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神さまの住まう部屋  作者: コウサテン
6/10

空から聞こえる声

「茜、律、聞こえるか?」


光の見える方向から声が聞こえてきた


「手荒な送り方をしてすまんな。しかし、この修行もお前たちのためじゃ。しっかりと人間のことや世の(ことわり)を学んできてほしい。」


声の主は諭すように茜と律に語りかける

一方で茜はというと


「ジジイめぇ…天界に戻ったら覚えてろよ〜!」


おおよそ神とは思えない言葉遣いで地団駄を踏んでいた

さらに、律はというと


「クソジジイ…戻ったらギャフンと言わせてやる!」


こちらも目上の相手を敬うような態度は全くとっていなかった


「ホッホッホッ、まあ今はその態度、大目に見てやろう。せいぜい精進したまえよ〜」


声が聞こえなくなるとともに、眩く光っていた空はいつもの青空に戻っていった


「今のは…一体誰だ…?それに律って?」


健吾が目をしぱしぱさせながら茜に尋ねる


「…今のは天界の長じゃ、我と律を地上に蹴落とした張本人じゃな。律は我と同期の神仲間じゃよ、案外近くに居るんじゃないかの?」


茜は軽くため息をついて答えた


「神さまにも同期とかいるんだ…」


健吾はこの1時間の間に起こったことに完全に置いてきぼりになっていた


「おぬしからしたらどたばた喜劇のように見えるかもしれぬが、信じてくれたかの?」


茜は健吾に向き合って尋ねる

健吾は少し考え込んでから答える


「…頭の中整理できてないけど、とりあえず今起きていることが普通じゃないのはわかる。」


そう言うと健吾は立ち上がり、茜に言う


「とりあえず、腹減った。メシにするけど生憎1人分しかないんだ。」


「んなっ!!」


「…何が食べたい?」


「〜〜っ!!!」


健吾の質問に茜は目をキラキラさせて歓喜の声をあげた


「勘違いするなよ。まだあなたが神様だって信じたわけじゃない。」


「むぅ〜頭の固いやつじゃのう…」


茜は健吾の態度にコロコロと表情を変える


(こいつ面白いな…)


健吾は声に出さずに面白がった


「んで?何が食べたいの?」


「おぬしに任せるのじゃ!辛過ぎなければ好き嫌いはないのじゃ!」


「はいはい。それじゃ、買い物行ってくるよ。その格好で出歩かれたら目立つから留守番しててくれよ。」


「わかった!任されよ!」


茜の様子にクスッと笑う健吾


「じゃ、行ってきます。」


「行ってらっしゃ〜い!」


『パタン』


玄関のドアの閉まる音が心なしか軽やかに聞こえる


「…誰かに行ってきますなんて言ったの、久しぶりだな。」


そう呟いて、健吾は近所のスーパーへ向かって行った

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