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悪役令嬢になったんで推し事としてヒロインを溺愛します。  作者: 273
ルート4 憧れのあの子とホテルに行こう!
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今日はヒロインを独り占め!レッツラショッピング!

 あの事件から一週間。高熱はぐんと下がり、前みたくヒロインを溺愛する日々に戻ることができた。


 休んでいた分、親密度を挽回しようと意気込んだのはいいが、男共の襲撃はあの手この手でやってくる。愛理と二人きりになろうとすれば、発情期の犬並みにすっ飛んでくる男ども。日に増してあいつらの戦法は手強くなっており、今度はストレスで体調不良になりそうだった。そんな過酷な状況でも、私はまたも自らの手で最高のイベントを立ち上げた。


 時は土曜日のお昼。駅から乗り継いだ場所にある大手ショッピングモールのランジェリーショップに私と愛理はいた。


「んまあ~、素敵っ! ねぇ愛理! これなんてどうかしら?」


「こ、これですか……? これってティーバックってやつじゃ……しかもほぼ紐じゃ……」


「そう? 私には全然ティーに見えないわよ。ほら、この大きさならちゃんと具も隠れ……オホホ、失礼。ここの布面積も広くて、クロッチも分厚くて丈夫で見えない見えない。そ・れ・にっ! これから暑い季節になるんだし、ティーバックの方が断然快適よ?」


「そ、そうですか? うーん、迷っちゃうな」


 私がチョイスしたティーバックをまじまじと眺めては、他の下着も手に取っていく可愛い可愛い愛理。


 ……ん? なんで二人っきりでデートをしているのか? そうね、簡単に説明すれば愛理の方からカラオケの約束いつにしますかって聞かれたわけ。そんなことを言われたら今週の休みと即答&どうせならショッピングを楽しみながらお揃いの下着を買おうとなって今に至る。


「これもいいんじゃない? んー、でも黒色しかないのね。ちょっと大人っぽいかしら?」


「あっ、それもいいと思います! 控え目な感じに見えますけど、よく見ると紐がフリルになっていて可愛いですよ」


 このデザインもいい、あれの刺繍デザインもいい。珍しく下ネタなしの女子トークを楽しみ、共に入る試着室……。背中合わせで試着をしたけど、こっそりと愛理の方へ顔を向けていたのは私だけの秘密。かれこれ悩んで三十分。二人が悩みに悩んで選んだの、はレースと刺繍が施されたブラのショーツのセット。ついでにお色味はオフホワイト。


「ありがとうございましたぁ~♪」


 無駄にキンキンボイスの店員に見送られ、店の外に出て数歩。横を歩いていた愛理が上機嫌にショップ袋を上下に揺らせば、


「まさか桃尻さんとお揃いの物を買えるなんて思いもしていませんでした。私、人とお揃いの物を持つってことあまりなくって……だから、すごく嬉しいです」


 さりげなく片耳に髪をかけてはそう言った。まさに守りたい、この笑顔。聞いている自分までもが、この上ない幸福感で満ち溢れそう。


「うふふ、まだまだ時間はあるわよ。今日はとことん楽しみましょう!」


「はいっ! そういえば、桃尻さんの今日のコーデすごく似合ってて、新鮮味を感じます」


「ありがとう。たまには違った感じでいこうと思ってね」


 今日は一日ショッピングモールで遊ぶのだ。さすがにいつものドレスやハイヒールに巻き髪はTPOにそぐわないと思った私は、朝一から若林にコーディネートを頼んで軽いニット素材の白トップスにアースカラーのロングスカート。そして髪は毛先を軽く巻いただけのカジュアルファッションだが、思った以上に愛理には好評で、


「あの、そのスカートってどこのブランドですか? よければ教えてもらっても……」


「これは一階にあるブランドだから後で行きましょう」


「いいんですか? なんだか、すごく意外です。桃尻さんもこういった一般向けのお店に行くんだなって……ああっ! 変な意味じゃないんです! 気に障ったらごめんなさい!」


「ふふふ、分かってるわよ。気にしないで」


 謝る姿も超絶可愛いよ。この桃尻エリカがあえてデパートじゃなく、一般層向けのショッピングモールを選んで大正解。お嬢様から馴染みやすい存在に見させることでヒロインとの距離は確実にぐっと近距離になったはず。


 ……にしても、さすがというべきか休日のショッピングモールは人が多い。家族連れやカップル、友人グループ。そして私の横にいる愛理を狙うナンパ師の多いこと! あっ、ほらまた!


「ね、君。高校生? 今暇?」


 テニスサークルに入っていそうな大学生二人組が私をガン無視して愛理に話しかける。それも好意的な様子ではない。完全にエロ目的。「この子なら今夜いける」なんて性的な目でニヤニヤ――したのも束の間、すぐに血の気を引いた面になって足早に去って行く。


「あれ? あの人たち、どうしたんでしょうか?」


「お花摘みに行きたくなったのよ、きっと」


 きょとんとしていた愛理だったが、その説明を聞いて何故か納得したらしく間に合うといいですねと優しい言葉を漏らしていた。正解は私が男どもに睨みを利かせて「殺す殺す殺す殺す」などと延々に口パクをしていたから。


 はぁ、これだから一般人は。ショッピングモールは楽しいけど、その分休日はDQNも多いから嫌なのよね。まあ、金持兄弟は休みにこんな場所に来ないでしょうからマシなんだけど。


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