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アパートのワンルームにて〜1〜
「ただいま〜」
…なんて言っても誰もいないのに、実家にいた頃からの癖でついつい言ってしまうこの一言。
実家を出てから3年が過ぎて、一人暮らしもさまになった。
青年の名前は倉橋健吾、大学3年生。
「まあ、返事が返ってきたら怖いわな」
彼は独り言が多いようだ。
玄関の鍵をかけ、靴を脱ぎ、キッチンの前を通り、誰もいないはずの部屋に入る。
「おっ、おかえりなさい」
!?
誰もいないはずの部屋で、なぜか巫女服の女性がソファに座ってテレビを見ながらくつろいでいた
一瞬、間が空いて、健吾が正気に戻る
「えっと…警察に…」
スマホを取り出し、コールしようとする健吾。
その動作を女性が制する。
「まあまて、健吾よ。我は神様なのじゃ!」
女性は正気を疑うようなことを言う。
「…やっぱり警察かな?」
当然だ。そんなことを言われてすぐに信じる人は逆に頭がおかしいと思う。
「だから待てと言うに!話を聞けい!!」
こうして、健吾と神さまのドタバタ生活が始まっていくのであった。