これぞ阿吽の呼吸!二人の熱き魂がヒロインを救う!?
「そうだね、そうしよう」
恵は間もあけずに共に好きな子の肛門に座薬を突っ込む案に快く同意してくれた――のだが、恵自身もお年頃真っ盛りな女子のパンティーをずり下ろすのかと苦い顔をしたので、私はさっとフル回転して考えることに。
こうして二人が話し合って決めた答えはこうだ。白いタオルで目隠しをした恵が座薬を入れる役。そして私はどこに肛門があるか、入れるタイミング等といった指示をする役となった。そうとなれば、早く済ませるのが吉。しばらく起きないであろう愛理を手際よくうつ伏せにしていく恵。
「下着は頼んだよ」
「はい……」
まさかこんなことになるなんて……。
私は真顔で下着をそっと足首まで下ろした。色は水色で花の刺繍が事細かに散りばめられ、実に大輪に咲く一輪の花といったような可憐で清楚なパンティー。それなのに喜びどころか興奮もない。言い出しっぺの自分が言うのもあれだが、とんでもなくカオスなシチュエーションにこんがらがっていた。
「よしっ、と!」
座薬を入れる大役を任された恵は気合十分。はちまきみたくタオルをキツく結んでから愛理の生尻を前にして、左右の指をワキワキと、どこか卑猥に動かす。
ぐちょメモで何を考えているか読めないキャラは断然無表情でおとなしい睦月じゃなく、こいつだった。
「さあ桃尻くん、指示を」
「はあ……えっと、じゃあまずは……左手を少し前に出してください。爪は立てないで、優しくそっと腕を伸ばしてください」
なんだこのオペレーター……と、思いながらも座薬が入りやすいよう肛門を広げるため慎重に指示を出す。
「うーん、ここかい? できたら僕の手を掴んで指定した位置に置いてくれると嬉しいよ」
チッ、注文の多い男だこと。イラッとしつつ、左手首を掴んで誘導させる。
「ここです。もう片方のお尻に触れているので変なことせず、左手は添えるだけにしてくたさい」
「これが、愛理くんの……暖かいね」
「ちょっと! 変なこと口走るのはわざとなの!?」
ついついカッとなって声を上げると、反応したかのように愛理の身体がピクリと動き、大慌てで口を噤む。
物音を立てずに愛理の顔を覗き込むと、しっかりと寝息を立てていた。ただの筋肉反射? それでもすっごく危なかった……。今の大声で目を覚まされると言い訳を通り過ぎて、最悪収集がつかない。感情的になって流されちゃアウト。しっかり決めなきゃ女が廃る。
座薬を入れること、愛理を起こさないこと。二つの大仕事をやり遂げるためには、恵と阿吽の呼吸を合わせるのが一番のミッションでもある。
「取り乱してごめんなさい。次は右手に座薬を渡しますので、よろしくお願いします」
「任せて」
このとき、恵は目隠しをしているので目を合わせることはできないが、心で通じる何かがあった。




