11 日常
家に戻り晩御飯にする。
「アル、今日は無茶しなかったか?」
本日の狩りの結果と、ギルドの出来事を話す。
「討伐数も凄いが、やっぱり絡まれたか。まあ見た目と言うよりも年齢がな」
「明日はオーク肉のステーキね。美味しいのよ、お父さんの稼ぎじゃ偶にしか食べれないんだからね」
そんな事は無いと思うけど、今は新型コンロの稼ぎで忙しいと思うよ。何より本人の前で言っちゃ駄目だよ。
「アーちゃんとこにもお裾分けするね。3匹分の肉だしね」
「ふふ、そうね。ナディアはまだ食べれ無いから残念ね」
まだ産まれて数ヶ月の妹には無理だな。俺だったら食べたかも!
翌朝アーちゃんが迎えに来たので一緒に出かける。
「もうアル、昨日は家に居ないんだから」
どうやらおじさんに伝言を頼んだが、行き違いになったらしい。
ゆっくり商店街を抜け、花畑に向かう。ココはもう定番だよね。周りには大人も居るから安心だね。
「アルくんとアーちゃんっていっつも一緒だね?恋人なの?」
マセた子がそんな事を聞いてくる。悪い気はしないけど、この世界は一夫多妻制なんだ!その前に結婚はどうだろう?前世では一回はしたが、自由無くなるもんな。世界を見に、旅に出たいしな。
「私はアルの事好きよ」
「ありがと、アーちゃん」
「私も!」
と幼女達に押しつぶされた。母親達は微笑ましく観ている。助けて欲しいんだけど、無理そうだ。
その後アーちゃんと2人で、冒険者ギルドへ向かう。扉を開けて中へ入ると冷かしを受けながら解体場のカウンターへ進む。
「こんにちは、解体は済んでいますか?」
「おう、坊主のは終わってるぜ」
ギルドの魔法の袋から、オークの肉と魔石を取り出す親方。
魔石と肉を受取り、親方から札を貰う。この札を、受付嬢に見せれば良いらしい。
「親方からこの札を預かりました」
「はい、精算ですね。少しお待ち下さい」
「討伐数とオーク肉の買取から解体料金と保存料金を差し引いた金額がこちらです」
金貨1枚と銀貨45枚を受取る。一般年収の3分の1を僅か半日で稼いでしまった。
まあこっちは、命をチップにしてるから当然か。でも鏡のマージンも入るから当面はお金に苦労しないかな。
魔法の袋に仕舞い、ギルド出る。暫く歩いてると、探知に反応ある。
アルつけられてるよ。
街中で戦闘も不味いけど、アーちゃんが居るからな。逃げるに限るな!
「アーちゃん、早く帰りたいからちょっとごめんね」
アーちゃんをお嬢様抱っこし、身体強化を施す。後は一直線!どうせ人の懐を狙う奴だから、大した事無いから追い付けないだろうな。
アーちゃんは怖く無い様だ、屋根の上とか走ってるんだけど、キャッキャ楽しんでる。怖がられて、暴れるよりはマシか。
「「ただいま〜」」
「おかえり、今日は早いのね」
「アルが抱っこして、屋根の上とか走ってくれたの」
「そう良かったわね、手を洗ってうがいをしておいで」
返事をしたアーちゃんは奥へと消えて行く。
「何かあったのね?」
ギルドから、帰り道の説明をすると。
「アル1人なら問題無かったのでしょ?ありがとう」
「気にしないで下さい、それよりコレに触れて魔力を流して欲しいです」
ピンズを握り魔力を流して貰うと、それを受取り袋に付ける。
「オーク肉が一頭分入ってます、お裾分けです。魔法の袋も家一軒分の時間停止付きだから、腐らないですので当分楽しめますよ」
「アル、あなたダンジョンにでも入ったの!?」
「ああ、魔法の袋ですか。自作ですよ、まだ魔力不足だから小さいので」
もっと大きいの出来るまで伏せとくつもりだが、腐るしね。
「まだ公にして無いので安心して下さい」
「そうじゃ無いわよ!古代遺産の復元に成功させたのよ!」
魔法の袋って今は造られて無かったのか、便利なのに勿体ない。
「何を騒いでるんだい?」
「あなた!」
エレナさんが旦那さん説明を終えると、レジスさんは額に手を当て上を見上げる。
頭痛いのかな?ヒールいるかな?
そうじゃ無いと思うよ。
もう、普通に出てくる様になったね。
退屈なんですぅ〜。
「アル、コレは公にするのかい?」
「もう少し、強くなってからにしますね」
「そうなさい」
「鍛冶屋に用が有るので行きますね。剣を研いで貰わないといけませんので」
一回の狩りでボロボロだ、他に良い方法無いかな?ドワーフのガンターさんに聞いて見るか。
ガシャーン!と入口から転がって来るので、華麗にスルーして中へ入る。どうせ客が文句を言って怒らせたのだろう。
「アル坊か、何のようじゃ?」
「コレの研ぎ直しをお願いしたいのと、もう少し頑丈なの有りませんか?」
受け取った剣を、一目見て問われる。
「1日でコレか?」
「はい」
正確には半日位なんだけどね。
「ちょっと待っとれ!」
奥へ、消えて行く。放置幼児にされた!
やったね!これで放置される分だけ、強くなれるね。
なれねーよ。
「ほれ、これを使ってみろ!」
渡されたのはロングナイフだ、軽くて今の身長に合うな。振って具合いを確かめるが、良いな。後は耐久性だね。
「それはワシが鍛えた、鋼じゃ。耐久性はあるがマメにメンテに持って来い」
「序に解体用の、ナイフも有りませんか?」
「2本で金貨1枚じゃ」
「はい、ありがとうございます」
下手に値切るとガンターさんは切れるし、職人さんの冒涜になるよね。
装備は整ったので、また明日は狩りに出かけよう。