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花の島の秘密  作者: ありま氷炎
第七章 解き明かされる過去
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気絶していたノゾムとヒトミ

 西守タダキから聞き出した大学の生物研究室、

 扉を開けると床に倒れ伏すノゾムの姿とベッドに横たわるヒトミの姿が見えた。


「青井さん?!」

「ノゾム?!」


 予想外の状況にマサシとアキオは驚きながらも床に倒れるノゾムを抱き起こした。


「ノゾム!」


 アキオの呼び掛けにノゾムは答えることがなかった。しかし外傷はなく規則的な寝息が聞こえた。ノゾムの側には遺伝子注入システムが落ちていた。


「野中さん、野中さん!」


 マサシはベッドで横たわるヒトミに声をかけたがこちらも反応することはなかった。ベッドの横の机の上に注射器が見えた。


「眠らされているだけかもしれないですね」


 規則的な息遣い、正常な脈拍からマサシはそう判断した。


「……島に連れて帰ろう。ここにいても警察に捕まるだけだ」


 アキオはノゾムを抱き上げるとそう言った。



「だめです。入れません」


 守衛はタカノリとヨウスケの車の前に立ちふさがり、二人を窓越しに睨みつけた。

 小雨が降る中、銀色のバンが門を抜けようとした。守衛の山下は慌てて車を停めた。

 許可のないもの、不審なものを中に入れるわけにいかなかった。

 守衛はタカノリのぎょろりとした目に不信感を抱いていた。


「守衛さん!」


 ふいに大学構内から走ってくる車から声が掛けられた。

 それは先ほど通した車だった。

 マサシは車から降りると守衛のところへ駆け寄った。


「この人達は私たちの連れです。大学に来るように伝えておいたのです。北守さん、東守さん、用事は済みました。ラボに戻りましょう」


 マサシは守衛にやわらかな笑顔を見せた後、バンに乗るヨウスケとタカノリに視線を向けた。


「そうなんですね。わかりました。お気をつけて」


 守衛は素直に守衛室に戻り、マサシが二人に声をかける。


「さ、ヨウスケくん、タカノリさん、戻りましょう。戻ってから説明しますね」


 マサシが車に戻り二人は訝しげに顔を見合わせる。しかし考えてもしょうがないとタカノリはハンドルを握ると車をUターンさせた。そしてアキオの車が走り出すのを確認し、その後を追った。




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