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火炎幻術 焔時空  作者: 天道 空斗
叛逆の始まり
10/22

第六話 絶望と希望

 ―ここは、どこ?

 夢香はまだ意識が朦朧としていた。何とか意識を取り戻すと見覚えの無い車の中にいた。

身動きがとれない。物音に気づいたのか助手席にいた男が振り返り夢香を見た。


「お目覚めかい?暴れるなよ。」

男の顔ははっきりとは認識できなかったがニヤリと笑ったように見えた。


「うっ・・・なんで・・」

夢香は苦しみながら口にした。


「そうだな。なんでお前を攫ったか?お前は火煉と関係あると聞いてな」

男は陰湿な笑みを浮かべ言った。

―火煉って誰?

 夢香には心当たりが無かった。助手席の男が夢香に何かを注射した。

するとみるみるうちに意識が回復してきた。そしてまともに話せる程度に意識が回復した。


「火煉って誰なの?!あなたたちは誰!私をここから出して!」

大声をだした。すると助手席の男が銃口を夢香の額に突きつけた。


「うるさい。俺らはとある宗教―アババー教の過激派信仰者だ。火煉さんにお前を連れ渡す。神の教えでな。若い女を狙えと。」

夢香は黙り込んだ。


「分かったか?変な抵抗をしたらどうなるか。」

助手席の男はそういったあと、夢香の口に粘着テープを貼り付けた。体も縄で縛られていて身動きがとれない。夢香は縄を解こうと足掻くが何もならなかった。夢香は抵抗すると起こることを考えると、恐怖で背筋が凍った。


* * * * * *


 出雲は考えていた。夢香ちゃんはこのままだとどうなってしまうか。今助けなければ一生後悔するかもしれない―と。


「出雲。今足掻いても何にもならない。今は夢香の居場所をしることが最優先だ」

時空が心を見透かしたかのように口にした。


「くそ...!!夢香ちゃんの....居場所....」

出雲は携帯端末をとりだし無料メッセージアプリのクラスグループメッセージに<夢香が攫われた>と送信した。すぐに既読がつく。

そのグループは一気に更新率が上がった。

 <嘘だろ?>というものや<なんでわかった?>などといきなりすぎて戸惑っている様子であった。出雲は<夢香を追ったが駄目だった。連れ去った車はワゴン車だったはずだ>と送信する。

 出雲は学校に連絡を行おうとしたが時空がそれをとめた。


「警察に言っても捜査はしっかりとは行われない。逆に警察沙汰になれば犯人が何をするかわからない」

時空はそういうと出雲に<学校、警察には連絡するな。連絡したら夢香が何かされるかもしれない>と打たせた。

 それから二人は何も話さずその場を後にした。


* * * * * *


 かつこはミズに電話をかけるよう依頼を請け電話をかけてるがいつまで経っても応答しない。

しまいには着信拒否をしてきた。

 ―も~う、なんなのぉ~~!!!

 かつこの怒りは頂点に達していた。かつこが切れているとそこに風間から電話がかかってきた。


「もぉ~ぅしもぉ~し!!なにぃ~!?」

かつこは怒りを抑えながら言ったが風間に見透かされた。


<お怒りだな、かつこ。ミズの携帯端末をクラッキングさせてもらったがお前からの着信を無視している。パソコンを見とけ。いまからデータを送る。その指示に従って連絡をかけろ>


「わかったわぁ~ん!アタクシ携帯二つあるからガラケーからかけるわぁ~ん」


<それでもいいがボイスチェンジと口調を変えろよ。ばれれば終わりだ。パソコンからかけることをすすめる。こちらも会話の内容を聞かせてもらう>


「盗聴するのねぃ。わかったわ~ん!!」


<言い方は嫌いだがそういうことになる。健闘を祈る。>

そう言って風間は通話を切った。

 かつこは指示通りにミズに再度電話をかける。風間が何かしてくれたのだろう、ミケネコ連合の一員の名前表示になっている。

 3回のコールの後出る。

<どうした、ケント大将。君から電話がかかってくるとは初めてだな。なにかあったのか?>

面倒なやつの名義借りたわネイ...風間ったら。かつこはボイスチェンジ機器を作動させる。

機械系には強いほうのかつこだがやはり緊張する。一呼吸をおいてから応答する。


「ミズ。忠告がある。」

いきなり切り出す。するとカチカチとパソコンのキーボードをタイピングする音が聞こえる。

Enterキーを押した音が聞こえた後、ボイスチェンジが解除された素のかつこの声が聞こえてきた。

 ―嘘でしょ。

 ここにきて失態だ。相手もそれなりの知識を持っていた。完全に見下していた。


<あのときのオカマか。どうした?ボイスチェンジまでかけて>

そういったミズの顔は見えないがニヤけたように思えた。


 ―くそっ!!

風間は頭を抱えた。まさかボイスチェンジを打ち破ることができるとは思っていなかったからだ。大きな誤算だ。風間は落ち着きを取り戻し、急いでかつこの援護に入る。

 通話の電波をジャミングする。風間はボイスチェンジを使わず自分の声を変えて話し始めた。

 本業は声優だから声の変更も楽々だ。芸名は風道隼人。あの国民的アニメや海賊アニメの声、洋画の吹き替えなどしている声優界でもなかなか有名な方だ。


「こんにちは。皆様。ミズさん、忠告をしておきます。トンケ殺害の一件について包み隠さずすべてを私に話して下さい。連絡用のメルアドを伝えます―――@―――です。話さないのなら全面戦争です。私たちは強いのです。トンケはたくさんの人に信頼をおかれていたということを実感するでしょう」

 風間は自分でもなかなか良くやったと思う。台本も無く即座に出てきた言葉を並べただけだ。が、ミズもそう甘くは無かった。


<風道隼人さん。君はなぜこんなことを?>

まずい、ばれたか!

<私の携帯端末をクラッキングして盗撮、盗聴でもしているのだろう?しっている。君がクラッキングしたのはハリボテだ。>

続けていった。―やられた。風間はどう足掻いても無駄だと悟った。しかしそこにかつこが話し始めた。


「何言ってるのぉ~~ん!アタクシが隼人様だって?なわけないじゃな~いのぉ~~ん!!!ドぅー聞き間違えるのよん!」

かつこには風間の声が聞こえない。純粋に否定しているのだろう。


<残念だがこちらもやられたままは嫌いでね。もうすでにIPアドレスを取得済みだ。時期に発信源を特定する。アババー教信仰者ネットワークにもアクセスした。当然クラック済みだ。なんにしろ公にでたら私も君も犯罪者だ。パスワードもちゃんとクラックで手に入れたさ。>

なかなかミズも機械系には強かった。情報不足だ。かつこも風間もどうすることもできなかった。


<では、切らせていただく。発信元も特定した。詳しい住所も後で特定する。アババー教信仰者ネットワーク潰させていただく。>

 そういい残し通話は切れた。本当にやられた。つくづくミズを見誤ったと思う。逆転負けだ。


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