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神さまの住まう部屋  作者: コウサテン
8/10

買い物する2人

「あれ、健吾くん?」


「ん?ああ、雛形。雛形も買い物?」


ショッピングモール南谷

健吾とゆきの住む街で食料品、日用品、なんでも揃ううえにカフェやスポーツジムが入居しているため、時間帯問わず常に賑わっている


そこで食材を選んでいる健吾にゆきが話しかけた

2人は同じ大学の同じ学部、更には同じゼミという、大学入学時からの友人なのである


「うん、急な来客で食料品足りなくなっちゃってね〜」


「俺も似たようなもんだよ、本当なら週末まで買い物になんて来なくてよかったのに…」


ウキウキした顔のゆきと、逆に少し憂鬱そうな顔をする健吾


「あ、そっか。健吾くん人混み苦手なんだっけ?」


ゆきの言う通り、健吾は人の多く集まるところや騒がしい場所が苦手なのである

大学でも学祭にはちょっと顔を出す程度ですぐにバイトに行ってしまう


「私は賑やかなところ好きだけどなぁ。」


逆にゆきは賑やかな場所が好きで、大学では常に大人数グループの中心的存在だ

さらには幼少時からお祭りや花火大会などには積極的に参加していた


「すげぇな、俺は一刻も早く抜け出したい。」


「あははっ、大袈裟だよー。」


バシバシッ

ゆきが健吾の肩甲骨辺りを軽く叩く

健吾はやれやれという顔をして、2人ならんで買い物を続ける


「健吾くん、何買うの?」


ゆきが健吾の持つ買い物カゴを覗き込む

中には玉ねぎ、人参、ジャガイモが入っている


「ああ、肉じゃがでも作ろうかと思って。」


「えっ!健吾くんそんな料理作れるの⁉︎」


健吾の口から思いもよらないメニューが出てきてゆきは驚愕する


「あれ、言ってなかったか?俺の両親共働きで子供の頃から自分で料理作ってたんだよ。」


「ふえ〜…ごめん、正直意外だったよ。」


「まあ、よく言われる。」


そうして何気ない会話を続けながら、2人は買い物を終えてそれぞれの帰路へ向かう


「それじゃ、また明日の授業でね!」


「おー、帰り道気をつけろよー」


「大丈夫だよ、家すぐそこだし。あっ、そうだ健吾くん!」


一旦は自分の家の方に向かおうとしたゆきだが、すぐに健吾の元に引き返してきた


「なんだよ?」


「今度、健吾くんの作ったご飯、食べてみたいなぁ〜」


ゆきがいたずらっぽく笑いながら健吾言った


「!!?」


健吾は思わず返事に詰まった


「ねぇ、いいでしょ?決まり!」


ゆきが更に念押しする


「…わかったよ。そっ、そのかわり雛形も何か作ってくれよ?」


健吾は焦りながらも精一杯応戦する


「えっ⁉︎…あー…わ、わかった…」


結果2人とも顔を赤らめて若干気まずくなる

実はこの2人、お互い好き合っているがお互い気がついていないのである

もげて仕舞えばいいのに…


……


「とっ、とりあえず、帰るわ!ツレが待ってるからさ!」


健吾が慌てて凍り付いていた場の空気を動かした


「へっ?あっ、そ、そうだね!」


「それじゃ、また明日な!」


「うん、また明日ね!」


2人とも顔を赤らめたままそれぞれの家路につく

その様子は周りの人に見られており、微笑ましく見守る人もいればうらやまけしからんと言わんばかりの視線を送る人もいた


もげて仕舞えばいいのに……


………


「…言っちゃった…どうしよう…」


ゆきは1人になった帰り道で、普段めったに言わない独り言を呟くのであった

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