1 目覚め
目が覚めると、知らない天井と知らない顔が映る。…ココは何処だ?
「アナタ、リッパナアトトリデス」
「アア、ヨクヤッタ。ブジニウマレテキテクレテ、アリガトウ」
何を喋ってるのか解らないな。それより俺は家で、酒呑んで何時もの寝落ちしてると思ったんだが…。夢とか?
それにしては、身体が動かし辛いな。…何だコレ!?手が小さいし、赤ちゃんの手みたいだ。その手で顔触るがプニプニだな。
これはあれか、転生ってやつか!でも神様とか女神に会って、転生特典を貰って無いぞ!普通の生まれ変わりか、残念なようで良かったかな?魔王を倒せとかはぶっちゃけ俺のキャラじゃないもんな。
それにしても、赤ん坊は暇だな。泣くのも仕事何だろうけど前世?では、40を越えたおっさんだしな。如何せん記憶が有るから恥ずかしいな。
確かに歳を重ねるに連れて、涙腺は弱くなって感動しやすくなったが今は泣けないな。そうだ!お約束の出るかな?
ステータス…。オープン…。駄目だな。無いのかじゃあ鑑定!
アルトゥル 人族
状態:赤ん坊、お腹減ってきた。
SKILL
記憶 鑑定 付与
日本語で表記されるのかよ!まあこっちの言語で表記されたら解らんが、まあいいや。スキルを鑑定するか、…ふむ。
記憶:前世の記憶の持ち主
鑑定:知識の書庫にアクセス
付与:物体に魔法を施す
アタリなのか?ハズレなのか、解らんな。
アルトゥルが俺の名前か、名字が無いから平民かな?部屋の中はログハウスぽいな。
お腹空いてきたな。コレ泣かないと、来てくれないのかな?
ガチャっとドアが開くと、先程の女性。てか母親だよな。
「アル、ミルクノジカンヨ」
ポロン♪とその巨乳を魅せてくれる、この世界にはブラは存在しない様だ。親父よ、お主も巨乳好きか!?
舐め回す訳にはいかないので、普通に吸えば良いのかな?吸いながら少し、舌先をツンツンしてみると。
「ァン…ワタシヨッキュウフマンナノカシラ?」
面白い反応が返ってきた。まあ母親で遊ぶ訳にはいかないか。普通に吸うか、この世界にも煙草あるのかな?丁度、煙草サイズ何だよな。
お腹いっぱいになったら眠気が…駄目だ、寝落ちすると元に戻るか?睡魔には勝て、ないな…。
目が覚めると、…赤ん坊のままだ。まあ元の世界に、未練は無いからこの世界を愉しむかな。
鑑定のスキルで遊ぶか、確か知識の書庫にアクセスって事は本でも読めるのかな?使って見るか。
知識の書庫へ、意識を向けて鑑定と念じると……ヘぇ~。コレ全部観るの、無理じゃね!?…うん?検索出来るな。じゃあ前世の俺の死因は?
急性アルコール中毒による脳死だよ。
なるほど、俺らしい死に方だな。一升瓶を4本くらい空けたような気がする。暴飲はやめとこ。
此処はどこ?
モダニアセレンテ、モダニア王国領土の東に位置する商業都市ベイリアルよ。
商業都市か、…さっきから気になるが、誰が喋ってくれてるのか?まあいいか楽だし、ありがとう!書庫さん。
どういたしまして。
普通に会話が成り立つ!話し相手になるからいいや。俺がこの世界に来た理由ってある?
特にないかな。
って事は、普通に転生ってことか。第二の人生を楽しめるな。
俺のスキルの、記憶と鑑定は珍しい?
記憶は希有な存在で、この世界に該当者は7名居るよ。鑑定は持っている人は多いけど。知識の書庫にアクセス出来るので君だけ。
記憶は俺の他に6人か、多いのか少ないのか解らんな。鑑定は珍しいスキルじゃ無いが、書庫にアクセス出来るの俺だけか。付与も珍しくは無いな。
隠匿スキル欲しいな。どうやったら覚えられる?
魔導書を閲覧で習得できるよ。金貨80〜120枚でこの世界で購入してね。
高いのか安いのか解んね、一般人の平均収入は?
う〜ん年間、金貨3〜5枚くらいかな?
無茶苦茶たけーよ!ココで観れたら良いのにな。
できるよ。
できるのかよ!じゃあ見せて貰える?…なんだコレ!頭の中に、直接書き込まれる様な感覚だ。
NEWSKILL 隠匿
これは、結構しんどいな。スキル覚えるのって大変なんだな。今日はもうやめとこう、あ!こちらの世界の人の言葉の日本語訳と創れる?
いいよ、……ほい完了っと。
これで本体は寝てるけど、頭は起きて勉強出来る。脳が睡眠摂らないと意味ないかな?こっちの言語は覚えないと、何言ってるか解かんなくて不便なんだよ。
数日でこっちの言語はマスター出来たので、他にもないか書庫さんに尋ねたら在るらしい。暇なので覚えることにした。脳が若返ったおかげか、物覚えが良いんだよな。
前世では、歳を取るとアレソレが多くなる。名前が思い出せない時は、巻くやつだのソレっぽい事で誤魔化しが激しいな。
こっちの1ヶ月は、7日で一週間で5週らしい。1年は12ヶ月だから420日だ。地球に居た頃より長いな。曜日も火の精霊から始まり、水、風、土、光、闇、無の精霊があるそうだ。
通貨は銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚。後は白金貨や王金貨、帝金貨等が存在するが、一般人は銅貨や銀貨が主流だそうだ。
国も王国だけではなく、ゲルマン帝国や魔法都市や学文の都市、宗教の国等様々な国がある。勿論、獣人の国やエルフ、ドワーフ、魔族の国等の異世界定番種族も住んでいるそうだ。
いつか旅に出て世界を廻りたいな。それには体力と装備を造らないとな。魔物や盗賊等も出るそうだ。この世界の、人の命は軽そうだな。
この半年で、知識の書庫のおかげでスキルや言語はバッチリ覚えたな。父親のサンベルはこの工房を継いで欲しいそうだが、弟か妹に任せる。毎日お盛んだから、そのうちできちゃうだろう。
ただ、この工房で造られている魔道具には興味はいく。ピンズみたいな物に付与を施しさまざまな道具を造るそうだ。モノ造りは好きなので、作業を早くやってみたい。
最近は、ハイハイやつかまり立ちが出来るので工房にも入ったのだが…追い出された。今はおとなしく、ママンの膝の上で本を読み聞かされてるとこだ。
「母さん、僕も付与のお勉強したい」
「もう、はっきりと喋れるよになったのね。少し精霊様のお話しをしましょうか」
主に自然に宿る霊的な存在とされ、一部の民族では信仰の対象とされている。身近な存在でもあるが、視えない人には遠くに感じる存在…それが精霊だ。
「母さんには見えるの?」
「母さんはね、火の精霊と光の精霊が見えるのよ」
因みに俺、全部見えてるんだよな。まあ勝手気ままな性格なようで、俺と相性良いのかも知れない。
「アルも、見える様になると良いわね」
「うん」
コンコンと、ドアをノックする音がする。
「ちょっと待っててね。はーい!」
隣のレジス武具店の、奥さんが遊びに来たようだ。奥さんが抱えてる女の子は、自分より半月ほど早く産まれてる。所謂、幼馴染だな。
前世にも幼馴染は居たが、月日は残酷だ。小学生に上がる頃に、自分が引越しその後に再会する事になる。高校の入学式で声を掛けられたが、思い出はそうとう美化されていた。
幼馴染のアニスはそうなって欲しくないな。
「エレナさん、こんにちわ」
「アルちゃんもう挨拶できるのね?すごいわ」
「アーちゃん、向こうで遊ぼ」
「うん」
子供部屋に移動して来たが、何するかな?アニスはまだ余り喋れないから、本を読み聞かせながら文字を教えて行くか。
普通の子より断然早いけどね。覚えてくれたら、俺の話し相手になるからね。自分好みに育つかは不明だけど、前世では子育てもしたが思い通りには行かないものだった。
「本読んであげるね」
「アル、ありがと。ゆっくりね」
「ねえ、アルちゃんって成長早くない?」
「ちょっとそう思うけど、好奇心旺盛で困るわよ。つい先日も工房に入って、道具を触ろうとしてたのよ」
「たぶん今は、アルちゃんがアニスに本の読み聞かせとかやってるかも!」
お茶を楽しみながら、子供の話題に花を咲かせる主婦2人も、幼少期からの仲だったりする。
「そろそろ夕飯の、準備しなくちゃ」
「もう、そんな時間なのね。アニスは寝てるかも?」
そんな会話しながら、部屋に向かうと2人仲良く寝てる様子だ。
「アルの寝顔を見ると、まだ7ヶ月なのよね」
「そうよね、アニスもまだ8ヶ月経って無いものよ、それで喋るんだから二人とも成長は早いんじゃない?」
親の心子知らずとは言うが、前世では40越えたおっさんだし、今は赤ん坊だ。複雑な気分で狸寝入りをしてる最中だよ。
最近は本業が忙しくなってきましたので、毎日投稿出来無いかしれませんが暇潰しに覗いて下さい。