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悪役令嬢になったんで推し事としてヒロインを溺愛します。  作者: 273
ルート1 憧れのあの子とお近づきになろう!
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恋愛フラグ死す。告白、スタンバイ!

「うっへ、このエビなんか味くどすぎ!」


「吐くなら今のうちだよ三咲……」


「あ~あっ! 僕は愛理先輩とお昼食べたかったのに、桃尻パイセンまでやってくるなんて聞いていませんよう」


 そして安定のめちゃくそウザい。とくに雅人。ゲームしていた頃は、なんとも思わなかったキャラでも実際に絡めば、このチビっ子とは究極的に合わないことが判明した。


 四対一の形で睨み合いながら、会話がない状態で昼食を黙々と口にしていく。屋上でお弁当という青春感が半端ない世界観に合わず、殺伐とした雰囲気が自然と出来上がったのを愛理は申し訳なさそうに言った。


「桃尻さん、雅人くん、それに皆もごめんなさい。私が事前にちゃんと話しておけばこんなことに……」


「え? 僕、愛理先輩と桃尻パイセンと食べれて楽しいですよ? ねっ、パイセン?」


「オホホ、はげどうですわ。前々から金持ご兄弟さんとも交流したいところでしたの。これから毎日ご一緒させていただきますわ」


「あはっ、よろしくで~す」


「夜露死苦、ですわ~」


 今すぐ連続で舌打ちをしたい衝動を抑えつけて、四人……主に行動力のある雅人と三咲にニコニコするフリをしながらメンチを切る。これには愛理も騙されて安心した様子で笑った。ヒロインを悲しませちゃプレイヤー失格。だからここは上手いこと渡るしかない。


「そういえば桃尻くん、睦月から聞いたよ。朝は大胆な行動に出たんだってね」


 ずっと一言も発さないで食事をとり続けていた長男の恵がここで唇を開いた。空気が平穏になった途端での発言。まるでタイミングを見計らったようにも聞こえる。紳士的な対応。だがしかし、恵は切り札の立ち位置に最も近い男。


「ええ、そうなんですの」


 よからぬことを思いついているかも。ここは余計なことは話さないよう、必要最低限の返事をお見舞い。でも、これで会話が終了するわけがない。というよりも、彼が許さなかった。


「今朝といい、朝食といい、今日はなんだか愛理くんに対して様子がすごくおかしいね。どういった意図で行動したのか教えてくれるかい?」


 背筋を伸ばして美しい姿勢をして、そう問いかける。棘は一切なく、下から物を優しく包むような物言いでも、それは表向き。裏を返せば「何企んでいるか吐け」と翻訳された文章が脳内に直接届き、碇ゲンドウがしているような席に座り、メガネを光らせ、顔の前で手を組むポーズの恵が自然と浮かぶ。


 何を言い出すかと思えば……。痛いとこをついたと手応え感じているんでしょうけど――いいや、もうここでやってやる。


 チビっ子雅人、ツンデレ三咲、ミステリアス睦月、ヤンデレ恵、あんたたちに繋がる恋愛フラグはここで今、全て死んでもらう。



「そうね。簡単に言えば、私は松風愛理さんのことが好きなのよ。前は同姓として憧れの好きでしたけど、今こうしてお近づきになると性的な意味でも好きになりましたの」


 他愛ない会話の途中からTVの話題に変えるかのように、サラリと言いのけた。恵以外の三人と愛理までもが、愛の告白を聞いたのを言うまでもなく。


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