第一話 暗闇の決闘
ここは明光市。FLAME国の第一都市の隣接市だ。
とても広大な面積を誇るFLAME国はひとつの国に首都が二つある一国首都制である。
月が闇夜に煌々と照っている。街頭はちらほらとあるがあまり明るくはない。真っ暗な深夜にもかかわらず男はある場所を目指していた。
男はある場所を目指してただひたすら歩いていた。静かな夜に足音だけが響く。
そこについたのか男は立ち止まった。
近くの看板には"ミケネコ連合軍重工建造広報省"
と、書いてあった。男は一旦は立ち止まったかと思いきやまた歩き始める。
市役所が見えてきた。ミケネコ連合が建築した明光市役所だ。
男は市役所前にあるミケネコ連合のマーク――右上オレンジ、右下緑、左下青、左上紫――の前で止まった。
なにかをとりだして確認するとマークの隣を進み入り口へと行った。
男は入り口に行きまわりを見ると、受付に入っていき、そこにあるドアの前へ行った。
ドアをあけ進む。進んだ先にはまたドアが。セキュリティ対策をとってあるようだ。
ドアに暗証番号をうち感圧板を出現させる。男はそれを踏んでドアを開けた。
そこは大広間のようでセミナーでもするのかミケネコ連合のマークの前に台があった。簡易な机があるだけ。人が座れるようなところはなくたったまま聞かないといけないのか。
その台にたち少し上を向くと二階からみられるようにガラス張りの小部屋がある。
男は台からみて右側の階段を上る。二階は通路となっており通路の右側には部屋。階段が。左側には先ほどの小部屋があった。
男はさらに上へとあがる。三階にあがり後ろを向く。奥の壁には左右どちらもドアがついていた。
男は迷わず右側へ行った。
* * * * * *
男は聖地、アバーにいた。
「なかなか儲かるね。アババー教信仰者もどんどん増えてる。デデコミズは元気にしてるかな。まあ今ならお金たくさんあるから育てれるけど...」
男はニヤニヤしながら言った。
アババー教はカルト宗教といわれてるが信仰者が多い。なぜ多いのかは不明だがとても強力な宗教だった。
「あの酒場も入手、火煉ちゃんも入ってくれた。嬉しいなぁ。」
たくさんのお金を手にして目を輝かせていたその時、背後から足音がきこえた。
鼓動が早くなる。耳元に心臓があるんじゃないかと思うぐらいに鼓動音が大きく感じた。
だんだん足音が近づいてくる。男は何も武器がなかった。抵抗なんてできない。
「おい、トンケ..俺の酒場を....創業650年の酒場をぉ、返せっ!!!!お前らのせいでひどい目にあった青年もいるんだ!お前らは、詐欺師とかわらない!アバ書房とかいうものを書かされ、給料も貰えず、お前らの宗教はにせもんだ!!」
背後から来た男は男をトンケと言った。男の目は憎悪に満ちていた。
「わぁつ。本物だよぉ~~。偽者なんていわないでぇ~~」
トンケは呑気に声を上げる。
「俺は森村進。お前のせいで代々受け継いできた酒場を消されたんだ。だから次は俺が消す番だ。トンケ。」
森村進と名乗る男は右手にナイフをもっていた。
すばやい動きでトンケに接近しナイフをトンケの腹部に刺す。そして空いた左手でトンケを押し倒した。トンケは腹部の痛みに耐えながらもすぐに立ち上がり戦闘態勢に入る。
「ぬっうぅ~~。痛いよぉ~。でもぉ~、、、本気を出させてもらうよ...?」
人が変わったかのように森村に近づきナイフをもっている右手首をひねりあげる。
森村は堪らずナイフを落とす。右足でトンケを蹴る。トンケはすぐに引き、回避する。
トンケはナイフを足で蹴り飛ばす。そしてほぼ同時に右回し蹴りを森村にくらわせた。
「ぎゃっ」と短い悲鳴が起きる。森村は負け時と蹴りをトンケの腹部に入れる。
トンケも堪らず引く。森村が前のめりになり、トンケ向けて突進してくる。
トンケはすぐさまナイフを拾い森村にナイフを向けてちらつかせる。
森村は突進しながらスタンガンを取り出し接近する。トンケは森村の首下めがけナイフを振り下ろすが森村のほうがワンテンポ早くトンケはスタンガンを受け、ナイフを落とし、倒れた。
「はぁ、はぁ、なかなか強いな、トンケ。はぁ、はぁ、これで終わりだ。」
森村はナイフを拾うとトンケの心臓目掛け、思いっきりつき立てた。紅の鮮やかな血しぶきが飛ぶ。
森村はそのナイフを引き抜いた。挿し口から血が噴水のごとく噴き上げた。
トンケの顔がだんだん青ざめていく。かすかに脈打つ心臓が、血をより噴かした。辺り一帯は血だらけになった。
「じゃあな、トンケ。アババー教撲滅委員会の勝ちだ。」
森村はそういって闇に消えていった。