26 旅
ギルドの扉を開け、注目を浴び受付まで歩く。今日はリズが居るから、一段と視線を感じるね。
「アリーヌさん、ただいま」
「おかえり、アルくんそちらの方は?」
「要人です。マスターと話しをしたいのですが」
「解ったわ、少し待っててね」
奥へと、消えて行く。
周りの冒険者達がザワザワと話し声をする。まあ獣人族でも、あまり見掛け無い種族だから仕方ないか。
「アルくん、マスターが入って来て欲しいそうよ」
「ありがとうございます」
何度も足を運んでいるので奥へと進む、リズの手を勿論引いて。
ノックをして、入室すると。
「ああ、入って来てくれて構わ無い」
「リズも入って」
「うん」
入って来るリズを観てパクパクと…声が出ていませんよマスター。
「どうかしましたか?」
「どうかしたじゃ無い!獣人国の王族じゃないか!」
事の成り行きを話す、森での出来事とこれからの事を。
「そういう事か、助かったよアルトゥルくん。万が一でも誘拐されてたら、人族と獣人国の関係が危うくなっていた」
「門番の方もそう言っていましたが、偶然ですよ」
「リズベス様、1つ提案が有るのですが宜しいですか?」
「うん?なに」
「リズベス様の帰国とお母様の治療を、ギルドへ依頼という形にして頂きたい」
「構わない」
「報酬はアルトゥルくんは気にはしていないが、彼は実力とランクが合っていません。それは依頼数が足りないからで、王族護衛を達成出来ればランクアップの推薦も通るのでお願い出来ませんか?」
「問題無い、確かにアルは強い。けど何故Cランク?」
ギルドマスターが、2人の事をリズに伝える。もうこれでトラブル決定だね。どうせ家に泊まるとか言い出すから、顔を合わせるに決まってる。
「幼馴染に、伯爵家の令嬢。問題無い」
何が問題無いのだろうか?問題だらけな気がするな。
「それで、アルトゥルくんは明日に出発するのかね?」
「そうします、距離が有りますので。そう言えばリズは1人で旅して来たの?」
「こっそり屋敷を抜けた、襲われた時は魔力に余裕が無かっただけ」
ギルドマスターは額に手を当てて天井を見つめる。以前にも見つめて無かった?
「ギルドを通して、連絡しても宜しいですか?」
「構わない、獣人国は強いが正義。止められ無かった者が悪い」
こっそり抜けたからじゃ…。
なに?
と、目で会話してたりする。
目と目で通じ合う〜♪
もうネタは良いけど、獣人国までどれくらい日数掛かる?
馬車で2週間くらいかな。
一月は帰って来れないな、アニスとソフィーは怒るかな?まあなる様になれだ!
「アルトゥルくん、では明日から頼むな。リズベス様は本日の宿も、アルトゥルくんの処へ?」
「アルと一緒、離れない」
「君は本当に退屈しないな、無事成し遂げて帰って来るようにな」
波乱万丈で楽しく生きて活きますよ。
「それでは、失礼します」
帰りに受付で、狩りの成果と薬草を提出する。
「報酬はカードに入れといて下さい。それと護衛依頼で、暫く留守にしますので」
「え!大丈夫?その、2人の方は…」
「正直に話しますので、何とかなりますよ」
「それでは、失礼します」
ギルドを出て家路に着く。リズは街並が珍しいのか、あちこちと見ては止まる。その都度、旅の食料品として購入したりしてる。
家路には結構掛かったが、楽しい時間だった。
「ただいま、リズも遠慮せず寛いでね」
「うん」
「おかえり。…あら、お客さん?」
「母さん、今日は泊めて上げても良いかな?」
「まあ可愛い子、勿論良いわよ」
「お兄ちゃん、おかえり〜」
「アルくんお帰り…って、獣人国の貴族様じゃない!」
ロサナさんが知ってるて事は、他の冒険者も知っていたからあんなにザワ付いていたのか。
夕飯の際に、今日の出来事を話すのが定番になってるので森での事とこれからの事を話す。
「お兄ちゃんに合えなくなるの?」
「終わったらちゃんと戻るよ」
「ナディごめんなさい。アルに母様の病気を治して貰いたい」
「リズねぇのお母さんは、お兄ちゃんじゃないと治せないから我慢する!」
「状態異常高回復は、獣人国の教会の連中でも使えない」
え?そうなの!
そうだね~、また目立っちゃうね!この世界にアルくんとあの教会に1人だけかな。
そう、人族の帝国に居る。合うのが難しいと聞いた、迷って王国に着いた。
迷子だったんだ、リズは方向音痴?
地図も何も無い、取り敢えず向かった。
あははは、無鉄砲で考えるより行動しちゃうんだね〜。
そうだ、ショーコちゃん移動系のスキルは有る?空を飛ぶとか、瞬間移動見たいなの!
どっちもあるよ、飛行と転移ね。今晩にでも使える用にやっておくね。
待って!アルは此処でスキルの習得が出来るの?
そうだよ〜、ショーコちゃんに任せなさい!
飛行と転移、どっちも御伽話のスキル。ショーコ凄い!
飛行が有れば獣人国まで直ぐだし、転移ってどうせ1度は行かないと使えないとか?でしょ。
そうだね~。転移はイメージがいるからね。
「父さん、暫く留守にしますので魔道具造りをお願いしますね」
「生産が追いつかん…」
「何を、造ってる?」
「リズベス様、アルくんはね冷蔵庫やコンロとか!後は、甘味にお酒に化粧品。あ!ポーションもだね」
「前世の家電、お酒、甘味、薬、道理で見た事あった」
「あ!」
「え?」☓3
慌てたが、もう遅かった。ナディアだけは理解してないが、もう知ってしまったな。
「あ!アルごめんなさい。秘密にしてたんだ」
「太古の技術として、誤魔化してただけですよ。正直に話します」
前世は、この世界じゃ無い世界で暮してた事や、其処で造られた家電製品をこの世界で再現したりしてる事とリズとは前世での関係も話した。
「そう、でも私がお腹を痛めて産んだ事には変わらないわ」
「ああ、俺たちの最初の子供には違いない」
「アルくんは、私の命の恩人で師匠だよ」
「お兄ちゃんは、お兄ちゃんだよね?」
「母さん、父さん、ロサナさん、それにナディア、ありがとうございます」
「アル、ほんとにごめんなさい」
「リズさんは、本当にアルの事が好きでこの世界まで追っかけて来たんでしょ?アルは小さな事で嫌いになったりはしないわよ」
母さんはリズの後ろから、抱き締めながら言葉をかける。
「はい、温かい…」
「アルは大変かも知れないけど、アニスやソフィー、リズさんを幸せにしないと母さん怒るわよ」
え!もう多妻決定なの?俺只の平民なのに。
わたしも入れ無いと、拗ねるし泣いちゃうよ!
勿論ショーコも。
だよねーリズちゃん!
もう好きにして下さい。こうなったら3人も4人も変わらん!ハーレム作ってやるよ!
手当り次第はダメ、ちゃんとアルに好意が無いと許さないし浮気もさせない。
あ、ハイ…。
やっぱり尻に敷かれるアルくんだね。
コンコンとドアをノックする音がする。ドアを開けると、其処にはアニスとソフィーが立っている。




