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悪役令嬢になったんで推し事としてヒロインを溺愛します。  作者: 273
ルート3  憧れのあの子を看病しよう!
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キュンです!恋するって本当楽しい!

 二日間も学校に行けていない。すなわちそれは二日愛理断ちをしているのと同じことを指している。


 携帯には愛理から心配するメールが何通も届いた。だが、弄るだけでも気分が悪くなるので、携帯は手元に置かず、若林にメールが来たら教えてと渡している。ちなみに文章を打つのも彼女の役割。甘ったれてんな〜と思うかもしれないけど、それほど熱があり、とてつもなく怠いのだ。トイレに行くのも車椅子を使用するほど。


「うー……あー……」


 あの子の顔が見たい、声が聞きたい。


 ベッドの上に寝かされて唸り声を上げることしかできなかった。さっきから天井一点しか眺めていない。見飽きたから体を横にしたい。が、力がでない。そもそも高熱がこんなに長引くものなのか。何か悪い病気か感染症か勘ぐってしまう。


「失恋します。エリカ様、体調はどうですか?」


 扉をノックした若林が台車を引いて部屋に入ってきた。他にも使用人はたくさんいるのに、一昨日から彼女がほぼ付きっきりで看病してくれている。圧倒的感謝。完治したら臨時ボーナス与えてもいい。具合はあまりよくないの意味を込めて首を横に振る。


「そうですか。でしたらこちらの薬を投与してみますか? とても良く効くとのことで、エリカ様を診察してくださったお医者様からいただきました」


「薬?」


 台車の上にあるロケット型の錠剤。なーんかどこかで見覚えのある形だこと。


「こちらは座薬です。エリカ様は……」


「自分で入れるから大丈夫」


「分かりました。ではこちらに置いておきますのでお食事がお済みになったらお願いします」


「ええ、分かったわ」 


 いくらご令嬢でも使用人に座薬を入れてもらうわけがない。本来の桃尻エリカならクソワガママだからメイドに入れてもらったのかしら? 


「ねぇ、メールとか来てなかった?」


「メールですか? ……あっ、そういえばご友人の愛理様から一通来ていました!」


「あらま、なんて?」


 私からはまだ返していないのに。嬉しいことをしてくれる。


「読み上げますね。『桃尻さんへ。こんにちは。体調は大丈夫ですか? 風邪うつしちゃって本当にごめんなさい。課題や授業がたくさん進んだのもあり、桃尻さんがよければ、放課後お見舞いに行こうと思っています。あまり無理をしないでくださいね』と来ていますが、お返事はどうなさいますか?」


「今すぐ来て!! 裸で待ってる!! ――って送ってちょうだい!」


「かしこまりました。裸のことは抜かして送りますね」


 なんてこった、愛理が我が家にやって来る。そうとなればもう大変。高熱がなんだ。手足をもがれたわけではないのだから、気力を絞れば動く動く。


「若林、今すぐ濡れタオルと香水を持ってきて」


 今の私はお風呂に入っていない脂まみれで不潔だ。好きな人に会うなら、それなりにしっかり支度しなきゃね。恋する乙女の嗜みよ。お湯に浸したタオルで全身の隅から深い溝まで拭いてから、最後に高級ブランドの香水をシャワー。


 恋ッ! そのすてきな好奇心が桃尻エリカを行動させた。



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