ヒロインの※に座薬をぶち込もう!
あけましてございます。
今年もよろしくお願いします。
初体験もまだのヒロインに座薬をぶちこむなんてそんな、ねぇ……? 私は全然嫌じゃないけど、同姓でも肛門を広げて見せるのはひどく抵抗があるだろう。
「ねぇ変なこと聞くけど、もちろん自分で入れるわよね?」
オホホホ〜と引きつりながら聞いたのだが、愛理は答えない。知らないうちに気を失っていたのだ。パジャマが張り付くほどの大量の汗をかき、心臓が踏みつけられている、見ているこちらも苦しくなりそうな寝息をしている。素人でもこれはすぐに座薬を入れた方がいいと判断できた。
「ど、どどどどどっ! どおしよう! えっと、とりあえず薬を開けて……」
封を切り、ロケット型の座薬を親指と人差し指で持ち直す。当たり前のことだが、これは口からではない。下の口に入れなければならない。となると、パジャマと下着を脱がしてお尻を出さないと事が始まらないのである。
このまま愛理の肛門をお目にしていいの? どちらかというと見たいのが本音。でもこんなあっさりとヒロインの肛門を見ていいものなの? 本人の合意なくやるのは犯罪に触れない?
散々愛理をネタにエロい妄想をしてきた。それなのに、いざエロいシチュエーションに入ると、どううしたものか。色々なことが渦巻き踏ん切りがつかない。金持兄弟をチェリーブラザーズと見下していた自分が嘆かわしい。こうしてみると、私だって十分に童貞気質のチキンだ。もうヤンデレルート回避どうこうではない。愛理の命がかかっている。
「うわああぁーん、恵しぇんぱーい!!」
とうとう恥じらいもなく恵の名前を呼んでは大泣き。彼がすぐに飛んでこないはずがない。「助けて、アンパンマン」みたく呼べばすぐに助けに来る紳士且つヒーローみたいな性格をしている。ほら、もうやって来た。
「どうしたんだい?」
「じ、実は――」
私はヒックヒックと幼稚園児みたくすすり泣きながら、座薬のことを話す。と、恵は「ふむ」とだけ残してキッチンへ行ったかと思えば透明な手袋を着けて戻ってきた。
「僕が座薬を入れよう」
「ちょっと待て! なんでキリッとした顔つきで言えるんですかそんなこと!」
「座薬を入れるのは慣れているんだ。雅人が大の座薬嫌いでね。でも僕に入れられるのはまだ痛くないからってよくしていたのさ」
あんのクソショタ、小さい頃から余計なことしやがって……っ!
「本当に大丈夫ですか? 相手は子どもじゃないんですよ。年頃の女の子です。いくら知り合いでもお尻の穴を見られるのは、思春期女子代表としてどうなのかなって思います!」
「それじゃあ、桃尻くんが座薬を入れるかい? 僕は服を彼女の脱がす役をするよ」
「え、あ……そ、れは……」
「嫌? だったら君は、僕にどう言ってほしかったんだい? どちらにせよ、彼女のアナルに座薬を入れなければならない。この事実から目を背くのはできないよ」
いつもは垂れ気味の目尻をちょっと上げ、責めるまでにはいかない強めのトーンで言った。
その通り、ここで決めなければいけないのに、擦り寄ってからなんの提案も持ちかけないどころか、出された意見には一丁前に口出しばっかり。なによこれ、童貞以下じゃない。そもそも毎回この繰り返し。核心をつかれて凹んでからの謝罪。……私ったら、まるで成長していない。
金持恵――ヤンデレのサイコパスで、ぐちょメモの厄介野郎だと遠ざけていたけど、それはもしかしたら間違いなのかもしれない。雅人と同じ、愛理を大切に思う気持ちは一緒だ。
「恵先輩」
これから出す提案が最善なのかは不明だったが、
「ここは間をとって、一緒に座薬を入れましょう」
荒れることなく両者が納得するのはこれしかない――。




