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悪役令嬢になったんで推し事としてヒロインを溺愛します。  作者: 273
ルート1 憧れのあの子とお近づきになろう!
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ああ、恋は盲目!計算は女のアクセサリー!

 スクラム円陣のわずかな後、五人で誓ったことがふたつあった。


 ひとつは、愛理の前で言い争うことはあっても絶対に険悪な雰囲気を作らないこと。そしてもうひとつは、愛理本人の気持ちを優先させること。あの人とは一緒にいないで、自分と一緒にいて等の束縛は絶対にNG。


 とまあ、どちらも当たり前の決め事に聞こえるかもしれないけど、推しがいると暴走しがちだと判明した私の性格にとってストッパーにもなり、わずかだけど有難みを感じる。しかしこのルールを決めたのはヤンデレルートに繋がる恵。束縛NGとかあんたがゲームで一番束縛&監禁してたやないかーいって引っぱ叩きたくなった。


 そして時は放課後。私は今、またまた最高の絶好チャンスに立たされている。三咲は午後の授業もサボって未だ教室に戻らず。睦月も委員会の話し合い予定あり。恵もその委員会に参加して、雅人は女子から呼び出し。告白なんだろうけど、逆にカツアゲだったら超絶面白いからそうなってほしい。これらを簡単にまとめると、愛理と私は一緒に帰ることができる一大イベントのチケットを手に入れたのも同じである。となれば、早いとこ愛理に接触接触っと。


 クラスメイトたちが部活に行ったり、自習したり、帰りに寄り道しよう等と各々の行動をとって賑やかしい中、自分の席で帰りの支度をする愛理へそろりそろり。


「松風さん、今からお帰りですの?」


「へっ? あ! も、桃尻さん……えっと、そうなんです……」


 私の顔を見るなりボッと噴火したように赤面する愛理。お昼休みの告白から会話をしていないので気まずい時間が流れそうになるが、ここで折れるにはまだ早い。


「お昼の件、ごめんなさいね。いきなりあんなことされたら誰だって気まずいですもの」


「気まずいなんて、そんなこと全然思っていません! 私は、正直なところ雅人くんに三咲くん、睦月くんや恵先輩に好きだって言われたことが一番驚いてしまって……どうしたらいいのか分からなくって……」


「んまあ、そうでしたの! オホホ、男性から告白されると驚きますわよね~!」


 明るくふるまっているけど、すごいショックだ。愛理が意識しているのは金持兄弟の方だったことが判明。そりゃ告白が異性からなのが最大のポイントだけども、だけどもさ……っ、これじゃあ有利なのはあいつらってことじゃん……っ! 


 駅前でケーキを食べに行くルートにこぎつけようとしたけど、こうなりゃヤケクソよ。


「ねぇ松風さん。私のお部屋に来ませんこと? いろいろとご相談にのりますわよ」


「いいんですか?」


「もちろん。ピンクすぎてちょっと目がチカチカするかもしれませんけど」


「わあ、楽しみです!」


 はしゃぐ可愛い可愛い愛しの愛理。あなたの貞操は今日でなくなるかもしれない。知ってる? 女の子が男の部屋に行って、靴を脱いだ瞬間はパンツ脱いだと同じだと思えって名言。あれはね、私にも使えるのよ――。


 楽しそうに教科書をカバンにつめる彼女を見ては、口内で舌を意味深のようにペロリと一周させた。


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