17 貴族
馬車は貴族街へと向けて走ってる中、騎士の方とお喋りしながら進む。
「自己紹介がまだだったね。私はルシオ・フォン・バルデス。子爵家の3男だから、半分は平民見たいな者だ」
「僕は、アルトゥル。冒険者ランクD商業者ランクCでサンベル工房の長男です」
「その歳で商人として一人前で冒険者としてもか、本当に君には驚かされる」
ただ前世の記憶があるだけなので、自覚は無いんだけどね。それに…やめとこ、褒めると調子にのる子のおかげだ。
え!呼んだ?
おとなしく、ゲーム見てて良いよ。
「今向かってる屋敷は、ラファネル伯爵家だ。先日盗賊から助けて貰った御礼を受けて頂きたい」
「ここまで来て、お断り出来そうに無いのでお受けします」
「そう言ってくれる助かるよ」
馬車乗ってるし、それに多分アレだよな?でかいなぁ、前世じゃ死ぬ前は安アパートだったし。
馬車が止まり、扉を開けられる。そこには漫画や、アニメの世界でしか見た事無かった光景だ。でかい屋敷に、玄関前にメイドさんや執事だ。
あのロマンスグレーなオジサマはセバスよ!
寧ろ当主じゃない?違うか?玄関前で待ってる訳無いか。
歩いて向うと、サイドに立つメイドさんは一斉に頭を下げる。むず痒いので止めて下さい。
「ヴァレール・フォン・ラファネル、この伯爵家の主だ。この度は娘を助けて貰い感謝している」
「始めまして、サンベル工房の長男アルトゥルです。本日は御招き頂きありがとうございます」
簡単な挨拶を済ませ、屋敷の応接室へ通される。高そうな調度品がいっぱいだ、うっかり躓いて割ったらどう反応するかな?
ユーやっちゃいなよ!
ヤらないよ!冗談だ。
席に座ると、メイドさんが御茶を淹れてくれる。良い香りがする、出来れば酒が呑みたいな。この世界ではまだ飲んで無いんだよな。
「改めて紹介させてもらう、ヴァレール・フォン・ラファネル現当主だ。この娘が助けて貰った」
「自分で紹介させて下さいお父様」
「ああ、済まないな」
「ソフィアール・フォン・ラファネルです。この度は助けて頂き感謝してます、是非ソフィーとお呼び下さいね」
「母のフェリーチェです、娘や使用人を助けて頂きありがとう。それにしても人怖じしないわ、貴方は何歳で?」
「4歳で、冒険者と商人を兼人してます」
どんな4才児だよ!自分でも何やってんだよと思うけど、自我ある分仕方ないしこの世界は魔法が使えるから楽しいもんね。
「私より、4つも年下なのに随分強いのですね」
「鍛えてますから、自分が目立つので幼馴染が狙われるので仕方がなく」
それに、こっちの世界は動き易いような気がする。
「アルトゥル殿、君に御礼をしたいのだが欲しい物はあるかい?」
これはチャンスだ!
「差し支えなければ、鉱山への立入り許可が欲しいです」
「それは簡単だが、そんな物で良いのかい?」
新しい魔道具を造るのに、新しい鉄を造りたい事を説明をする。
「ほー、錆び難い鉄か。確か失われた技術だったと思うがね」
話を早くする為にメモリホルダーで在る事を告げる。
「なるほど、合点がいった。どうも君と話てると子供の印象がしない訳だ」
「お父様、メモリホルダーとは何ですか?」
説明中、御茶やお菓子を頂く。このクッキーぽいのも薄甘く美味しいけど、甘味は高級品だよな。もっと身近にしたいな。
「アルトゥルさん、凄いです!」
「記憶は朧気ですよ、アルとお呼び下さいお嬢様」
「ソフィーよ!解ったアル?それと私には敬語は無しね」
アーちゃんと一緒で、お転婆さんかな?
「娘は言い出しら聞かないから、宜しく頼むよ。それとこれを渡しておく」
ラファネル伯爵家の、家紋入のメダルを渡された。これを見せると、ぶっちゃけ伯爵家が後ろ盾になったと言う証らしい。
後で鉱山の通行証もくれるそうなので、待ってる間にお昼御飯を御馳走してくれるそうだ。この世界での貴族飯だ美味しいんだろうな。
前世のファミレスの感覚だった。良く言えば素材を活かして、悪く言えば薄味気味だ。まだ若いから濃い物食べたいな。
調味料、香辛料にも手を出すべきか悩むな。それらしい材料が有ったらで良いか?
御昼の席でソフィーが実力を見て見たいそうなので、午後からは訓練場で模擬戦を見せる事になった。
食後の運動になれば良いか。案内された場所に来たが活気あるね!先の盗賊に遅れを取ったからだろうね。
「今日は、先日盗賊からお嬢様を助けて頂いたアルトゥル殿と模擬戦をして貰う!子供だと侮ると痛い目に合うから気合を入れていけ!」
バルデスさんの激が入る。
「はい!」☓多数
「僕は複数人の相手でも、構わないのでドンドンいきましょう!」
「第一部隊前へ!」
12名が前出る、武器は刃引きをした鉄の剣だけど、当たらなければどうと言う事は無い。…当たると泣いちゃうかも!
小手盾と木剣を装備する。いや刃引き剣はサイズが無いのよね、それに重くて振り回せないよ!木剣でもインパクトの瞬間に魔力で強化すれば良いだけ、それの練習も兼ねてるしね。
「始め!」
さあ、第7部隊まであるからサクサク逝っちゃうよ!
風弾を弱目に撃って牽制しながら突っ込む!強く撃てば盾くらいなら吹き飛ばせるかな?
身体強化で素早く動き廻りながら、叩きのめしていく。
「アルの姿が見えないわ!そうやって盗賊を倒したのね」
「はい、ですがだいぶ手加減をされてますよ。風弾も当たれば盗賊は致命傷でした」
「お父様!是非アルを家に迎え入れて欲しいです」
「確かに惜しいが、彼は自由にやって生きたいのでは?欲しいのならソフィーが自分で掴みなさい」
彼が婿に来るのもまた一興だが、そう簡単に首を縦に振る舞い。
そんな話をしていると知らず、暴れ周る俺でした。