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第81話




 冒険者ギルドで依頼を見ていると、冒険者達の中に真新しい装具を身に着けた若い冒険者達が、色々と依頼を受けているのが見える。

 この冒険者達は、皆、駆け出しと言った感じだが、その装具には見るだけで金が掛かっているのが判る。

 それ等は革の胸当てや、ショルダーガード、他にも脛当てなのだが、そのどれもが磨き上げられ、装飾も施されている。

 そして、何より目を引くのが、全員の持っている剣や槍の一部に、赤い宝玉が嵌っていた。

 聞けば、彼等はそれなりの家柄なのだが、三男だったり、四男だったりして家を継ぐ事が出来ない為、冒険者になる為にサガナに来ていると言う。

 それで、全員が金の掛かっている装具を持っている訳だ。

 そんな事を考えつつ、今日受ける依頼を探す。


 現在の所、サガナの銀級として受けられる依頼の大多数は、平原迷宮の素材収集依頼だ。

 オーガの牙やクリスタルディアーの角、中にはオークジェネラルの頭骨なんて依頼もある。

 取り敢えず、簡単で日帰り出来そうな依頼であるオーガの牙集めを選んだ。


 オーガを簡単で日帰りと言うのは、王牙の感覚であり、実際の冒険者は入念に準備し、陣地を作って数人掛かりで対処するような相手である。


 そうして、一度屋敷に戻って炎尚に留守を任せ、平原迷宮まで走って移動する。

 ちなみに、神威はリルと一緒にサガナ大森林の調査中。

 冒険者ギルドではデリラオサが壊滅したと言う報告を受けて、腕の立つ冒険者達に森の調査をずっと依頼している。

 と言うのも、壊滅させたとされる魔獣が発見されず、残されていた痕跡から地竜では無いか?と言う話は出たのだが、サガナの周辺に地竜はいないと言う事で、もしかしたら新種かもしれないと言う話だ。

 そんな魔獣が森の中をうろついていると言う可能性が有る為、こうして依頼が出続けている。

 神威は実力もさる事ながら、リルもいる為、ギルマスのクックから直々に依頼が出されている。

 ジーナ達もこの依頼を受けており、現在は神威達と同じように森の中にいるはずだ。


 そうして平原迷宮に到着し、オーガが確認されている場所まで向かうと既に数人の冒険者の姿が見える。

 そのどれもがオーガ一体に対して複数人で相手をし、着実に攻撃を加えている。

 大盾を持った冒険者が攻撃を受け、弓使いが牽制し、剣士が隙を見ては小さいながらもダメージを与える。

 そして、魔法使いの魔法がオーガに大ダメージを与えているのだが、余りに時間を掛け過ぎている為に、その後ろから新たなオーガがやってきている。

 それを見て、大盾使いと弓使いが最初のオーガから新たにやって来たオーガにターゲットを移し、最初のオーガを剣士が抑えて魔法使いが引き続き攻撃していく。

 無茶な攻撃をしているならもう少し見ている所だが、あの様子なら問題無いだろうと考え、別のオーガを探す。


 そして、別の場所でオーガが3体いるのを見付けると、武神棍を構えて突っ込む。

 俺が突っ込んできたのを見たオーガの一体が、ぶっとい棍棒を振り回すが、それを掻い潜ってその右脚目掛けて棍を振り抜く。

 その一撃でオーガの右脚が折れ、オーガが倒れて凄まじい音が響く。

 倒れたオーガは放置し、そのまま後ろにいた2体に向かう。

 オーガの振るわれる棍棒は、当たれば大ダメージだがそもそも当たる事は無い。

 棒高跳びの要領で棍を地面に突き刺し、目の前に迫ったオーガを飛び越え、その背を蹴って背後にいたオーガに向けて加速する。

 当然、目の前のオーガが倒されない限り、自分は攻撃されないだろうと思っていた背後のオーガは、俺の行動に予想が外れ対処が遅れた。

 それを見逃す筈も無く、その首を棍の一薙ぎで圧し折り、踏み台にしたオーガには胸部に拳を叩き込み、最初に脚を圧し折ったオーガもきっちりとトドメを刺した。

 この場にいたオーガが倒れ、残った牙や皮を回収する。

 そのまま、依頼に必要な数を集める為、平原迷宮を駆け回った。



 数日後、必要数のオーガの牙を集め終わり、冒険者ギルドに報告する。

 本来一日で終わる予定だったのに、数日掛かったのには理由がある。

 平原迷宮でオーガ狩りをしていた際、別の冒険者達が敗走していたのを数回発見し、救助したのだが、その敗走の原因となったモンスターが、平原迷宮では確認されていなかったモンスター達だった。


 最初に敗走したチームは、ブルーレンジクロウと言う巨大な青いカラスのモンスター。

 その羽根はしっとりとした鮮やかな青をしており、装飾品としても重宝され、鋭い爪は槍や矢に、嘴は盾の素材になる。

 ただし、軽トラくらいのサイズがあり、更にかなり凶暴。

 それに追い立てられ、盾役だったドワーフが大怪我を負って全滅しかけた所を発見し、急遽、俺が横から強襲した。

 急降下してきたブルーレンジクロウの嘴を掴み、地面に投げ飛ばし、槍投げの要領でその胴体部を棍で地面に縫い付ける。

 そして、そのままその頭を蹴り砕いた。

 大怪我をしたドワーフには上級ポーションを使い、ある程度の応急処置をしてから平原迷宮の入口にある冒険者ギルドの出向所である事務所兼休憩所に送り届けた。


 次のチームは、ジャイアントヘルスコーピオンと言う巨大な蠍のモンスター。

 薄黒い硬い外殻を持ち、巨大なハサミは鋼鉄をも引き千切り、強力な毒針は一滴でサガナの街の住民全てを殺傷出来る程の威力を持つ。

 しかも、それが二匹。

 なので、零式を召喚して片方を圧殺。

 もう片方は俺が突っ込んで、腹下から武神獄龍破で消し飛ばした。

 助けた冒険者達は、俺が救助するまでに既に2人がやられていた。

 やられた仲間の遺体を回収し、彼等も事務所に送り届ける。


 それからも、ビーヘルハウンドと言う狼型のモンスターや、ギガバットブラッドと言うコウモリ型のモンスターを発見して駆除。

 その度に、襲われていた冒険者達を事務所に送り届けていた。

 どれもが今まで平原迷宮では確認されていないモンスターであり、普通の駆け出しから抜け出した冒険者では対処が難しいモンスターばかりだった。


 それもあって、事務所の方から平原迷宮を見回って欲しいと依頼を受け、色々と駆け回っていた。

 結果、助けた冒険者チームは6チーム。

 駆除したモンスターは10以上。

 これは明らかに異常だ。

 事務所は冒険者に2チーム以上の数で組ませる事を周知したが、何処まで効果があるかは不明だ。



 サガナの冒険者ギルドに戻り、マキーシャ達が平原迷宮の依頼を受けると言う事で、その事を説明して置いた。

 一応、ギルマスにも報告しようとしたのだが、何やら忙しいらしく不在。

 ただ、気掛かりな事はもう一つあり、今回のこのモンスターなのだが、敗走した冒険者達によると急に現れたと言うのだ。

 ブルーレンジクロウやギガバットブラッドくらいなら、空から接近されたと理由が付くが、ジャイアントヘルスコーピオンやビーヘルハウンドは遠くからでも接近されている事が直ぐに判る。

 それが、一度ならともかく何度も続くとなると、別の要因があるのではと考えてしまう。

 だが、それが何かが判らない。

 聞き込みをしようにも、例の噂が蔓延している状態でまともに話をしてくれるような冒険者はおらず、住民レベルでは有益な話は聞けない。

 その為、冒険者相手にはジーナ達に頼むしかないだろう。

 一度屋敷に戻り、ジーナ達には依頼の合間に聞き込みを頼む事にしよう。



 屋敷に帰り、戻って来たジーナ達に聞き込みの事を頼み、俺自身は工房の方で新しいゴーレムを組み立てる。

 新しいゴーレムだが、パーツは全て出来ている。

 唯一の問題点は、動力となるゴーレムコアの補助動力であるサブコアが、まだ手に入っていない事だ。

 しかし、組み立てるくらいなら問題は無い。

 この組み立ての間、マドゥーラ達には危険であると言う事で、しばらく工房には入らない様にとは言ってある。

 その為、コアに魔方陣を刻む為の道具は、マドゥーラの部屋にも設置した。

 コレで、工房が使えない間でも、マドゥーラはコアに魔方陣を刻む事が出来る。

 現在、マドゥーラは新型ゴーレムのコアに刻む魔方陣の最適化を続けているのだが、難航しているようだ。

 まぁコレばかりはマドゥーラが頑張るしかない。


「さてと、それじゃやるか」


 インベントリからパーツを取り出し、土台に並べて行く。

 複数の巨大なフレームをマナマッスルで繋ぐと言う作業を、どんどんと進めていく。

 途中途中で設計図と回路図を確認し、組み間違いが無いようにしながら、天井のクレーンを使ってパーツを動かしたり浮かせたりしながらフレームとマナマッスルを繋ぐ作業を完了させた。

 この日は、ここで夕食の時間となった為、作業は終了。


 次の日、出来上がっているアーマーを装着してみたのだが、何と言うか『コレジャナイ』感が凄い。

 全身をくすんだ銀色のアーマーにしているのだが、全体的にのっぺりとしていて、違和感がハンパない。

 腕組みをしてそれを見て唸っていると、神威と神楽が来て、組み上がったゴーレムを見上げる。

 そして、神楽の何気ない一言で、『コレジャナイ』感の原因が発覚。 


「見事な出来ですが、外装は鱗無しで完成なのですか?」


「そうか……鱗か」


 そうして、鱗パーツを作っていく作業が始まった。

 鱗はベースにアダマンタイト、その表面にオリハルコンをコーティングして使用。

 大きい物で掌程度の大きさから、小さい物で親指の爪程度のサイズ。

 それを部屋に篭って作り続けるのだが……

 ぶっちゃけ飽きる。

 日本人は、こう言った作業に強いと聞いた事があるが、それでも飽きる。

 しかし、手を抜けば見た目も悪くなるし、何より俺が納得出来ない。

 なので、頑張る。

 結果、全部の鱗パーツが完成したのはそれから4日後。

 それを、アーマーに装着するのだが、ここでも問題があった。

 アーマーの表面はツルリとしていて、それに貼り付けるとなると、強力な接着剤が必要になる。

 短期的に見ればそれで良いのだが、長期的に見ればそれでは剥がれ落ちる危険性が有る。

 と言う訳で、鱗を装着する為にアーマーを作り直す事になった。

 鱗の固定方法だが、鱗に爪を付けそれを引っ掛けて、曲げる事で固定する。

 その為、アーマーに穴を開ける方法を最初に考えたのだが、それだと強度が足りなくなる。

 ……凄い手間だが、ここはチェインメイル方式にするか……


 ゴーレムのほぼ全身を、チェインメイル方式にすると言うのはあまり運用はされていない。

 この理由は簡単で、まず全身を覆う様なチェインメイルを用意するのが面倒な割には、防御性能はそこまで高くない。

 更に、隙間が多い為、炎の熱ダメージや酸によるアシッドダメージ等、副産物的なダメージにも弱いのだ。

 しかし、利点も存在し、隙間が多い為にゴーレムの柔軟性能が高くなる。

 その為、稼働する関節部分のみにチェインメイルを使用するのは、割とポピュラーな方法だ。

 そして、今回の様にアンダーアーマーとして全身に使用し、外側に別の装甲を付ける事も可能。

 今回は、オリハルコンとアダマンタイトの合金製の鱗を付ける為、防御性能はそこまで落ちない。

 副産物的ダメージに関しては、自己修復機能でダメージを受けても、マナタンクが無事であれば即座に修復される様にしておいた。

 ただし、この場合の手間は倍以上に掛かる為、余程の事が無い限りやる事は無い。


「……神楽、ちと手伝ってくれ……」


「了解しました」


 この特製チェインメイル製作に神楽の手も借りた。

 だってなぁ……

 一人で畳何十畳分も作るのは無理だって。




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