第三話 能力
オズベルドが入ってきた。
オズベルドの様子は明らかにおかしくその様子だけで空気が張り詰めたようなことすら感じ取れた。
「初日から喧嘩するなぁ!!!!!」
教壇の机を両手で思いっきり叩く。とてつもない怒声だ。もしサシで怒鳴られたとしたらたまらない。
「センセー。この焔とか言う奴が喧嘩振ってきたんですよー。どう思いますか?振ってきたほうが悪いですよね?」
創斗に付いて回ってるものたちが賛同の声をあげる。
「先生、僕がなんとかします。」
月夜が言った。
「君にできるのか?君と焔が喧嘩したと聞いている。君にはできないだろう。」
そういって月夜の近くに歩み寄る。
「あ、まあ、焔とは仲良くしようなってことで少々話したが...喧嘩はしてませんよ先生。誤解しないで下さい。」
月夜は早口でそう言った。が、
「君はそうやって自分の責任から逃げる男なのか!!!」
オズベルドが月夜の机を力の限り叩く。机が倒れる。月夜の筆箱が落ちた。
その様子を見て、月夜は「ほう...」と一言言ったあとオズベルドを見た。
その途端、オズベルドの顔がみるみる硬直していく。月夜が笑い出す。
「先生、正論でも怒鳴りつけてるだけじゃ意味がないですよ。喧嘩したのは僕じゃないです。濡れ衣は御免こうむりたい。」
月夜が声のトーンを低くしていった。
「月夜....何をした....」
出雲は誰にともなく呟いた。
「これから始まる...それの余興に過ぎない....そうだろ焔?」
月夜は時空の方を向いて口角を上げていった。時空は何も答えなかった。