第一話・聖騎士さんはじめまして。
ねぇ?
私ね。この子を「 」って名付けたいの
どう思う?
いいじゃないか! 決まりだ! そうしよう!
ふふっやめて起きちゃうわ
あ…あぁすまんすまん
――――――――――――
「またこの夢か…」
あの夢を見ると決まって名付けられた名前が聞き取れない。今回も例に漏れず聞き取れなかった。
あの二人は誰なんだろうか…あの子は…いったい…
「はぁ…」
「嫌な目覚めだ…」
おぉやっと起きた?……少年くん。
トイレに行こうと目を覚まし、ベッドから降りたその瞬間声をかけられた。
「ん……?」
「お前……誰だよ」
フフッ
「何が可笑しい」
明らかに「笑い」ではなく「嗤い」であったことに腹を立て睨み付ける。
ごめんごめん君のその瞳。嫌いじゃないなぁって思って。
「何者だよ。お前」
僕? 僕は…そうだな、さしずめ…君を殺しに来た悪魔とでも言っておこうかな。
「悪魔? 何馬鹿なこと言ってんだよ」
「この世に悪魔なんか」
ピシュン
「痛てぇぇぇぇぇぇぇ! ! ! ! !」
フフッすごいなぁ♪今の普通の人間なら片腕吹っ飛んでたよ。あっでも君のも。もう千切れそうだねぇ。
流石は【悪魔殺し】の異名を持つだけはあるみたいだねぇ
「あ…悪魔殺し? なんだよそりゃ…」
ほらやっぱりだ! さっきまで千切れそうだった腕の蘇生がもう始まってる!
「えっ…」
「マジかよ…どうしてだ? 」
フフフッどうしてってさっきから言ってるだろ?君が【悪魔殺し】だからだよ。
「だから! なんなんだよ! それは!」
バサッバサッ
少年。君の名は。雪篠直哉で間違い。ないか?
鎧を身に付けた女騎士が凡そ人間よりも大きいであろう鳥に乗り俺に問うた。
「今度は誰だよ!」
私の質問に答えろ
「ぐっ…」
「そうだよ…俺の名前は雪篠直哉だ! それがどうしたんだよ!」
そうか。ならば。
聖雨
グハッッッ
突如光が雨のように降り注ぐ。
「おいっ! 」
「ここ俺ん家だぞ! 」
それがどうした?
「どうしたじゃねぇよ! 俺ん家が壊れたらどうすんだ! 」
お前…は…
私か?私は【悪魔撲滅連合】所属の聖騎士だ。
悪魔撲滅連合?フッ最近俺たち悪魔を嗅ぎ回ってるって噂の犬っころ共か
(口調が変わった!?)
名前は?名前を教えろよ!帰って仲間達に知らせねぇと行けねぇからよぉ早く教えろぉぉぉぉ
あぁ勿論帰るのはお前らを殺してからだぜ
フヒャハハハ
わん…
あ?聞こえねぇよ
言わん!!!
何?
私は私が認めた強いやつにしか名を明かさないようしているのだ!!!
へぇ面白ぇじゃねぇか…いいぜ。
後悔すんなよ…巨乳の姉ちゃん!!
(巨乳!?いやまぁ確かに大きいは大きいが今それ言う!?)
(びっくりしちゃった思わずびっくりしちゃったよ)
痴れ者がァァァァ
「あのさぁここ俺ん家なんだけど?」
「なんか知んねぇけどやるんだろ? だったら他所でやってくれよ」
――――――――――――
「はぁついてきちまった」
「んで? あんたは何なの?」
何とは?
「だから。あんたは俺の味方なのかどうかを聞いてんだよ」。
味方だ。だから戦う。君の為に。
(さっきから思ってたんだがこの女騎士。句点めっちゃ使うな)
おいおいおい何俺を忘れて楽しく会話なんかしちゃってんの?
忘れてなんかいない。
そりゃよかったぜ。
死ねェェェェ腐れ女ァァァァァ
(ん? 異世界? …………異世界!?)
死ぬのは貴様だァァァァァァァ
聖光の乱檄
グハァァァァァァァ
「なんだこれ…」
「これが本当にこの世の戦いなのかよ…」
ブルッ
「ん?」
「あっトイレ行くの忘れてた!」
あの悪魔とやらに声をかけられたのが、トイレに行く為にベッドから降りようとした時だったのを完全に忘れていた。
「まぁしょうがないよなぁこんな状況じゃ」
「尿意なんてもん忘れちまうよ」
「ちょっと行ってこよう」
「ふぅ…」
「なっ…」
公園のトイレから帰って来た俺の視界に映ったのは、にわかには信じがたい光景だった。
「おいっ! おいってっ! なんであんたが負けてんだよ…」
「何でっ!どうしてっ! あんたがっ!血だらけで倒れてんだよ! 」
フヒャハハハ何で?どうして?そりゃそいつが弱ぇからだろうなぁ
フヒャハハハ
フヒャハハハ
…わ…たしはまだ…戦える…
「やめとけ」
なん…だと…?
「もう、やめとけ」
「今のあんたじゃ血が無駄に流れるだけだ」。
「別に馬鹿にして言ってる訳じゃねぇからな?」
な…なにを…する気だ?
「なにをする? なにをするってってそりゃ。こいつを殺すに決まってんだろ」
殺…す?
お前に出来るのか…!?
「あぁ。出来る」。
「俺の名は雪篠理人」
「【悪魔殺し】だからな…」
はじめまして。よろしくお願い致します。この作品はアルファポリス様にも掲載させていただいております。ご愛読していただけたら幸いです。