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第1章 1話

 むかしむかし、あるところに父、母、息子、と3人で暮らしている百姓の家族がありました。


 息子の雄二は小さい頃から元気で無邪気に育ちました。悪戯好きでガキ大将でしたが

 周りの子供達からは信頼が厚く、その村ではひときわ目立った存在でした。


 父の悟流さとるは体が大きく力持ちで雄二の憧れでした。

 

 母の京子は父の悟流と仲良く、村ではいい夫婦として見られていました。




  ある日、とても多くの雨が降りました。悟流は自分の畑が無事か心配でいました。

 次の日、畑を見に行くと、山の麓にあった悟流の畑は土砂によって流されていました。


 悟流はただただ目の前に広がる無残な光景を見たまま立ち尽くしていました。

 京子も同じくただ唖然とし、言葉も息も出ないような状態でした。


  友達と遊んでいた雄二も夕暮れになり、家に帰りました。

 

  雄二 「ただいま〜。畑、大丈夫だった?」


 雨が降りビチャビチャになった足を洗いながら、無邪気に雄二は話しました。


 しかし誰も答えてくれません。


 家の中には母の料理を作る音だけが響いていました。


 その時、雄二は今まで見たことのない両親の姿を見て絶句し

 家は雨の音が恋しくなるほど静かに冷たい空気でした。


 雄二は今までにない家の空気に逃げるかのように

 お風呂へ逃げ込みました。


  家の冷たい空気を暖めるかのように

 雄二は友達と遊んだ話を意気揚々に話しました。

 

 母はうんうんと話しを聞いてくれましたが、

 父はうつむきながら黙ってご飯を食べていました。

 雄二がご飯を食べ終わり、


  雄二 「ごちそうさま!」

 

 と大きな声ではっきりと言いました。

 すると、数秒してふさぎこんでいた父も


  父 「ごちそうさまでした!!」

 

 と大きな声をあげました。雄二はびっくりして呆然と父の姿を見ました。


  父 「すまんな、雄二。父ちゃん畑が流れてしもうてどうしたらいいんか

    わからんかったんや。けど今、雄二の元気な声聞いて目冷めたわ

    こういう時こそ元気に前向きにな!いないといかんわ!」


  雄二 「うん!」 


 雄二はまた元気に返事をして、

いつもどおりの家が戻ってきたようで

 嬉しくなりました。


  父 「京子もすまんな。明日から村の人に何か恵んでもらえないか掛け合ってみるよ。」


 母は笑って

 

  母 「はい。がんばりましょう。」


 と落ち着いた口調で言いました。



 

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