くぅ〜疲れました!これにて任務完了!
ここでもうひと踏ん張り。下げっぱなしパンティーを腰まで履かせることを忘れちゃならない。乱れることなく最後まで上げたら、本当の本当に終わり。
「はい、お疲れ様」
「どうも、ありがとうございます」
最大のミッションを終えた後は、コンビニで買ってきたペットボトルのお茶で一息。
気が利くけど、優雅にティータイムだなんてさすが余裕ある奴は違いますね。恵のことをジト目で見ると、テーブルで頬杖をついて目線を落としている。あーらま、珍しい。これは姿勢が疲れたと叫んでるわね。顔に出さないタイプなだけか。
お茶を飲み干すまで、名誉を称える意味を込めて心でグータッチをしておいた。
結局、愛理は私達が帰るまで目を覚ますことはなかった。冷蔵庫にはタッパーに詰めたおかゆ、枕元には手紙を置いて。汗まみれだった顔色も呼吸も安定。座薬で相当楽になったらしく、スヤスヤと微笑みながら寝る姿は眠り姫。キスしたら起きるんじゃない? 場を和ますつもりの冗談をかましたのにノリの悪い男は「帰ろうか」だけ。面白い言葉は期待はしてないけど、突っ込むこともせずにスルー? ボケたこっちが恥ずかしいやつじゃない。
私のせいだとでもいうのか、そこからは微妙な空気が流れた。挙げ句の果てにそれ以降盛り上がった会話はなく、日の暮れた夜道を仲良く歩いてそれぞれの家路についた。もうヤンデレルート回避がどうのとかは消え失せ、とにかく眠りたい。ひどい睡魔に襲われて怒涛の一日は終わった。
――次の日。
「昨日は心配かけてごめんなさい。もう風邪は治りました」
実に一日ぶり。バス停に舞い降りた天使はいつものように抱きしめたいほどの可愛さを纏っていた。
「愛理! 待っていたわっ!」
控えめながら膨らみのある胸にダイブしかけようとすれば、すぐに金持四兄弟の手が伸びて、外野へ押し込まれる。
「心配したよ……」
「本当に大丈夫ですかぁ? 愛理先輩のいない学校はすごくつまらなかったです〜!」
「ありがとう。昨日ね、桃尻さんと恵先輩がお見舞いに来てくれたら、具合がどんどんよくなったの。元気になったのもそのおかげかな」
んまっ、可愛いこと言っちゃって。
「お前、恵の手料理とか食った?」
「手料理だったら、桃尻さんがおかゆ作ってくれたよ。すっごく美味しかったの!」
「ふーん」
ぷっ、三咲ってば素直じゃないわね。どうでもよみたく話してるけど、真意は恵のとんでも料理を食べてないか非常に心配している。あんなもの食べさせるわけないじゃない。身を滅ぼしても阻止してみせたわよ。
「えっ、パイセンのおかゆ……ヴオェッ。体液入っていそうですぅ」
「は? 気色悪いこと言ってんじゃないわよチビ」
「うわあ〜ん、チビって言った〜!」
ヒロインを取り合うこの感じ、いつもの日常が戻ってきた――と思いきや、後ろでただ一人突っ立っていた恵が何を思ってかこう口にした。
「よかった。薬が効いたみたいだね」




