす

事の出来ない一生消える事等無い、罪深い暗黒の心の映像ですよ】

【貴方の心の奥底に潜む真っ黒な闇でうごめく、心の塊なのです】

【私は貴方の心を抑え付けて居る暗黒の重い蓋を取り外しました】


【中でうごめいて居る、闇の記憶細胞を呼び出し・引き出します】

【そして・現実の世界で再生・再現するのです】

【私はそれが出来る女です】

【秩父郡小鹿野署に出頭して下さい・3日間待ちましょう】

【守って下さい、貴方の為ですよ】

【このボイスレコーダーの記録は【犯人しか知り得ない秘密の暴露】

に相当する記録です】

【逃れる事は出来ません・素直に自首して下さい】

【3日経っても、山形犬瑞犬は小鹿野署に出頭しなかった】


【小鹿野署はボイスレコーダーを基に、牛首峠の麓に在る農地を捜索

して3人の遺体を発見した】

【山形犬瑞犬は3人の殺害容疑・遺体遺棄容疑で逮捕された】


【余りにも短絡的・身勝手で残虐非道な犯行は許されるべきもの

ではない・人の命を粗末に扱いゴミの様に投げ捨て・金の欲に溺れ

人道を逸脱した犯行は・犬・猫・ネズミ・豚・にも劣る】

【冤罪御免雲隠・伍牢突嬉】裁判長は・山形犬瑞犬に禁錮・101年の

裁定を下した     (えんざいごめんくもがくれ・ごろつき)

海底刑務所名物料理人【地獄野番人】プロデュース生蚯蚓てんこ盛り

爆裂踊り喰いを101年間堪能するが良い

(ビオフェルミン支給制度有り)


佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に在る

海底刑務所第39号棟入獄が決定した

年に一度【釈放宝くじ】制度が在る・一等当選者は壱名だけ発表される

【翌日AM・12時に釈放される】【200年間・1等当選者該当無し】

【夢中百合子は今日の夜また夢を広げる】


【夢中百合子が君達の脳内に侵入して、脳内に潜む暗黒の闇の世界の

重い蓋を取り除き闇の中で動めく邪悪な塊と記憶を呼び寄せ引き出し

再現するのは今夜だ】

【瞳を閉じるのをベッドの側でじっと顔を覗き込んで居る】

                     

                      種子火たねび

             【登場人物】


       【桃源郷魂胆・垂着百華(妻)】

       【尾場間馬楽・尾場間タキ子(妻)】

      【本妙寺弥勒吉・本妙寺弥勒(妻)】

  【山形犬瑞犬・山芋敬長・水滝美倫】

   【蔵王犬泥沼(獣医師)】

【合釣尻捲大見栄・裁判長】【恐山大忿怒・御陀仏無念】裁判長

【冤罪御免雲隠・御牢突嬉】裁判長

【この物語はフィクションです・この世に存在しません】

 【この他にも、投稿します・読んで下さい】







       【ジャッジ・D 】

                    【夢の世界で裁く人】

                    【D=ドリーマーの意味】

 【夢中百合子の夢の世界】  1

【直進か右折かどっちだ】            


百合子は愛車のカワサキ900CCニンジャに跨って、航空記念公園へと

向かって居た

百合子は直進だ、目の前の交差点が近づいて来て居る

目の前の信号は青だ、対向車線に1台のトラックが走行して向かって

来て居る

トラックの動きが直感で、どことなくぎこちない

直進か右折する気かどっちだ、ウィンカーを点滅させて居ない


なんだ、直進か

なら、こっちもこのまま直進だ と 百合子は思った

対向車のトラックとの距離が縮まり数秒程で擦れちがうと思った     その途端

トラックが右折レーンに寄った

【あーっ ・ぶつかる】 【間に合わない】

【今更右折するなー・トラック野郎】

【あーっ・あーっ・あーっ】

【ドッグァァーン 】


交差点の真ん中で正面衝突した

百合子の体は高く宙に舞い上がり、激しく吹っ飛んだ

【あーっ・あーっ・あーっ】

トラックの真上を飛び越して、百合子の体は地面に激しく叩き      付けられた

【ドガッダーン・ドダッ】

カワサキニンジャのフロントフォークが真っ二つにへし折れた

900CCニンジャは、一瞬でポンコツニンジャに変わり果てた

【ピープー・ピープーどうした・・待ってろピープ・ーピープー】

【数日が経過した】

『夢中さん聞こえますか』看護師

『夢中さん私が見えますか』『私の声が聞こえますか』看護師

虚ろな意識の中で百合子はぼやけた顔を見た、誰かが覗き込んで居る


『夢中さん自分の名前が言えますか』看護師

如何やら百合子は、生と死の間を彷徨って居たらしい

意識が朦朧とする中覗き込んで居る女性の顔が少しずつ鮮明に成って来た

【名前をおっしゃって下さい】看護師

『はいっ、夢中百合子です』

『気が付きましたね、今あなたは病院のベッドの上ですよ』看護師

『7日間意識不明でしたよ』『意識が戻って良かったですね』看護師

利き腕の右腕に、細長い亀裂がジグザグ状に出来て居た

骨折で無かったのは幸いだった

М・R・Iで頭蓋骨に小さな傷が見つかったがこれと言って後遺症らしい   症状は出て居ない


右腕の痺れ以外は全く問題無いと言うが、前頭葉の前頭前野に小さな   影と1本の黒い筋が在るがしかし、後遺症らしい症状は出て居ない

医師の判断で10日間で退院した

しかしそれ以来不思議な夢を見る様に成った

夢中家の家族は5人と2匹の犬だ


父親の夢中徳蔵・母親の夢中富子・姉の夢中皇花おうか

兄の夢中半蔵はんぞうヨークシャーテリア雌のモグ店長 

別名衛生兵     

ヨークシャーテリア雄のミッキー班長(別名・ミッキー・通信兵)

今までにも毎晩毎夜、夢を見るのは何時もの事だった

鳥の様に空高く飛び周ったり、魚の様に海を泳いだり海中深く潜ったり

しかし交通事故以来不思議な夢が続いた

在る夕方の食卓での出来事

百合子はソースを取ろうと手を伸ばした

右手が震えてソース瓶を倒してしまった

ソース瓶を倒した弾みで中身が飛び散り前の席の姉の真っ白い     

ブラウスにソースが斑模様に染まった

【あれーっ・あーあ】皇花の声

【あーっ】【姉ちゃんごめん】百合子

【手が震えて上手に動かない】百合子

【ウオーッ・どうしたんだ、百合子】徳蔵

【こりゃー、ひでーや、洗濯しても元に戻らねーなー】半蔵

【いいよ・いいよ・百合子】富子

【皇花早くブラウス脱ぎなさい、ブリーチ着け置きして洗濯すれば

元通りに成るよ】富子

その場は何とか収まった


その夜百合子は、震える右手を見つめるだけだったが

ソース瓶が倒れた時間と記憶が、皆の頭の中から消えてしまえばいいのにと強く思った

次の日

朝食の食卓で5人揃った所で姉の皇花に謝った

【皇花姉ちゃん昨日はごめんね、白いブラウスにソースを飛ばして    しまって本当にごめんなさい】百合子

【えっ・何・それって】皇花

【私の白いブラウスは、部屋のハンガーにぶら下がっているわよ】皇花


【あのうー・父さん母さん兄ちゃん、昨日の夕飯の食卓でソース瓶を

倒して皇花姉ちゃんの白いブラウスがソースで斑模様に成ったの、覚えて 居るわよね】百合子

【えーっ・何だ・それー】半蔵

【百合子どうかしたんじゃないのかい、そんな事ゆうべの食卓で何にも

無かったよ】富子

【百合子悪い幻でも見たんじゃないのかい、頭大丈夫かい】徳蔵


【皆、昨日のソース瓶ぶっ飛ばし事件、覚えていないのー】百合子

徳蔵・富子・半蔵・皇花の4人は顔を見合わせて

【プッと吹き出した】

【百合子悪いD・V・Dの見過ぎだぜ】半蔵

【そうだよねー、モグ店長・ミッキー班長】皇花

2匹のヨーキーはワンと吠えたが、暫くして2匹供に首を大きく傾げた

【おーっ・皆みろよ・衛生兵と通信兵が首を傾げて居るよ】半蔵

【不思議だね、犬が首を傾げるのを始めて見たね】富子

全員顔を見合わせて頷いた

百合子以外の4人は、昨日のソース飛び散り事件を記憶して居なかった

【百合子は不思議な衝動に駆られた】


【その夜百合子は夢を見た】

駅前の歩道を白杖を持った女性が点字ブロックの上を歩いて居た

歩道から外れて点字ブロックの上に飛び出して居る自転車に、ぶつかり

転倒して頭を打って怪我をして救急車に搬送されて行く夢

帰り道の交差点で信号待ちをして居たミニバイクが、隣に並んだ左折の

大型トラックに巻き込まれて大怪我をして救急車に搬送された夢

夢の中の出来事とは言え交通事故現場は、余りにも酷く悲惨な映像と

成り生々しい                       


          【現実の世界】

百合子は駅前の歩道を歩いて居た。正面から点字ブロックの上を白杖を

持った女性が歩いて来た。歩道の点字ブロックの上に数台の自転車が

ちぐはぐに止められて居る、飛び出して居る自転車も在る

あっ危ないぶつかりそうだ、ぶつかったら倒れて大怪我をしてしまう

百合子は自転車が消えて無くなればいいのにと強く思った

白杖を持った女性は今にも自転車に接触しそうだったが


一瞬にして自転車は消えて、白杖を持った女性は自転車に接触せずに

倒れる事無くその場を通過した

【あっ・自転車が消えた】

周りの居る大勢の人々は当たり前の様に動いて居る

以前から自転車が無かったかの様に

百合子は交通事故の後遺症定期検査を受ける事に成った

右腕の骨には何の異常も無いが痺れだけは残っている、頭蓋骨の

М・R・I・の検査を受けた

前頭前野の黒い影はすっかり消えて居たが、黒い一本のスジが一本増えて

90度に交差して居た(十字形に成って居る)

しかし後遺症らしい症状は無く、医師の判断で半年後に定期検査を

受ける事に成った


定期検査を終わった帰り道交差点で信号待ちをして居た

ミニバイクが左折のウィンカーを点滅させて止まって居た

少し遅れて大型トラックがミニバイクに並んだ数秒後左折の

ウィンカーを点滅させ始めた

ミニバイクを先に発進させるだろうなーと思った瞬間、大型トラックが

ミニバイクと同時に発進させた

【あっ】

後輪に巻き込まれる

百合子はトラックが消えて無くなればいいのにと強く思った

大型トラックは一瞬にして消えて無くなりミニバイクは無事に左折

出来た

周りの大勢の人々も、何事も無く当たり前の様に動いて居る

百合子は思った・何か得体の知れない大きな力が宿った様な気がした

超能力とか言う物だろうかと、真逆か自分にそんな力が宿ったのかと

またも不思議な衝動に駆られた

【百合子は何時ものように夢を見た】


小学校2年生位の女の子が、うっそうとした林の中を歩いている

おぼつかない足取りで砂利道を彷徨っている  歩きにくそうだ

周りには人は居ないが、子供達の声が遠くの方から聞こえて居る

川幅10メートル位の川が流れて居るが、女の子はそっちの方には

向かって歩いては居ない

道が右と左に分かれて居る、女の子は左側の道を選んで歩き出した

左側の道は緩い勾配に成って居る

最初の入口付近の道より道幅が少しずつ狭く成って来て居る、まだ周り

は明るい。 800メートル位歩いた所で後ろを振り向いた

誰かに呼び止められたのか、しかし誰の姿も見えない

大人と違って女の子は真っ直ぐには歩いて居ない


狭い道幅を右側に寄ったり左側に寄ったり、キョロキョロしながら

歩いて居る

ほぼジグザグに近い状態で歩いて居る、しゃがみ込む事も在る

遠くの方から聞こえて居た子供達の声も聞こえなく成った

少し薄暗く成って来て居る

立止まるとまた後ろを振り向いた、何か気配を感じたのかそこで

【夢は終わった】


【次の日百合子は夢を見た】

35~36才の男が一人で林の中の狭い道を歩いて居る

背丈は170㎝位でやや細身、紺色の長袖紺色系の野球帽を被って居る

メガネは掛けていない、灰色系のリックサックを背負って居る

黒っぽいスニーカーを履いて居る、両手に黒っぽい手袋左手に黒の

腕時計・右手には廉価版のデジカメを握って居る

キョロキョロはしているが真っ直ぐに歩いて居る

男の歩く速さが少し速く成って来た、急ぎ足に成って来て居る

男は後ろを振り返ったそして前を向いてまた急ぎ足に成った

何か見つけたのか男の口元が何か呟いて居る

左手の腕時計を見た、再び急ぎ足で歩き出した

【そこで夢が終わった】


【目が覚めて不思議な衝動に駆られた】

夢の世界に自由に出入りする事が出来るのだろうかと

百合子は夢の世界に自由に侵入する訓練を何度も試みた10数回

繰り返す内に遂に、夢の世界に侵入する事が出来る様に成った

【夢の世界と現実の世界を・自由に出入りする事が出来る様に成った】

現存する物体を夢の世界に持ち込む事も、10数回繰り返す内に現存する

物体を持ち込む事が出来る様に成った

車の様に重くて大きい物体は持ち込めないが1~2キロ位の重さなら

自由に持ち込めるように成って居た      そんな時

【少女行方不明事件が起きた】


小学校2年生8才山上薫さん

両神村の薄川付近のキャンプ場に、15人のグループでキャンプに来ていた

家族連れで大人8人子供達7人のグループ

6人の子供達は川遊びをして居たが山上薫さんが中々来ない、子供達は

母親の未知子さんを探して、薫さんが来て居ない事を伝えた

未知子さんは薫さんを探したが、薫さんに会えなかった

地元の警察に通報して60分後に捜索隊約80名が捜索したが、見つける事は

出来なかった

可成り暗く成りその日の捜索は打ち切られた

明日の早朝5時から300人体制で捜索する事に成った

しかし2日経ち3日経ち2週間経っても、何の手がかりさえも見つける事も出来なかった


2ヶ月経っても何の手がかりも無く捜索は縮小した。60人体制で更に

1ヶ月捜索、延べ2000人が動員された

そして更に1年が経過した

事件から2年経ったある日・突然のニュースが流れた

両神村の少女行方不明事件の容疑者逮捕のニュース

入沢田泥保痴(いりさわだ・どろたもち・35才)無職・前科3犯

婦女子暴行を2回繰り返し14年の服役


映画館で多発して居る痴漢行為捜査中の、張り込み中の婦人警官の

スカートの中に手を入れて指をくねらせて触り、現行犯逮捕された

映画館内での痴漢行為は約80件にも及ぶ痴漢常習犯だった

映画館内での痴漢行為の取り調べの最中に、少女誘拐をほのめかしたのを

きっかけに、事件当日の容疑者の足取りを追跡した所、入沢田泥保痴の

関与が大きく浮上した


事件当日の通過車両を記録する・N・システム(自動車ナンバー・自動

読み取り装置)に寄ると関越自動車道の花園インターを降りて、秩父方面

国道140号に入り秩父方面へ走り親鼻橋を通過して直ぐ右折したのも

判明した(両神村方面)

白い2ドアスポーツタイプの車が走行して居るのが解った(容疑者所有)

少女の遺体等・遺留品等も見つかって居ない

少女の殺害はしていないと、否認して居る

物的証拠もないまま状況証拠の積み重ねだけで、入沢田泥保痴を逮捕

起訴した、入沢田泥保痴は全く身に覚えが無いと無罪を主張して居る


弁護側も物証も無く凶器も発見されて居ないと、不当逮捕として無罪を

主張して居る

【検察側と弁護側が真っ向から対立した】

最終的に結審するまでに早くても、3年程は掛かりそうに成った

夢中百合子は入沢田泥保痴に会った事は無い・勿論顔など知らない

しかし夢の中で観た男35~36才の男は一体誰なのか何故百合子の

夢に出て来たのか、入沢田泥保痴なのか全くの別人なのか夢に出てくる

【男の脳内に侵入して脳内に在る夢を呼び出し・潜在意識を司る大脳の

内側に在る古い皮質と呼ばれて居る部分に侵入する事にした】


潜在意識の過去・現在を呼び出し今まで生きて来た無限の情報を

取り出して、事件当日の男の脳内に在る夢の映像を再生する事にした

【百合子の前頭前野に、男の脳内に蓄積された夢の世界の映像が少しずつ

映し出され鮮明な映像に再生された】

両神村のキャンプ場の林の中を歩いて居る、暫く歩くと道が2手に別れて

居る

左側の道を選び少し傾斜が続く、少しずつ険しく成って行く登り坂だ

周りには誰も居ない

【よしっ・今だ】

ここで百合子は男の脳内に広がった夢の世界へ侵入した

【百合子は男の背後にその姿を静かに現した】

灰色のリュックを背負った35―36才の男が前を歩いて居る・黒っぽい

スニーカー・紺色系の長袖に・紺色系の野球帽を被って居る

両手に黒色の手袋左手に腕時計と右手にデジカメを握って居る

【前に観た夢の映像と全く同じだ】


【百合子は早足で追い着くと背後から声を掛けた】

       【人違いかそれとも何か】

【こんにちは~】       【うわ~っ・あっあ~】

うわ~っ・びっくりしたな~もう   いつの間に後ろに          

さっきは誰も居なかったけどなー  男

そうですよねー・この辺には余り人は来ませんからねー  百合子

忍者見たいな方ですね、足音は全くしませんでしたからねー  男

実は伊賀忍者の音無し早歩き術を会得して居ます 百合子

ほう、それは珍しい特殊技能ですね

リュックの中身は採取した植物等ですか 百合子

いやーまー、山の天気は変わり易いですからねー、カッパとか非常時の

ペンライトとかラジオとか観天望気の為の双眼鏡とか磁石とかその位

ですね


天気には詳しいそうですね 百合子

毎週来て居ますからねー、自然と天気には気を遣いますねー

一人で歩いて居ると時々独り言を呟いたりしませんか 百合子

ほう、面白い質問ですねー 男

そうですねーたまに思わず呟いたりしますかねー 男

ここのキャンプ場は子供達が大勢で随分賑やかですよねー 百合子

まーそうですねー・賑やかで楽しそうですねー

失礼ですがお子さんはいらっしゃいますか 百合子


いやー独身ですから子供には余りこれと言って興味は無いですね

どうしてですか  百合子

はっきりいって子供ってわがままで自分勝手でうるさいだけの存在

ですね 男 

ひとつあげるとしたら何か良い所は在りますか 百合子

何にも知らない無垢な所ですかね 男   それだけですかね 男 

しかしそれがまた非常に怖い所でも在るんですがね


2年前ここのキャンプ場で小学校2年生の女の子が、行方不明事件が在った

事ご存知ですか

あーあの事件ね、テレビのニュースで何回も報道されたので何度も

観ましたね

ニュースを見てどう思いました

大人が8人も居たらしいですから、誰か一人代表に成ってグループ全体を

見渡せると言いますか、きちんと仕切られる人が居れば結果は大きく

違っていたんではないかと思って居ます 男

グループ行動で一番怖い落とし穴ですね 男

キャンプ場に着いたら一度皆で集まって、役割分担を決めた後に一人

代表者を選んで子供達の世話役・見張り役を決めるべきでしたね

あーっ・すっかり忘れて居ました随分お話してしまいましたね

もうそろそろ帰らなくっちゃ、薄暗く成って来ました 男

序にお名前お聞きしても宜しいでしょうか

【畔蒜酒斑金時】(あびるざけ・まだらきんとき)と申します。


あれーっ・そうなんですか・入沢田泥保痴さんでは無いのですか

はいっ違います・畔蒜酒斑金時です

【畔蒜酒斑金時さん、今会話して居る世界は夢の中です】

今日はこの辺でお別れにしましょう

【百合子は夢の中の脳に・覚醒時の脳が命令して目を覚まさせた】

【特に夢の内容が怖い時や、もう夢を見たくない時等・覚醒時の脳が

命令しない限り夢から目が覚めにくい】(真実の話です・私本人です)

夢で観た男と全く同じ顔だったが、入沢田泥保痴では無かったらしい

少女行方不明事件とは関係のない男だったのだろうか


【百合子は秩父警察留置管理課に電話して留置場に居る・入沢田泥保痴

の面会を申し込んだ】

前日の申し込みは出来ないので当日予約のみだ

AM・8時半からPM・4時半までだ

1階の受付に予約した名前を告げると、名前が記入された紙を渡される

エレベーターで留置場の在るフロアーに上がると、既に面会待ちの人々

が長イスで面会の順番を待って居る

其々誰かに面会する様だ・面会は一日一回15分間だけだ

面会室のドアにインターホンが在る・インターホンで面会を申し込む


あのう・入沢田泥保痴さんですか、私は夢中百合子と言う者です

時間が無いので率直にお聞き致します、少女誘拐はやって居ないの

ですか 百合子

えー・俺はよー・少女誘拐なんてやっちゃーいませんよ

事件当日あなたの車が両神村方面へ、向かって居たそうなんですが

それは本当ですか

両神村に行ったのは本当です

どんな用事で両神村に行ったのですか 百合子

俺はよー石集めが趣味でよー・何と言っても秩父は石の宝庫でよう

あの辺には小さな川がいくつも在ってよー模様の良い石がゴロゴロ

しているんだぜ


両神村の地形なんか詳しいですか

両神村と一言でいっても広いからね、詳しいのは川の周りだけだぜ

両神村を選んだ理由は何か在りますか 百合子

さっきも言った様によー、川の上流に行く程良い石がゴロゴロ在るん

だぜ

拾った石はどんな風にして居るんですか、漬け物石とかですか

何言っているんだよう、折角拾った石だぜ、綺麗に磨いてだなー

飾ってじっくり眺めるだけだな

石に話しかけたりするんですか

おう姉ちゃん中々いい質問だぜ、姉ちゃんセンス在るぜ

たまに暇な時は話しかけるぜ

【石に話し掛けると返事はありますか】

【拾ってくれてありがとう】

【それだけですか】

【石だけに口硬いね】

夢なんか見たりしますか 百合子

夢はしょっちゅう見ているぜ、特に川に入って良い石を見つけて川から

拾い上げる夢なんて最高だぜ


【夢中さん時間です15分経ちました、退室して下さい】 刑務官

金庫を開けて中身を全てポケットに仕舞って、金庫のキーを返却した

よーし・今日はこれで良い 百合子

             【何故・人骨ばら撒く】

【百合子はベッドに横に成った静かに目を閉じた】

入沢田泥保痴の潜在意識の過去・現在を呼び出し今まで生きて来た無限の

情報を取り出して、男の脳内に蓄積された夢の映像を再生する事にした

【百合子の前頭前野に、男の脳内に蓄積された夢の世界の映像が少しずつ

鮮明な映像と成って映し出された】


【18メートル幅位の浅い川の中を歩いて居る】 

【ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ】

良い石を見つけたのか、しゃがんで石をバールで掘り起こして居る

こりゃーいい石だと呟いて居る

5キロ位はありそうだ、背負った籠を降ろして中に入れた

【ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ】

再び川の中を歩き出した口元が動き何か呟いて居る、また石を見つけた

のか

しゃがんで石をバールで掘り起こした、また籠の中に入れた

8キロ位は在りそうだ

2つの石を入れた所で駐車場へ向かい石をトランクに入れた

休憩なのか運転席に座って缶ビールを開けた【プシュウー】

うめーなーこれだから石拾いは止められないぜ

タッパーを開けてフライパンで炒めた、醬油味つけ厚切りハムを食べた

【うめーなー】


60分程休憩した後、籠の代わりにリュックを背負って歩き出した

沢から山の方へと登り始めた、登り切ると林道を歩き出した

道は砂利道で、緩やかに左側にカーブしたり右にカーブしたり

続いている

男は林道から逸れてやや傾斜した藪のなかを歩き出した、石を探す

様子では無い様だ、男は立ち止まるとリュックの中から携帯スコップを

取り出した、スコップとバールを使って地表から50㎝位掘ると

泥まみれに成った白い石の様な物体が掘り出された、泥を落さないと

石だか何だか解らない、そのいくつかをレジ袋に入れてリュックに

しまった

石にしては余り丸く無く不自然な形だ、細長い形も在る

【人骨じゃないのか百合子は直感で思った】男は更に掘り始めた

またも人骨の様な石の様な物体が出て来た、男はバールで叩き始めた

大雑把に割った

男はまたそれらをレジ袋に入れ、リュックにしまった

【そして穴を埋戻した・枯葉を拾い集め、葉っぱで覆った】


【次の瞬間次の夢に切り替った】

車が走って居るスポーツタイプの2ドアで白い。関越道だ

関越を降りて140号を道成りに直進して、秩父市内を抜けて橋立鍾乳洞

方面へ向かって居る

橋立鍾乳洞の脇道を登って車を停めて、徒歩で森の中を歩いて居る

急な斜面だ、暫く藪の中を歩いた所で立ち止まり、リュックから取

リ出した

レジ袋の中身をさも目立つ様にそれらを地面にばら撒いた

【つまり両神村の山中で掘り出した骨に似た物を、橋立鍾乳洞の山中に

ばら撒いたのだ】

          【白血球・H・Ł・A・B・5・γ・4】

【よしっ・今だ】

百合子は入沢田泥保痴の脳内に広がった夢の世界に侵入した

【百合子は男の背後に静かにその姿を現した・間違いない人骨だ】

百合子は背後から声を掛けた

【石拾いのおじさん、今撒いたのは人間の骨じゃないの】 百合子

入沢田泥保痴は振り返った

【うわーっ】【何だいきなり】【うおーっ】

【いつの間に出て来たんだよー・ゆ・ゆ・幽霊かーっ】

おじさん私の顔覚えて居るかしら

【しっ・しっ・しらねーなー】【は・は・は・始めて見たなー】

【前に会ったのは秩父警察の留置場面会室だけど、見覚えて居ますか】

【あの時は現実の世界・今話して居る世界は夢の世界・解りますか】

【そ・そ・そ・そう言えば見覚えが在るような・無いような】男

【す・す・す・少しずつ思い出して来た、面白い質問をして来た

あの女の子かい】


【今バラ撒いたのは山上薫さんの骨じゃないですか】百合子

【見ていたのかい】男

【両神村からずーっと見ていたのよ・言い訳できないよ】百合子

【しかし・殺害の映像は無かったね】百合子

【殺害した・犯人が別に居そうですね】百合子

【そ・そ・そうだ何で解るんだ】男

【あなたの脳内に存在する全ての映像を再生して観ていますよ】百合子

【そこまで見えて居るなら仕方がない】男

【その通り山上薫さんの骨だ、殺ったのは俺じゃない】

【俺は頼まれただけだ】男

【何を頼まれたのですか】百合子


【両神村の山中に印が着いた木が在る、その木から3メートル離れた

場所を掘って出て来た物を橋立鍾乳洞の裏山斜面にまき散らしてくれ】と

【その人物とは誰ですか、名前を言って貰えませんか】百合子

【あっ・それは言えない・言うと殺される】男

【俺に頼んだ男に指示した男だ】

【入沢田泥保痴さん、あなたの他に2人が関与して居るって事ですね】

【本当の事を言うと他にも4人位関与して居るが、しかしこの4人供に

俺は面識が無い】


【実は山上薫さんは珍しい白血球型の持ち主なんだ】

【3千万人に一人しか持っていない白血球型・H・Ł・A・B・5・γ・4】

【在る大金持ちの孫娘が、命に係る重大な病気に成り、掛かり付けの

医者に余命半年と宣告された、年齢は8才女の子山上薫さんと全く同じ

その孫娘も

白血球型が・H・Ł・A・B・5・γ・4】男

【どうしても白血球型・H・Ł・A・B・γ・4・の血液と腎臓・肝臓・膵臓

が必要に成った】

大金持ちはインターネットで調べた結果孫娘本人以外に日本国中で

2人居る事が解った

【一人は80才の老人残りの一人が山上薫さんだった】

それで山上薫さんは命を狙われ・誘拐されてしまった 男

【生体移植手術に関わった医師は20人以上に登る、もっと居る可能性も

在る】

その大金持ちとは誰ですか、正直に答えて下さい貴方の為ですよ

【いやー・あの・・✿➡❺❖➍・前沢詐欺汚那尻人です】

(まえざわさぎ・おなけっと)

あーあー・あの大金持ちの

入沢田泥保痴さん今喋った事は全てボイスレコーダーに録音しました

【自首して下さい、そして全てを警察署でもう一度喋って下さい】

しかし今喋った事は夢の世界の戯言ですよ、検察だって信用しませんよ

起訴はできませんよ、仮に検察が起訴しても夢の世界の話なんて

裁判官は証拠として認めず証拠として採用する訳がないですよ


入沢田泥保痴さんこのボイスレコーダーに録音されて居る声は正に

貴方の声ですよ

声紋鑑定でも間違いなく一致します

此のボイスレコーダーの内容の通り、山上薫さん遺体が両神村の山中から

発見される事に成ります

【ボイスレコーダーの内容は正に犯人しか知り得ない】百合子

【秘密の暴露に相当します】百合子

【今からでも遅く無いです・秩父警察署に自首して下さい】百合子

【3日待ちましょう】百合子

【3かを過ぎたら秩父警察署に、このボイスレコーダーを証拠として

提出します】百合子

【夢の世界の戯言が再生再現出来るとでも言うのかい】 男

【目が覚めたら必ず自首して下さい】百合子


【私は夢の世界を自由に操る事が出来る・現実の世界で自由に再現

再生出来る女です】百合子

3日経っても入沢田泥保痴は秩父署に出頭しなかった

【へっへっへっ・あの女の妄想・作り話さ・夢の中で喋った事等

再生・再現出来る訳ねーぜ・へっ・へっ・へっ・へー】


【秩父署はボイスレコーダーを頼りに両神村の山中を捜索して

山上薫さんと思われる遺体を発見した】

秩父署は犯人しか知り得ない【秘密の暴露】の証拠に基づき入沢田泥保痴

を山上薫さんの遺体遺棄容疑で逮捕した

不法生体移植手術容疑で、20人以上の医師も逮捕された、勿論

前沢詐欺汚那尻人は少女略取誘拐指示容疑で逮捕された

以外だった、山上薫さん略取誘拐及び殺害容疑で逮捕されたのは

畔蒜酒斑金時だった


【人の命を軽んじ人道を逸脱した身勝手な行動は、悲惨極まりなく許せる

ものでは無い、人の命を部品の様に取り扱い金の力で命を支配した】

【ある日突然命を奪われた被害者は無念極まりない】

【怒心頭本気田・裁判長は(いかりしんとう・ほんきだ)】

【前沢詐欺汚那尻人に禁錮99年の刑を申し渡した】


佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に99年間

暮らす事に成った

飯は99年間サメの生寿司・サメの肝たたき・味噌汁は具沢山生ゴカイ

暴れ喰い

【海底刑務所第39号棟(別名・サンキュー刑務所)に入獄決定した】


【夢中百合子の夢が今夜また始まる】

【今日の夜・夢中百合子が君達の夢の世界に侵入するのも直ぐそこまで

来て居る】

            【でかい足跡】

【今夜も百合子は夢の世界で空を飛んで居た、眼下の夜景は大きな庭に

何十万個の宝石を、ばら撒いたかの様に美しく輝いて居る】

【キラキラ・キラキラ】【キラキラ・キラキラ】【キラキラ・キラキラ】

いつ見ても飽きる事のない美しい夜景

百合子は40階建のビルの屋上に舞い降りた、周りにも30階建20階建の

ビルが複数建って居る

窓越しに見える20階付近の部屋が気に成った

カーテンは開いたままだ

男女3人が言い争って居る様に見える、女2人男一人

あっ男が女一人を突き飛ばした・突き飛ばされた女は弾んで転んだ

カーテンが閉められた

2人の人影がカーテンにぼやけて投影された

倒れた女の人影に2つの人影が重なって居る・何やらうごめいて居る

人影が短く成ったり長く成ったり・あっ部屋の照明が消された


【突然夢が切り替わった】

在る景色が広がって居る、可成り明るい昼間の様だ

2人の男女が車を走らせて居る、ハンドルを握って居るのは女の方だ

関越道で新潟県方面へ向かって居る、長岡ジャンクションで柏崎方面に、

走って居る、柏崎を降りて291号に入り武石峠たけいし方面に

向かって居る

その付近には石川峠田島峠等が在る途中に八石山等も在る


【突然次の夢に切り替わった】

『今日はこれからどうするの』女

『うーん・そうだなー・どっかへ寄るか』男

『ちょっと、お腹が空いたしね』女

『温たかいそうめんでも食うかな』男

『アッハッハッハ・相変わらずそうめんオンリーなのね』女

『貧乏な俺には最高のご馳走さ・茹で時間2~3分だしね』男

『アホなうどんなんて茹で時間・13~14分も掛かるぜ』男

『マヌケなうどんでも・7~8分も掛かる』男

『例外も有るけどね、稲庭うどんなんて珍しい物も在るね』男


店を出て車のトランクを開けると、泥の着いて居る2本のスコップを取り

出して駐車場の隅に在る水道水で洗った、敷いて在るブルーシートも

取り出しどろをはたきおとした、車の中やトランクの中はハンディ

掃除機で吸い取った

【そこで夢は終わった】

数日後    【行方不明事件が起きた】

ホテルに泊まった3人組が出て行った後、風呂場に血痕が付着して居ると

ホテル側から通報が在った

宿泊客名簿には泊まった3名の名前が記載されて居た

客室は39号室・何となく臭い名前だ

草野興梠儀くさの・こうろぎ男・鈴虫涼子すずむし・りょうこ

畑野罰田美はたけの・ばったみ


ホテルの防犯カメラに寄ると出て行ったのは男一人女一人だ

一人の女の姿が消えて居る・事件性が疑われる

乗っていた車は盗難車だった

3日後・盗難車は空き地に乗り捨てられて居たのが発見された

空き地に乗り捨てられた車の脇に2種類の足跡が残されて居た

【2つの足跡は30㎝と32㎝の足跡だった】


【群馬県警の捜査員は首を傾げた】

足跡から想像すると身長は2メートル以上に成る

ホテルの防犯カメラに写っている3人は、どう見ても男は170㎝以下

女2人は160㎝以下だ

わざわざ、何でこんなでかい足跡を残した

ホテルの39号室のドアノブ・ガラステーブル・洗面所の蛇口・コップ

冷蔵庫・電子レンジ・テレビのリモコン・トイレのレバー・等全てが

指紋が消されて居た

指紋検出は出来なかった


群馬県警は逃走した男と女を全国指名手配した、防犯カメラの映像も一般

公開された・連日の様にテレビのニュースに登場した

しかし何の連絡も無く何の手掛かりも何の報告もされなかった

遺体等・遺留品等も無い・凶器等も見つかっていない

群馬県警は盗難車の出所を探した、盗難届が出ていた

持ち主は、群馬県北群馬郡子持村在住の会社員(俵屋煎餅さん)と解った

夜中に盗難されて居た           (たわらや・せんべい)


【事件が起きたホテルは渋川市の・スカイランド・スーパーホテル】

この辺には美術館や博物館・記念館・牧場・ガラス工芸美術館・温泉等

多数存在して居る、外国人観光客も多い

事件発生から一か月が経って居た

犯人はこの辺の土地勘が在るらしい

車が乗り捨てられて居た場所は烏帽子岩えうぼし・いわ付近の空き地

だった・烏帽子岩付近には国道28号が在る

美術館・温泉等・多数存在して居る為に一日の通過車両も何千台にも登る


何千台にも登るこの中から一台の車を特定するのは非常に難しい

烏帽子岩付近から吾妻あがつま方面へ向かったのか箕郷町みさと

方面か国道155号に入って岡崎方面へ向かったのか国道211号で

草津街道方面か

群馬県警は盗難車両を徹底的に調べたが、証拠に繋がる様な物は発見

されなかった

車の後部座席から微量の砂が見つかったが、証拠としては乏しい


犯人の乗り換えた車が特定できず捜索は難航を極めたが

群馬県警は・Nシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)を使い

盗難車両の移動記録を作成した

北群馬郡子持村から伊香保温泉の宿へ移動して居る

次の朝・徳富蘆花文学館とくとみ・ろか竹久夢二記念館(たけひさ

ゆめじ)記念館・切り絵美術館・ガラス工芸美術館・システィーナ

美術館と巡り・事件が起きた・スカイランド・スーパーホテルに午後4時過ぎに入館して居る

【次の日に烏帽子岩へと向かって居る事が判明した】

逃走用・乗り換え車両は既に烏帽子岩付近に準備されて居たものと

思われる共犯者が居る可能性が浮上した

捜査は難航して更に一か月が経った


【百合子は夢を見ていた】

男女2人が車に乗って走行して居る、この男女の夢を見るのは3回目だ

一回目は遠景からの窓越しで夜だ・顔の特定が出来て居なかった

2人の会話は親し気だが夫婦では無いらしい


『夜空野不運児さんには連絡着いたの』女

『いやー・まだだね、中々連絡取れない男なんだよ』男

『すっかり昼間のワイドショーに出てしまったなー』男

2人は淡色系茶色のサングラス、白いマスクで男は着けヒゲにして居る

『時々検問なんかあったりするとドキッとするぜ』男

『今はアメリカの・バイデン大統領が来日中で、あっちこっちで、警察官

だらけだよ』男

『都内だけらしいから大丈夫よ』女


『迂闊には出歩けないぜ、大通りは避けた方がいいようだな』男

『なるべく細い裏道を走った方がいいようだな』男

『N・システムに写らねーように走らねーとな』男

『交差点には必ず設置されて居るからな』男

『N・システムの全国設置数は千七百か所も在るらしいぜ』男

『毎年新しく増設されて居るらしいぜ』男

【そこで夢が終わった】


【百合子は夢の中に登場する男の方の、脳内に侵入して脳内に在る無限の

情報を呼び出し・過去・現在の映像を再生する事にした】

3人の偽名と本名も解った

【今回の殺害に関する情報は特に鮮明な映像を再生した】

男は赤城の駒ヶこまがたけで一人穴埋めをやって居る最中だ

穴埋めを終わると周りの枯葉・枯れ枝を拾い集め埋めた場所にばら撒いた

殺害した鈴虫涼子さんを埋め終わった様だ

相棒の畑野罰田美は先に駒ヶ岳を下って行ったらしい


【よしっ・今だっ】

百合子は草野興梠儀の脳内に広がった夢の世界に侵入した

百合子の前頭前野に草野興梠儀の無限の情報が鮮明に広がり写し出された

【百合子は草野興梠儀の背後に静かにその姿を現した】

背後から声を掛けた

【草野興梠儀さん今・鈴虫涼子さんを埋めたのですね】


【草野興梠儀は引きつった顔で振り返った】

【うおーっ・誰だお前は・あーっ・なんだー】

『ついさっきまで、周りには誰も居なかったぞー』男

『いつの間に出て来たんだよう・観て居たのかよう』男

『ゆ・ゆ・ゆ・幽霊かーっ・うおーっ』男

『草野興梠儀さん本名は臨済時釈然りんざいじ・しゃくぜん

さんですね

『土に埋めたのは鈴虫涼子さん・本名は発星時蓮華さんですね

(はっしょうじ・れんか)・相棒の畑野罰田美・本名は

瑞光時尊花ずいこうじ・そんかさん・間違いないですね


【そ・そ・そ・そうだ・何で俺達の本名を知って居るんだ】

『今、喋って居るのは夢の世界』

【臨済時釈然さん貴方の脳内に侵入して、脳内の記憶を呼び戻しその全てを再生・再現したのです】

【瑞光時尊花と共謀して発星時蓮華さんを殺害して土に埋めたん

ですよね】

【あなた達の犯行の一部始終を再現したのですよ】

【逃げる事は出来ません、諦めて下さい】

【渋川市内に在る・スカイランド・スーパーホテルの39号室が

殺害現場ですね】

【金ノコ2本で遺体を切り刻みましたね】


何でそんな事が解るんだよう、当てずっぽうの想像・推測だろうがよう

【貴方の脳内に焼き付いた記憶が教えてくれるんですよ、貴方の脳内の

内側には鮮明な映像記憶として焼き付いて居るのです】

【幾ら否定しても一生消える事の無い残忍な映像が、心の奥底に焼き付き

剝がす事の出来ない映像と成って、眠って居るのです】

【もっと・再生した映像を説明再現しましょう】


【あなた達2人は金ノコ2本で其々が両手・両足を切断しました】

【頭部と胴体も切り離しました】【凶器は金ノコとサバイバルナイフ

サバイバルナイフでは腹部と胸部を突き刺しましたね】

【風呂場で血抜きをした・大型トランク2個に押し込んだ】

【車で駒ヶ岳山中に運び・2人で穴を掘り遺体を埋めた】

【先に降りた瑞光時尊花と麓で待ち合わせた】

【駒ヶ岳から赤城道路(国道4号)を走行し国道353号に入り

たちばなの郷付近で腹が空きそうめん専門店に入りました】


【そうめん一番】で、そうめんを食べましたね

【店をでると泥の着いたスコップを駐車場の隅に在る水道で洗った】

【トランクのブルーシートを取り出し砂をはたき落とした・更に

ハンディ・掃除機で車の中・トランクの砂を吸い取った】

【店に入る前に・アホなうどん・マヌケなうどんの話をしましたね】

【くそっ・噓だろう、車の中には2人切りで他には誰も乗って

居なかったぞ】男

【まるで隣で座って観て居た様にぬかしやがってよう】

【その通りです、事の一部始終を観て居たのです】百合子


【貴方の脳内の内側に焼き付いた映像記憶を再現したのですよ】

【貴方が目の当たりにした、全ての風景が再現されて私に教えて

くれるのです】百合子

【どうです、全て間違いないでしょう】百合子

【そんなバカな、くそっ】男

【今の話は夢の世界の話だろうよ・誰も信じねーぜ】

【所詮夢の中の戯言だ、作り話だろうよ】男

【殺害したのも遺体を遺棄したのも2人の犯行ですね】百合子


【その通りだ・全てその通りだ・何もかもその通り間違いない】男

【しかし現実の世界で再生・再現出来る訳ねーぜ】男

【今の話は全て、ボイスレコーダーに録音しました】百合子

【へっ・へっ・へっ・目が覚めたらどうせ消滅するぜ・へっ・へっ】

【自首して下さい、3日間待ちましょう】

【3日経っても出頭しない場合は群馬県渋川署に・犯人しか知り得ない

【秘密の暴露】の証拠に基づき発星時蓮華さん殺害・遺体遺棄容疑の

証拠としてボイスレコーダーを提出します】

【へっ・へっ・へっ・出来る訳ねーぜ・目が覚めりゃー消滅するぜ】男

【臨済時釈然さん消滅する事は在りません】

【私は夢の中の映像を現実の世界に呼び寄せ引き戻します・そして

再生・再現出来る女です・必ず自首して下さい】百合子


【百合子は夢に出て来た・瑞光時尊花の脳内に侵入して脳内の記憶を

呼び出した】

【瑞光時尊花の脳内に記憶されて居る、無限の情報の映像が百合子の

前頭前野に鮮明に広がった】

瑞光時尊花は釈然より先に山を降りて、麓に止めてある車のトランクを

開けると持って居たスコップを入れた、トランクを閉めると助手席側の

ドアを開けて座席に座った

百合子は直ぐに車に侵入したがその姿は現して居ない

助手席に座った尊花は一端後部座席を振り返りまた前を見て寛いだ

【よしっ・今だ】

【百合子は瑞光時尊花の後ろ姿を見ながら後部座席にゆっくりと静かに

其の姿を現した】

【背後から声を掛けた】


【瑞光時尊花さんお話が在ります】

瑞光時尊花は顔が引きつり顔面蒼白で振り向いた

【きゃーっ】【ひえーっ】【あっあーっ】

【ゆ・ゆ・幽霊―っ】【ギャー・だれーっ】【幽霊―っ】

【車の中は誰も居なかった筈なのにー】

【私は夢中百合子と言う者です】

【今・喋って居る世界は夢の中の世界です、現実の世界では在りません】

【幽霊でも在りません、発星時蓮華さんが行方不明に成ってから70日も

経ちました、殺害されてしまった様です】

【遺体が何処に在るか解って居ますよね、山中に穴を掘って遺体を

埋めましたね】


【駒ヶ岳から赤城国道4号を走行して国道353号に入り、たちばなの郷

付近で腹が空きそうめん専門店【そうめん一番】でそうめんを食べ

ましたね

【そうめん一番】に入店する前に車中で臨済時釈然がアホなうどん

マヌケなうどんの話をしましたね】

【どうです間違い在りませんね】


【確かにそうです、まるで隣の座席に座って観て居たかの様です】

【そうです・2人の残忍な犯行も全て観て居たのです】

【車の中には2人切りで他には誰も乗って居なかったのに、どうして

見えるのですか】瑞光時尊花

【瑞光時尊花さん、今の話は貴方の脳内に在る無限の情報を剥ぎ取り

呼び起こし再生・再現したものなのです】

【貴方の脳内の記憶が私に教えてくれるのです】

【共犯者も2人居ますね】

【夜空野不運児・舎弟の朝焼野半穴時】

【この2人に逃走用の車を準備させましたね、しかも、小細工まで

指示しましたね】


【30㎝・32㎝の靴を用意させ靴の中敷きを抜き、その代わりに

足型の鉄板(重さ・1.5キロ)を靴の中敷きとして使用した】

【大きな靴に小さい25㎝の足が入るとバランスの悪い不自然な足跡に

成る、その為にわざわざ鉄板を入れた】

【鉄板の重みで足跡がクッキリ残った、鉄板入りの靴で車の周りを

歩く様に指示をした】

【この大きな足跡を見ると、誰もが2メートルの大男が関与して

居ると思った】

【これで群馬県警は混乱した、2メートルの大男が運転して居たと思い

2メートルの大男が運転する車を探した】

【そうですね尊花さん間違いないですね、車中でN・システムについて

も会話しましたね】


【発星時蓮花さんの殺害と遺体遺棄を認めますか】

【えーまー・全てその通りです】瑞光時尊花

【私と臨済時釈然は殺人と遺体遺棄の犯行を実行しました】

【正直に認めてくれますね】

【ボイスレコーダーに録音しましたよ】

【どうしてそんなに克明に解るんですか、話は全くその通りです】

【私が喋った全ての事は貴方の脳内の内側に焼き付いた、記憶細胞が

私の前頭前野に映像として再生・再現されるのです】

【瑞光時尊花さん貴方の脳内に焼き付いた残忍な行動は、脳裏に焼き付き

心の奥底に深く眠ります】

【一生消える事は在りません】


【しかし今、喋って居るのは夢の世界ですよね】

【目が覚めたら全て消滅するんですよね】瑞光時尊花

【いいえ・消滅しません私は夢の中の映像を現実の世界に呼び寄せ

引き戻します】

【そして、その映像を再生・再現出来る・女です】

【群馬県の渋川署に自首して下さい・3日待ちましょう3日経っても

出頭しない場合は、このボイスレコーダーを渋川署に提出します】

【貴方が喋った事認めた事は犯人しか知り得ない【秘密の暴露】として

採用されます】百合子


【あのさー・昨日の夢にさー・変な女が出て来てよー、

ボイスレコーダーに録音したから渋川署に自首しろと、言って居るんだけどよーどう思う】男

【えーっ・私の夢にも変な女が出て来てさー・犯行の一部始終を録音

したから渋川署に自首しろと言っているんだよねー】

【喋る内容は全部合って居るんだよねー】瑞光時尊花

【その夢から覚めて2日経つけどねー・どうするー】

【チョット気持ち悪いけど出頭するのは止めようか】

【2人は出頭しないで3日過ぎた】


【渋川署はボイスレコーダーの内容を基に、駒ヶ岳の山中を捜索して

発星時蓮華さんの遺体を発見した】

【臨済時釈然と瑞光時尊花は発星時蓮華さんの殺害及び遺体遺棄容疑で

逮捕された】

【夜空野不運児と朝焼野半穴時も逮捕された、この2人は捜査攪乱の

罪も追加された】

【頭煮仏堕尻捲り裁判長は(ずしゃぶつだ・けつまくり)

【夜空野不運児と朝焼野半穴児に禁錮18年】

【臨済時釈然と瑞光時尊花は禁錮99年を申し渡した】


【佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に99年間

服役する事に成った】

【飯は鮫の袋叩き・みそ汁は・生ゴカイ具沢山爆裂踊り喰い】

【海底刑務所第39号棟の楽しい毎日の生活が待って居る】

【別名・サンキュー・刑務所】


【夢中百合子の夢が今夜も始まる】

【今日の夜、夢中百合子が君達の夢の世界に侵入するのも直ぐそこだ】

【ベッドの横に立って瞳を閉じるのをじーっと覗き込んで居る】


                    種子火たねび

【この物語は全てフィクションです実在しません】


           【登場人物】

 夢中百合子・夢中半蔵・夢中徳蔵・夢中富子・夢中皇花


入沢田泥保痴・畔蒜酒斑金時・前沢詐欺汚那尻人

山上薫さん・山上未知子さん(母親)

臨済時釈然・瑞光時尊花・発星時蓮華

夜空野不運児・朝焼野半穴児


怒心頭・本気田裁判長  頭煮仏堕・尻捲り裁判長




          【ジャッジ・D】  

               【夢の世界で裁く人】

                 【D=ドリーマーの意味】

   【夢中百合子の夢の世界】 2

   【謎の男と女】

【夢中百合子は今日も夢を見て居た】     


車が国道17号を高崎方面へ走って居るハンドルを握って居るのは一人

の男だ。同乗者は居ない、本庄市付近で脇道に逸れて40分程走行して

車を止めた

2階建の住宅が20数軒建って居る。静かな住宅街だ。男は車から降り

て暫く住宅地の遠景を眺めて居たが、在る一軒家が目に止まり近づいて

行くと、住宅の周りをグル・グルと周り始めた

両手に黒い手袋をしてリュックを背負って居る

家の周りには塀が無く畑や庭が広がって居る

周りの建物との境目に隔たりは無く広々とした風景だ

2階屋だが玄関の上は一階だ・夜も更けて周りは暗い


【そこで夢が切り替わった】

男がパチンコをして居る

【チーン・ジャラジャラ】【チーン・ジャラジャラ】

【チーン・ジャラジャラ】【チーン・ジャラジャラ】

パチンコ台に可成り溜まって来た

隣のイスに座って居る女の人と喋り出した

【お姉さん久し振りだね】男

【あらっ・久し振り・最近余り顔を見せなかったわね】

【如何して居たの、元気にやって居たの】女

【うーん・まー・仕事はして居たけど暇でねー】男

【コロナ騒ぎで面倒な世の中に成っちまったよなー】男

【飯の時もマスクだしね、アクリル板の衝立も在ったりねー】男

【そうねー・いちいちマスクを着けたり外したりねー】女

2人はタバコを吸って居る

適当な会話をしながら3時間が過ぎた


【お姉さんそろそろ飯にしない、今日は奢るよ】男

【えっ・あっ・そう・そうねー、御馳走に成ろうかしら】女

【車でさー・5分程の所にそうめん専門店が有るからどう】男

【あらっ・はっ・はっ・は・相変わらずそうめん党なのね】女

【まー・そうだね・手軽で旨いから小腹空いたらそうめんが一番だよ】

【そーねー・最近はトッピングも豊富に在るしね】女

【大葉・茗荷谷は欠かせないね】男

【オクラの刻みもいいわね】女

【大葉・茗荷谷は天ぷらにも旨いしね】男

【オクラも天ぷらにはピッタリよね】女

2人はそうめん専門店

【そうめん・百億麺】に入った

百合子には面識が無い2人だった

【そこで夢が終わった】

数日後

【百合子は夢を見た】


アパートの駐車場に4トントラックが止まって居る

トラックに5人の男達が忙しく荷物を運んで居る・引っ越しの様だ

一回目の夢に出て来た男とパチンコ店の男と同一人物だ

最初の夢で家の周りを歩いて居た男だ

トラックに積み終わるとトラックと同時に男の車も発進した、男の車

の助手席にはパチンコ店で知り会った女が座って居る

2キロ位はトラックと男の車は同じ方向だったが、トラックと車は

2手に分かれた

トラックは左折して高速道路に向かった・男の車は直進して一般道路を

走って居る

パチンコ店を出て【そうめん・百億麵】を食べた後から同棲を始めた

らしい・そうめん専門店を見つけると駐車場に入った


【そうめん・大金星麺】の看板

【あっ・はっはっ・本当にそうめんが好きなのねー】女

【まー・そうだね毎日食っても飽きねーしな】男

【俺と一緒に居ると毎日そうめんだけど、適に今日の夜は焼肉でもどう】

【牛タン・カルビ・ビビンバ・ハラミ・これ位食べれば満足だね】男

【モモちゃんは何食べる】男

【私もほぼ同じよ、もうちょい・ユッケもいいかな】垂着百華

【こんちゃんは、それで満足なの】たれつき・ももか

【俺はそれで充分だねー】桃源郷魂胆とうげんきょう・こんたん


【そこで夢は終わった】      暫くして

【夫婦殺害事件が起きた】【現実の世界】

事件現場は埼玉県本庄市児玉町蛭川・夜中の犯行だった

次の日の朝近所の住民から本庄署に通報が在った

翌日

本庄市児玉署は捜査本部を設置した、児玉署は現場検証を開始した

被害者は・尾場間馬楽さん(69才)妻の・タキ子さん(66才)

犯行時刻は夜10時から12時の間

死亡推定時刻は夜の11時前後と見られる

夫の馬楽さんは一階の和室(6畳間)で胸に3か所の刺傷が在った

頭も鈍器の様な物で殴られて頭から血を流して倒れて居た


妻のタキ子さんも頭を鈍器の様な物で殴られていて、頭から血を流して

倒れて居た(2階の和室8畳間)2人供に普段着姿だった

一週間で延べ400人の捜査員が動員された、現場検証は一週間で

終了した

300人以上から聞き込み捜査を行ったが、犯人に結び付く有力な

情報は得られて居ない

廊下と壁と天井に多数の血痕が付着して居た、勝手口のドアノブにも

血痕が付着して居た

馬楽さんとタキ子さんの財布は見つかって居ない


犯人が財布を持ち去った強盗殺人事件の可能性が高いと見て引き続き

調べを進めて居る

預金通帳は数冊見つかり通帳は残されて居る


 【脳内に眠って居る記憶を呼び出し再生・再現します】

児玉郡蛭川夫婦殺害事件が起きてから、5年の月日が経って居た

犯人はまだ捕まって居ない

犯人に関する情報すら全く無い、凶器すら見つかって居ない

犯人を特定出来る物証も無い

何故犯人が何の目的で、尾場間馬楽さん夫婦を殺害したのか、動機に

繋がる有力な物証や情報も無い

【難解な事件に成ってしまった】

【百合子は児玉町蛭川の夫婦殺害事件をさかのぼり、事件当日の

桃源郷魂胆の脳内に侵入した】

【記憶の一部を剥ぎ取り・引き寄せ・潜在意識を呼び出し百合子の

前頭葉・前頭前野に再生再現した】


【百合子はその光景に思わず息を飲んだ・悲惨な光景が広がった】


【桃源郷魂胆は夜中の10時過ぎに玄関のドアを開けた、鍵は掛かって

居たが道具を使って簡単に開けた】

【静かに忍び込み一階の和室(6畳間)の戸を開けた、馬楽さんは

コタツに足を入れて寝て居た】

【魂胆はリュックからサバイバルナイフを取り出して、そのまま

馬楽さんの胸に無言で突き刺した、持って来た金槌で頭を殴打した】

何の抵抗も無く出血してぐったりした、声すら出す事も無かった】

【魂胆はそのまま直ぐに2階に掛け上がり、2階の和室(8畳間)に

侵入して、横に成って休んで居たタキ子さんに襲い掛かり金槌で

頭部を数回殴打した】


【一階に降り台所のシンクの横に立った】

【2人を殴打して緊張して気が高ぶり、タバコを取り出して2本吸った】

【しかし、タバコを持つ手が微妙に震えている】

【吸い殻は台所のシンクに投げ捨てた】

【魂胆は土足で家中を歩き周り始めた、A・T・М・通帳引き出しは

A・T・М・の防犯カメラに写ってしまう為、通帳は盗まない】

【貴金属は足が着き易いので狙わない、狙うのは現金のみだ、2人の

財布だけを探して盗んだ】


【殺人現場の一部始終が、百合子の前頭前野に克明に再現された】


【桃源郷魂胆の脳内に記憶されて居る殺人現場の様子があからさまに

成った・魂胆の脳内細胞に焼き付いた記憶が深い心の奥底に眠って居た】

【その眠って居た心の奥底の記憶を再現した】

【百合子は殺人現場をもう一度リピートした】

【桃源郷魂胆がタバコを吸い終わり、家中を歩き回る所から再生した】

【魂胆はタンス・引き出し・押入れを物色して居る】

【よしっ・今だっ】

【百合子は一階のシンクの横にその姿を静かに現した】

【シンクの中に捨てられたタバコの吸い殻を拾い、用意して居た吸い殻

入れに一本だけ仕舞った、もう一本は現場に残した】

【魂胆は夢中に成って押入れを物色して居る、百合子は魂胆の背後に

静かに近づいた】


【背後から声を掛けた】

【桃源郷魂胆さん、尾場間さん夫婦を殺害しましたね】

【うわーっ・いきなり・なんだー】【ゆ・ゆ・幽霊かーっ】

【誰も居ない筈だぜー】【なんだー・こりゃー】【おわーっ】

【顔は引きつり顔面蒼白に成った】

【今、喋って居るのは夢の世界です・現実世界では在りません】

【幽霊でも在りません・今日貴方がやった事の一部始終を観ましたよ】

【どういう事だ・嘘だろう】

【そんなバカな、そんな事等出来る訳ねーだろう】

【私は夢中百合子と言います】


【大体何で俺の名前を知って居るんだよう】

【貴方の脳内に在る記憶細胞が私に教えてくれるのです】

【貴方の行動を全て観ましたよ】

【2人を殺害しましたね】

【貴方の脳内に焼き着いた記憶を呼び寄せ再生したのです】

【貴方が今まで生きて来た記憶の全て呼び寄せ、引き出す事が出来る

のです】

【そんなバカな、夢の世界の映像の再生なんて幻想だ、作り話だろうよ】

【魂胆さんパチンコ店で知り会った垂着百華さんと店を出た後

【そうめん・百億麵】で食事をしましたね

【彼女の本名まで何で知っているんだよ】


【貴方の脳内細胞が私に教えてくれるのですよ】

【大葉と茗荷谷はそうめんには欠かせない・オクラの刻みも旨い】

【天ぷらにするのも旨いとか会話しましたね】

【その後から垂着百華さんとアパートで同棲を始めましたね】

【4トントラックを手配してアパート引っ越しましたね】

【そうめん・大金星麺】に入り今夜の夕食は焼き肉にしようとか】

【牛タン・カルビ・ハラミ・ビビンバで満足とか会話しましたね】

【どうです、間違いないですね】


【どうして、そんなに詳しく解るんだよう】

【車の中はいつも2人切りだったぜ】

【全部話は合って居るが所詮夢の中の話だ、誰も信じねーぜ目がさめ

てしまえば消えて無くなるぜ】

【はっ・はっ・は・消えてしまうんだよう】

【改めて問います】

【尾場間馬楽さん妻のタキ子さん2人を間違いなく殺害しましたね】

【観て居た様に喋るじゃねーか】

【2人を殺った時きゃー家の中には誰も居なかったぜ】


【尾場間馬楽さんはサバイバルナイフで3回胸を突き刺し・その後頭

を金槌で殴打した】

【その後2階に掛け上がり、横に成って休んで居た妻のタキ子さんを

金槌で数回殴打して殺害しましたね】

【間違いないですね】

【その通りだ、間違い無い2人を殺ったのは俺だ】

【今の話全てボイスレコーダーに録音しました、どんなに言い訳を

しても、逃げる事は出来ません】

【諦めて下さい】


【児玉署に自首して下さい】

【3日間待ちましょう】

【3日経っても児玉署に出頭しない場合はボイスレコーダーを

尾場間馬楽さん夫妻殺害の証拠として児玉署に提出します】

【あのよー・さっきも言ったけどよー・俺が喋ったのは現実の世界じゃ

ねーんだぜ・夢の世界の話さ、警察は信じねーぜ・はっ・はっ・はっ】

【消滅する話だぜ】

【桃源郷魂胆さん貴方の喋った事は消滅しません】

【貴方の心の奥底に眠って居た映像を呼び寄せ、引き出したのです】

【そして、引き出した映像を現実の世界で再生・再現出来る女です】

【諦めて自首して下さい】

【桃源郷魂胆は児玉署に出頭しなかった】


【提出されたボイスレコーダーとタバコの吸い殻の証拠に基づき

桃源郷魂胆を尾場間馬楽さん、妻のタキ子さん強盗殺害容疑で逮捕

起訴した】

【現場に残された吸い殻と、ボイスレコーダーと一緒に提出された

タバコの吸い殻のD・N・A・鑑定で同一人物の物と判定の結果

が出た】

【余りにも短絡的・身勝手な犯行で・夫婦仲良く暮らす2人の人生を

奪った残虐非道な犯行は許されるべきものではない】

【悲惨極まり無い残忍な犯行だ】


【恐山大忿怒・御陀仏無念】裁判長は桃源郷魂胆に禁錮99年の裁定を

下した】(おそれざんだいふんぬ・おだぶつむねん)

【海底刑務所名物料理人【地獄野番人】プロデュース生蚯蚓爆裂

踊りてんこ盛りを堪能するが良い】裁判長

【佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に69年

間服役する事に成った】

【海底刑務所第39号棟(別名・サンキュー・刑務所)入獄決定】


【夢中百合子の夢が今夜も無限に広がる】

【今日の夜・夢中百合子が君達の脳内に広がる夢の世界に侵入して

暗黒の奥深く渦巻く・心の奥底に眠って居た心の蓋を取り外し

黒い塊を取り出してくれる】

【瞳を閉じるのをベッドの側でじっと覗き込んで居る】


【嘘の儲け話をする・残忍・凶悪・殺人鬼】

【夢中百合子は今日もまた夢を見て居る】


男が荒川河川敷で2頭のドーベルマンを連れて散歩して居る、正面から

一人の女性がゴールデンレトリバーを連れて散歩しながら近づいて来た

2人の距離が縮まって来た

男が声を掛けた

『いい犬ですね、訓練すると賢くて更に良い犬に成りますよ、訓練

して上げましょうか』

『犬には御詳しいのですか』

『え・え・私は警察犬訓練士の資格を持って居るんですよ』

『失礼ですが御名前は何とおっしゃいますか』

『私は山形犬瑞犬と言う者です』(やまがたけん・ずいけん)

『貴方の御名前は何とおっしゃいますか』

『私は本妙寺弥勒と言います』(ほんみょうじ・みろく)


『本妙寺さん宅では何頭の犬を飼って居るんですか』

『今現在、レトリバー・一頭とシベリアンハスキー・一頭ですね』

『今度、お宅に御伺いして犬に付いての専門知識とか犬の正しい

しつけの仕方等と色々教えて上げますよ』瑞犬

『御主人の御名前は何とおっしゃいますか』瑞犬

『本妙寺弥勒吉です』(ほんみょうじ・みろきち)

『御主人も犬がお好きでしょうか』

『え・え・そうですね』弥勒


【そこで夢が切り替わった】

『本妙寺弥勒吉さん、今度共同でペット・ショップ経営やりませんか』

『可成り儲かりますよ・一年もすれば高級外車のベンツに乗れる様に

成りますよ』瑞犬

『ほう・そうですか、それは楽しみですね』弥勒吉

『開業資金としてお互いに400万ずつ出し合いませんか』瑞犬

『実は昔・ペット・ショップ経営して居たのですがね、しかし・まあ

始めての事で手際が悪く余り儲からず、途中で止めてしまったと言う

苦い経験が在るんですがね』瑞犬


『失敗は成功の基と言いますから、今度は上手く行く自信が在りますよ』

『どうです、一緒にやる気在りませんか』瑞犬

『弥勒吉さん先ず手始めに手付金として、50万円用意して貰え

ませんか』瑞犬

『2日後に私の口座に振り込んで下さい』瑞犬

『必ず儲かりますから、大丈夫ですよ、頼みましたよ』瑞犬

【そこで夢は切り替わった】


蔵王犬泥沼先生ざおうけん・どろぬま(獣医師)今ですね

年を取って体が不自由な大型犬が3頭居るんですが、体を動かすのが

辛そうにして居るんですよ、安楽死させてやりたいのですが』瑞犬

【筋肉弛緩剤と睡眠誘導済を譲って貰えませんか】

『あっ・そうですか・どの位必要ですか』蔵王犬

【筋肉弛緩剤はアンプル・5本ですね】(一本・2mmℓ)

【睡眠誘導済は10gですね】(一回使用量・0.5g)

睡眠誘導済ブロジャブリン筋肉弛緩剤サクリシンを入手】


【そこで夢が切り替わった】

『はいっ・あー・もしもし』瑞犬

『瑞犬さん50万円振り込んでもう14日も経つけど、何の返事もなく

一体どう成って居るんだい・瑞犬さん』弥勒吉

『そやなー・解った・秩父郡小鹿野町で話をしますか、実は小鹿野に

別荘を持って居るんですよ』瑞犬

『見晴らし良いですよ、空気もうまくて気分転換に成りますよ』瑞犬

『瑞犬はレンタカーを借りて本妙寺弥勒吉さんを乗せると、小鹿野町

牛首峠の麓に向かった』


『弥勒吉さんさっきから随分生あくびばっかりしとるけど、40分

眠ったら直ぐ目が覚めるドリンクが在りますよ、一本2万円もする

スーパー・ドリンクですよ』瑞犬

あらかじめ用意して居たブロジャブリン・0.5g入りを手渡した

『ちょいと栓が緩いかなあ』弥勒吉

『まっ・ちょいとね・早く飲んだ方がええでー』瑞犬

『弥勒吉は一気に飲んだ』

『弥勒吉は30秒でぐっすり眠った』

『山形犬瑞犬はバッグから・サクリシン・2mmℓ入りのアンプル一本

を取り出すと弥勒吉さんの右腕に注射した』瑞犬

暫くすると呼吸停止状態に成り窒息死した、瑞犬はそのまま牛首峠に

在る別荘に向かい到着した

しかし、良く見ると別荘等ではなくただ広い農地に建てた、掘っ立て

小屋だった

瑞犬は農地の隅に穴を掘って弥勒吉さんを埋めた


【そこで夢は切り替わった】

『山芋敬長さん(やまいも・けいちょう)儂は将来犬の繁殖場や犬の

訓練所の経営をしたいと計画しているんですが、この仕事を手伝って

見る気はないですかね』瑞犬

『どうしても若い力が必要なんですよ山芋敬長さん、明日から早速

農地の整地を手伝ってくれるかい』瑞犬

暫く時が流れた

『もう、一か月経ったなー、山芋さん整地は終わりや後は繫殖小屋と

訓練所を建てるだけやな』瑞犬

『山形犬瑞犬さん一ヶ月真面目に働いたけど、まだアルバイト代

貰ってないけど支払ってくれますか』敬長


『繫殖小屋と訓練所が出来るまで待ってくれんかい、後2ヶ月ちょっと

で出来る手筈に成って居るんだ』瑞犬

『工事屋の話では突貫工事でやれば2ヶ月ちょいとだとよー』瑞犬

『そうしたらまとめて一括支払いで百万円払うけどなー』瑞犬

『必ず支払うからもうちょい待ってくれんかい』瑞犬

暫く時が流れた

『瑞犬さんもう3ヶ月経って居るんだけど、支払いの方はどう成って

居るんですか』敬長

『もうちょいなんだ、もうちょい待ってくれんかい』瑞犬

『明日一日で終わらせるからなーもう目の前なんだー』瑞犬


『しかし工事の様子を見ると、一日では終わるとは思えない

後30日は掛かりそうに見える』敬長


後・二日で一気に作業する事にして居るから、今日の所はこの

ドリンクを飲んで精力着けてくれるかい』と手渡した

(ブロジャブリン入り)

『これは何のドリンクですか』敬長

『精力増強剤やなー・これを飲んどくと明日の作業でバリバリ

動けるでー』瑞犬

『よう、効くでー』『早う飲み―や』瑞犬

山芋敬長は一気に飲んだ

山芋敬長は直ぐにぐったりして眠った

【瑞犬は用意して居たサクリシン(筋肉弛緩剤)を右腕に注射した】

【山芋敬長は数分で呼吸停止状態に成り窒息死した】

【農地の敷地内に穴を掘って埋めた】


【そこで夢は切り替わった】

瑞犬は蔵王犬泥沼に紹介されて水商売の女性と知り合った

『水滝美倫さんは(みずたき・びりん)何頭の犬を飼って居るんですか』

『そうですね・アフガン・ハウンド・一頭ですね』美倫

『大型犬は一頭で充分なのよねー』美倫

『ああー・あの・上品な大型犬ですね』瑞犬

『商売の方は儲かっているんですか』瑞犬

『まあ・まあ・ですね・見た目程儲からないのよねー』美倫

『投資するのはどうですかね』瑞犬

『何か良い投資知っているんですか』美倫


『実は俺、警察犬訓練士の資格を持って居るんですよ、今まで

そうですねー・ペットショップ経営等やっていましたけどねー』

『世の中が不景気に成って売上が伸びず止めましたね、ブリーダーに

投資するのはどうですか』瑞犬

『最初の資金が有れば可成り儲かりますよ、共同出資なんてどうです

興味在りませんか』瑞犬

『あっ・そう資金はどの位必要なのですか』美倫

『最初は・雄・雌・揃えないといけないので、犬種にもよりますが

最低でも300万円から500万円は要りますかね』瑞犬


『大型犬に成りますと一頭で80万円から120万円はしますからね』

『最初は小型犬・中型犬からスタートすれば300万円以下で大丈夫

ですがね』瑞犬

『貴方がやってくれるのならお金出しますよ』美倫

『どの位出して貰えますか』瑞犬

『手始めに200万円でどうかしら、交配して増えたらもっと出し

ますよ』美倫

『おーっ・結構出してくれますね、俺に任せて貰えますか』瑞犬

【金を貰った途端・半分以上の金は生活費に使ってしまった

資金は底をついた】

【そこで夢は切り替わった】


『あーっ・もしもし・』瑞犬

『瑞犬さん・あのさー・いつに成ったら犬を仕入れるのさー・ちゃんと

さー・犬を仕入れて繫殖させてよねー』美倫

『預けた200万円少しずつでも返して貰わないとねー、慈善事業

やって居る訳じゃー無いからさー』美倫

『犬を仕入れて交配させてよねー、利益を出して貰わないとねー』

『大丈夫だよ、何とかするからさー、もうちょいと待ってくれんかなー』

『あのさー、もう3ヶ月経って居るのよねー、眠れないのよねー毎日

お金が心配でねー』美倫

〖瑞犬は水滝美倫を熊谷の食事処に誘い出した〗

〖食事の席で〗


『瑞犬さんきちんとやってよねー、200万円投資したんだからさー』

『話は良く解ったよ、明日にでも他のブリーダーに話を付けて仕入れに

行くよ』瑞犬

〖水滝美倫のマンションの駐車場に着いた〗

【眠れないならこれ飲むといいよ】とブロジャブリン入りのドリンクを

手渡した

【飲んで効くまで40分位掛かるから今直ぐ飲むとええでー】

【水滝美倫は一気に飲んだ】

2分もすると意識が無くなり後部座席でぐったり眠った

【透かさず瑞犬は用意して居たサクリシン、一本を右腕に注射した】

【数分で呼吸停止状態に成り窒息死した】

一目散に、秩父小鹿野町・牛首峠の麓に向かった

【牛首峠に着くと農地の隅に穴を掘って水滝美倫さんを埋めた】

【本妙寺弥勒吉さん・山芋敬長さん・水滝美倫さんと3人の遺体を

並べた】

【全てが計画通りの犯行だった】


夢中百合子は3人を殺害した、山形犬瑞犬の脳内に記憶され焼き付いて

居る、記憶細胞に侵入する事にした。

【記憶の奥底に眠って居る全ての記憶を呼び寄せ、引き出す事にした】

【一軒目の殺人事件・本妙寺弥勒吉さんの殺害から山形犬瑞犬の記憶

細胞を再生する事にした】

【小鹿野町牛首峠の麓に在る農地の隅に穴を掘って弥勒吉さんを埋め

終わった場面から再生する事にした】

【瑞犬は弥勒吉さんの遺体を穴の中に投入れ、スコップで土を被せ

始めた】

【夢中に成って埋めて居る・周りには誰も居ない】


【よしっ・今だ】

【百合子は山形犬瑞犬の背後にその姿を静かに現した】

【山形犬瑞犬さん今、埋めて居るのは本妙寺弥勒吉さんですね】

【瑞犬は引きつった顔で顔面蒼白に成り・後ろを振り向いた】

【うわーっ・なんだー・ゆ・ゆ・幽霊かーっ】

【いつの間に出て来たーっ】

【ば・ば・化けもんかーっ】【うわーっ】

【誰も居ねー筈だぞーっ】【本物の幽霊かーっ】

【瑞犬さん・私は夢中百合子と言う者です】

【今、喋って居るのは夢の世界】

【現実の世界では在りません・幽霊でも在りません】


【瑞犬さん、本妙寺弥勒吉さんにペットショップ・共同経営の話を持ち

掛け・手付金として50万円を受け取りましたね】

【失敗は成功の基だとか、適当な話で最もらしく信用させましたね】

【獣医師の蔵王犬泥沼から・ブロジャブリン・サクリシン・を譲り

受け・ドリンクにブロジャブリンを混入させ眠らせ弥勒吉さんの右腕に

注射して・窒息死させましたね】

【そして小鹿野町牛首峠の麓に借りている、農地の隅に穴を掘って

投入れ埋めましてね】

【今・立っているこの現場がそうですね】

【な・な・何で知って居るんだ】


【車の中でスーパードリンクと称して飲ませ・眠らせ・そして

サクリシンを注射した】

【間違いなくその通りですね・ずーっと観て居たのです】

【おかしいぞ、車の中でも弥勒吉と2人切りだったぜ】

【蔵王犬泥沼から薬を受け取る時も2人切りだった、他には誰も

居なかったぞ】

【貴方の脳内に在る記憶細胞が私に全ての映像を再生し・映し出して

教えてくれるのです】


【そんな馬鹿なそんな事嘘だろう・作り話だ・幻だ】

【瑞犬さん、今、私が喋った事に間違いないですね】

【そ・そ・そうだ・確かにその通り全部合って居る、がしかし夢の

世界の話さ、目が覚めれば消えて無くなるぜ、そうだろう】

【瑞犬さん消滅しません・心の奥底に眠って居る貴方の記憶細胞が私の

前頭葉・前頭前野に再生して見せてくれるのですよ】

【私は最初からずーっと観て居たのですよ】

【今の話はボイスレコーダーに録音しました】

【しかし、現実の世界に再生出来る訳が無い】

【瑞犬さん今日はこれで私は消えます・また明日の夜お会いしますよ】


【つぎの夜百合子は、2件目の殺害現場を記憶して居る瑞犬の脳内

細胞に侵入して、脳内の映像を引き出す事にした】

【瑞犬が山芋敬長さんを穴に埋める場面から再生する事にした】

【瑞犬は穴を掘って居る、山芋敬長さんの遺体を穴に投入れ埋め

始めて居る】

【周りには誰も居ない、夢中に成って土を被せて居る】

【よしっ・今だ】

【百合子は土を被せて居る瑞犬の背後に静かにその姿を現した】

【背後から声を掛けた】

【山形犬瑞犬さん、今・埋めて居るのは殺害した山芋敬長さんですね】

【埋めたのは2人目ですね】

【瑞犬は顔が引きつり顔面蒼白に成り振り向いた】

【うわーっ】【何時の間に・またー出たかーっ】

【うわーっ】【誰も居ない筈だぞーっ】


【今、喋って居るのは夢の世界】

【現実の世界では在りません】

【夢の世界で会うのは2度目ですね・覚えて居ますか】

【そ・そ・そう言えば前に会った様な幻の様な記憶が微かに】

【あんまり、会いたく無い様な記憶が微かに在る様な】

【山芋敬長さんに犬の繫殖場や訓練所運営の話を持ち掛け、アルバイト

として働かせて金を支払わずに更に3ヶ月も待たせた】

【金を請求されると一括支払いで百万円支払うと、噓を着きましたね】


【金の話に成ると、もうちょい待ってくれんかいと、先延ばしにして

突貫工事で早く終わらせ、金を払うと嘘を着きましたね】

【精力増強剤と称して嘘を着き遂に、ブロジャブリンを飲ませ眠らせた

後に、直ぐにサクリシンを一本注射しましたね】

【そして・窒息死させた】

【今・この現場に殺害した山芋敬長さんを埋めたのですよね・その

足元に】

【間違いないですね・どうですか】

【な・な・何でそんなに詳しく知って居るんだ】

【周りには誰も居なかったぜ】

【確かに山芋敬長を殺ったのは俺だ、しかしおかしい】

【瑞犬さん、今の話はボイスレコーダーに録音しました】

【しかし、夢の世界の話なんだよなー・幻の世界の話なんだよなー】

【目が覚めたら消滅するんだよなー・消えてしまうんだよなー】

【山形犬瑞犬さん・目が覚めても消滅しません】


【貴方が目の当たりにした殺害映像は、心の奥底深く焼き付き一生

消える事は在りません】

【ただ貴方の潜在意識が心の奥底で重い蓋をして、心の闇の世界に

押し込めて居るのです】

【多分その光景は見たくも、思い出す事も嫌な光景なのでしょう】

【そういう自分を受け入れたくないのでしょう】

【私は貴方が心の奥底に閉じ込め押し込んで居る蓋を取り除きました】

【その、黒い闇の塊の世界を・再生・再現しました】

【瑞犬さん今日はこれで私は消えます】

【また・夜にお会いしましょう】


【百合子は3件目の殺害事件・水滝美倫さんの遺体を埋める場面から

再生して瑞犬の脳内に侵入する事にした】

【瑞犬は車の後部座席で窒息死して居る、水滝美倫さんを引きずり

出した】

【掘ったばかりの穴に遺体を放り投げた】

【夢中に成って土を被せて居る】

【よしっ・今だっ】

【百合子は、夢中に成って土を被せて居る山形犬瑞犬の背後に静かに

その姿を現した】

【背後から声を掛けた】

【瑞犬さん遺体を埋めるのは3人目かい】

〖瑞犬は後ろを振り返ったが、白目が血走り顔面の筋肉が可成り痙攣

して、全身硬直の状態で少しずつ震え初め、漏らし始めた〗


【ぐわーっ・ごげーっ】【✿➡♨❖♼】

【げっ・ごっ・ぎっ・がっ】【♥➑➒♼➡✂♺】

【♼♥♬♨♻⬆❖⬇♬➡♺♼♻♼⬆✿♥】

【グギッガッギゴッ】【ズッジッゲッゲッ】【♨♸♵❶】


【言葉に成らない・声にも成らない・うめき声】

【水滝美倫さんを殺害して穴に投入れ埋めたのかい】

【な・な・何で知って居るんだい】

【貴方の記憶細胞が私の前頭葉・前頭前野に映像を映し出して教えて

くれるのです】

【俺の記憶細胞が教えてくれるのかい】

【今・喋って居るのは夢の世界】

【現実の世界では在りません】

【瑞犬さん・貴方に会うのは今日で3回目ですよ】

【私の顔に見覚えが在るでしょう、良く思い出して下さい】


【そ・そ・そう言えば前にも何回か見た様な・何となく微かに記憶が】

【水滝美倫さんにブリーダー投資話を持ち掛けましたね】

【色々好き勝手に喋り噓を着いて信用させ・200万円をせしめ

ましたね】

【しかも200万円を手にした途端半分以上は生活費に使い果たした】

【殆どが無くなり資金は底をついた】

【投資の話は3ヶ月も放置して、美倫さんから繫殖状況を指摘されると

他のブリーダーに話をすると噓を着き・殺害を決めた】

【今まで殺害した2人の様に】


【な・な・何でそんなに詳しく知って居るんだ】

【所詮夢の中の話だろう】

【瑞犬さん貴方が目の当たりにした光景は、全て貴方の記憶細胞に

焼き付いて居るのです、一生消える事等無いのです】

【その、貴方の記憶細胞が私に全ての映像を再現して見せてくれる

のです】

【おかしい、そんな事が出来るなんて噓っぱちさ】

【美倫さんのマンションの駐車場に着くと言葉巧みに噓を着き睡眠

誘導済ブロジャブリンを飲ませた】

【後部座席でぐったりした美倫さんに筋肉弛緩剤サクリシン

注射した】

【数分で窒息死させた】


【そのまま小鹿野町牛首峠の麓に借りている農地の隅に、穴を掘り

遺体を放り投げ・埋めた】

【今貴方が立っているその場所こそが、美倫さんを埋めた場所ですね】

【間違いないですね、全て合って居るでしょう】

【秩父郡小鹿野署に出頭して下さい】

【水滝美倫さんを殺ったのは間違いなく俺だ】

【今の話はボイスレコーダーに録音しました】

【しかし、夢の世界何て目が覚めたら消えるんだ、消滅するんだよ】

【警察がそのボイスレコーダーを聴いたら笑うぜ】

【何の証拠にもならねーぜ】


【夢の世界で喋った事が現実の世界で再生出来る何て、とんだ幻だ

それこそがとんだ大噓だ、消滅するんだよ】

【山形犬瑞犬さん今・喋った事は消滅しません】

【貴方の脳内に在る記憶細胞は、貴方の記憶細胞に焼き付いて剝がす

事の出来ない一生消える事等無い、罪深い暗黒の心の映像ですよ】

【貴方の心の奥底に潜む真っ黒な闇でうごめく、心の塊なのです】

【私は貴方の心を抑え付けて居る暗黒の重い蓋を取り外しました】


【中でうごめいて居る、闇の記憶細胞を呼び出し・引き出します】

【そして・現実の世界で再生・再現するのです】

【私はそれが出来る女です】

【秩父郡小鹿野署に出頭して下さい・3日間待ちましょう】

【守って下さい、貴方の為ですよ】

【このボイスレコーダーの記録は【犯人しか知り得ない秘密の暴露】

に相当する記録です】

【逃れる事は出来ません・素直に自首して下さい】

【3日経っても、山形犬瑞犬は小鹿野署に出頭しなかった】


【小鹿野署はボイスレコーダーを基に、牛首峠の麓に在る農地を捜索

して3人の遺体を発見した】

【山形犬瑞犬は3人の殺害容疑・遺体遺棄容疑で逮捕された】


【余りにも短絡的・身勝手で残虐非道な犯行は許されるべきもの

ではない・人の命を粗末に扱いゴミの様に投げ捨て・金の欲に溺れ

人道を逸脱した犯行は・犬・猫・ネズミ・豚・にも劣る】

【冤罪御免雲隠・伍牢突嬉】裁判長は・山形犬瑞犬に禁錮・101年の

裁定を下した     (えんざいごめんくもがくれ・ごろつき)

海底刑務所名物料理人【地獄野番人】プロデュース生蚯蚓てんこ盛り

爆裂踊り喰いを101年間堪能するが良い

(ビオフェルミン支給制度有り)


佐渡島39キロ沖合に在る海底刑務所(水深291メートル)に在る

海底刑務所第39号棟入獄が決定した

年に一度【釈放宝くじ】制度が在る・一等当選者は壱名だけ発表される

【翌日AM・12時に釈放される】【200年間・1等当選者該当無し】

【夢中百合子は今日の夜また夢を広げる】


【夢中百合子が君達の脳内に侵入して、脳内に潜む暗黒の闇の世界の

重い蓋を取り除き闇の中で動めく邪悪な塊と記憶を呼び寄せ引き出し

再現するのは今夜だ】

【瞳を閉じるのをベッドの側でじっと顔を覗き込んで居る】

                     

                      種子火たねび

             【登場人物】


       【桃源郷魂胆・垂着百華(妻)】

       【尾場間馬楽・尾場間タキ子(妻)】

      【本妙寺弥勒吉・本妙寺弥勒(妻)】

  【山形犬瑞犬・山芋敬長・水滝美倫】

   【蔵王犬泥沼(獣医師)】

【合釣尻捲大見栄・裁判長】【恐山大忿怒・御陀仏無念】裁判長

【冤罪御免雲隠・御牢突嬉】裁判長

【この物語はフィクションです・この世に存在しません】

 【この他にも、投稿します・読んで下さい】
















                    










                    


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