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花の島の秘密  作者: ありま氷炎
第六章 作り出される運命
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真相を知る人々

 カランはマサシ達親子の戦い、ヨウスケ達をただ見ていた。久々に多くの人間を見た気がした。アナンの側に立つヨウスケを見て、アナンの表情が安らぐのがわかった。


 あの地球人には心を許しているんだ。

 カランはそれがなんだかほっとしたような気分になった。 

 1000年以上も1人でいた。ロボットの自分がそんな感情を持つのは不思議だったが、カムルの子孫がハナムラに魅了され、殺されるのは見たくなかった。


 あの小さいハナムラもアナンを殺す気がないようだ。


 マサシと闘うヒトシを見てカランはそう考えた。


 そうであれば、僕のすることはただ一つ。


 カランは宙に浮かんでいるヒトシと対峙するマサシに向けて、手の平を向けた。


「父さん!危ない!」


 ヒトシの声は間に合わなかった。光はマサシを直撃し、その体は力を失い地面に叩きつけられる。


「この野郎!」


 ヒトシはカランを睨みつけると力を放った。


「カラン!」


 アナンは無意識にカランの元へ走っていた。

 自分がなぜそうしているのかわからなかった。

 ただカランを助けたかった。


「町田!」

「町田先生!」


 ヒトシは力を止めようとしたが間に合わず、光がアナンとカランを襲った。

 爆発音とともに、眩い光がアナン達から放たれた。爆風が吹き荒れ、光と共に視界を奪う。光と風は地下を抜け、穴の空いた天井から上空に抜けた。


 数秒後、光が収まり、そこに現れたのはカランを抱きしめるアナンの姿だった。その髪は銀色の輝き、光の球が二人を守るように作られていた。


「町田先生?」

「町田……?」


 ヒトシは地面に降り立つと光の球に近づいた。ヨウスケも恐る恐るその後に近づく。

 パンっと弾ける音がして光の球が消え、アナンの髪も元に黒髪に戻った。


「私……?」


 アナンはカランを胸に抱きながらそうつぶやくと気を失った。


「町田先生!」

「町田!」


 ヒトシがアナンに駆け寄ろうとした瞬間、またいつもの吐き気がこみ上げてきた。


「ごほっつ」

「ヒトシ!」


 ヨウスケは血を吐き前のめりに倒れようとするヒトシを抱きとめた。腕の中のヒトシは唇を血で真っ赤に染めて苦しそうに目を閉じている。


「……悪い。俺より町田先生を……」


 ヒトシはそう言い、ヨウスケの腕の中で気を失った。



「大丈夫です。アナンは気を失っているだけです。多分力を初めて使って疲れたんでしょう」


 ベッドの上にアナンを寝かせてカランはそう説明する。

 もと宇宙船だったものを改造して、カランは家のように作り上げていた。

 その周りには花畑が広がっていた。

 ベッドは数台あり、そこにアナン、ヒトシ、マサシを寝かせていた。


「マサシも大丈夫だな。あれだけの傷が治っている。おかしなもんだ」


 マサシの体を確認した中山が不思議そうにそう言った。中山は地下から発せられた光を追ってきたのか、すぐにヨウスケたちと合流した。島に戻ろうとするヨウスケたちに地下の施設を使うように提案したのはカランだった。戸惑ったヨウスケだったが、中山もその提案に賛成したので地下で手当てをすることにした。


「ヒトシはどうですか?」

「ヒトシも外傷はないし、脈もしっかりしてる。多分力を使って体に負担が掛かったんだろう」


 中山は心配そうなヨウスケを見つめかえしながらそう答えた。


「さて、カランさんとやら、俺はあんたにいくつか質問がある。答えてもらおうか」


 中山の言葉にアナンの側にいたカランが顔を上げた。

 ヨウスケを始め、脇腹の手当てをしてもらったヒトミ、その側の壁際に立っていたアキオがカランを見つめる。


「そうだね。君たちになら話してもいいかもしれない」


 カランは人間のように頷き、アナンに話したことを同じことを語り始めた。


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