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第62話




 サガナに戻って一ヶ月が過ぎた。

 冒険者ギルドは、新たに見付かった迷宮が攻略された事で、細かいルール等を決めるので大忙し。

 現在は平原部分には問題は無いが、逆さ迷宮に関してはギルドから許可から降りた冒険者以外には入らないように告げられる。

 それを無視して入る場合、自己責任と言う事になっていた。

 そして、平原部分には連日多くの冒険者で賑わう様になり、多くの素材が取引され始めた。

 残念な事に、許可を得ず逆さ迷宮に挑む冒険者達も一定数はいるが、踏破したと言う報告は無い。



 そんな中、俺自身はと言うと……


「……炎尚、午後からの予定は?」


「はい、面会の御予定が2つあります」


 その言葉を聞いて溜息を吐く。

 この数日間、王都から貴族の使いやら冒険者やらが引っ切り無しに面会に来ているのだ。

 原因は間違いなく王都での一件だ。


 貴族はその実力を自分の勢力に取り込みたい、冒険者達も自分のパーティーに引き入れたい。

 そんな風に色々やってくるのだが……

 下手な貴族に所属すれば勢力争いに巻き込まれ、冒険者は俺がそれ程サガナから動けない以上、所属は不可能だ。

 しかも来ている貴族の使いから察するに、今まで来ている貴族連中はどう考えても碌な奴では無い。

 確かに所属するメリットは多いだろうが、デメリットが多過ぎる。

 不用意だったかなぁ……


 そんな事を考えつつ、運ばれてきた昼食を食べる。

 迷宮に行ってランクを上げ、高ランクの騎乗魔獣を手に入れるのが目標だが、今の状態ではそれすら(まま)ならない。

 今日はあと2度の面会で終わるが、既にこれから一週間みっちりと予定が詰め込まれている。

 神威はジーナとアイナによって歴史の勉強。

 止むを得ずと言えど、約束を破った事による罰則だ。

 状況が状況だったので、勉強時間は昼までにしているが、それでも一ヶ月間の予定になっている。


 この世界の歴史を俺達は知らない。

 その為、色々と知らない事も多いので、暇を見付けては色々と調べてはいた。

 俺の場合だと、暇な時は図書館に行って調べていたが、神威にはそう言う暇は無かった。

 なので、神威にはジーナに集中的に勉強を頼み、アイナにも暇な時に手伝って貰っている。

 神威自身はその量に頭を抱えていたが、将来的には必要になるだろう。

 今現在、俺も頭を抱えてるが。


 取り敢えず、俺一人では対応するだけで手一杯になってしまうので、アイナとクックに相談する。

 貴族連中に関しては、アイナの実家が手を回してくれると言う話になったが、代償に何を要求されるか判らない。

 クックには笑われたが、死活問題でもあるのは判っているのか、冒険者に関しては、ある程度冒険者ギルドの方で応対してくれると言う。

 ただ、その際に一つだけクックから要望と言うか、お願いされた事があった。

 何でも知り合いの子に師事の紹介して欲しいと頼まれていて、どうしようかと考えていたらしい。

 元々がゴーレム技師志望で、冒険者をしながらゴーレムの研究をしているらしい。

 それが王都での騒ぎを聞き付け、クックの所に話が来た。


 今はクックの家に間借りしているとの事。

 クック自身は殆ど冒険者ギルドで生活しているような状態で、所有している家に帰るのは一週間の間に数回だけ。

 ちなみに、その子が来たのが一週間前だと言う。

 一応、会うだけは会うと言う事にはなったが、正直な所、如何すりゃいいんだか。 


 俺のゴーレム技術とこの世界のゴーレム技術はかなり違う。

 まず、ゴーレムコアをそのまま素体に組み込んでいる所。

 その素体に関しても、素材をただ人型に形作って纏めているだけ。

 つまり、素体全体でフレームとアーマーとマナマッスルとマナタンクを兼用しているのだ。

 必要な所に必要なだけの力を伝え、使わない場所にはエネルギーを送らずに節約する。

 それが出来ず、常にフルパワーで動かし続ける為、力は強いが動きは大振りになり、可動部分が異常摩耗する為にメンテナンス性も悪い。

 しかし、この世界にある技術で、零式の様なゴーレムを作る試みと言うのも面白いとは思う。

 出来るかは別として。



 そうして、その子と会うのは3日後に屋敷へ案内してくれる事になり、予定を開けておく。

 その間に考える事も増える。

 その子が弟子入りするにしても、今の地下室にある鍛冶場だと狭過ぎる。

 零式を参考にするなら、直立状態にも出来た方が良いのだが、今の地下室では立たせる事は不可能だ。

 逆に寝かせた状態にしたとしても、ぶっちゃけ邪魔になる。

 となれば、屋敷の近くに専用の小屋を作るか、もしくは増築するのが良いだろう。

 資金的には、錬金ギルド等からの売り上げが順調に貯まっているので問題無い。

 スクウェール商会に行って手配するとしよう。

 自分でも作れない事は無いが、本職には到底敵わない。

 ただ、土台となる地面は重い物を扱うので、此方で叩き固めておくとしよう。


 冒険者ギルドの帰り道にスクウェール商会に立ち寄り、アマッシュ達に建設を依頼する。

 地面を固める事は此方でやると言う事で、ある程度は値引きされた。

 アマッシュ達とその場で簡単な設計図を作り、構造は平屋、天井には可動クレーンを設置し、中央に鋼鉄製の台を置く。

 広さは縦に10メートル、横に15メートル、高さが6メートルとそれなりに大きい。

 内装に関しては、ゴーレムの整備兼研究所と言う事で、必要に応じて自分で揃える事にする。

 流石に、現段階で揃えてサイズが違ったら勿体無い。



 屋敷に戻り、平屋と言うか倉庫の様な物を作る事を話し、庭の一部にロープを張る。

 場所は屋敷の右側、丁度俺の部屋がある方向に作る予定だ。

 ロープを張った後、その中の雑草を焼き切り、砂利を撒いた後、ハンマーで打ち固める。

 ただし、ハンマーは『ギガントハンマー』と言うオーガ等が使う巨大な物で、それを零式が振るっている。

 打ち下ろす度にズドンズドンと音が響き、地面が沈み込んで行く。

 その度にリルが驚いて逃げているが、恐る恐る戻って来ては再び逃げるを繰り返している。

 後で御機嫌取りに平原迷宮に連れて行って走り回らせよう。


 地面を完全に叩き固め終わった後、地震対策に長い杭を打ち込む。

 まぁこっちに来てから揺れてないけど、用心するに越した事はない。

 と言う訳で、打ち込む杭を用意するのだが、地球であればコンクリートの太い物を使うのだが、この世界にはコンクリート柱なんて存在しない。

 まぁ作ろうと思えば作れるけど、材料を集める所から始める事になるので間に合わん。

 なので今回は手っ取り早く、購入出来る物を加工して再利用する事にする。


 一応、地下室に移動してからシステムのショップを選び、表示されたリストから目当ての物を探す。



 『アダマンタイトの天使像』

 -ランク/RRR-

 不変の金属アダマンタイト製の天使像。

 御利益は……御想像にお任せします。



 うん、説明文は酷いがとにかくこの『アダマンタイト』が欲しいのだ。

 取り敢えず、それを10個購入し、一つを目の前に召還する。

 大きさは、全長大凡1メートルくらい。

 見た目は普通の天使で欲しい人は欲しがるだろうが、申し訳無いが錬金スキルで形状を変化させる。

 そして出来上がるインゴット。



 『アダマンタイト(インゴット)』

 -ランク/UR-

 不変の金属アダマンタイト。

 非常に重い。



 買っては変化させて、買っては変化させてと、どんどんインゴットを作り上げて行く。

 コレだけ買っても、ショップの資金表示は一向に減らない。

 まだまだ買える。

 いざとなったらショップのアイテムを加工し、こっそり売って生活するのも手だろう。

 出来上がったインゴットの山を、再び錬金スキルで次々に杭へと加工していく。

 杭は直径30センチ程度の太さだが、長さは10メートルにした。

 流石に測定器が無きゃどのくらい必要になるかなんて判らんて……

 地球での生活の時に聞いた事があるのは、大体が10メートル前後だった。

 なので、10メートルで作ったのだが、まぁここ等辺は気分の問題だ。

 1メートル間隔で打ち込むので150本必要になる。

 ………2メートル間隔じゃ駄目かな………



 結局、杭150本は用意した。

 用意するのに夜中まで掛かったが……

 約束の日まで余裕がないので、次の日の朝早くから零式を召喚して、建設予定地に杭を打ち込んで行く。

 と言っても、零式のパワーならそのまま押し込むだけで、半分近く地面に沈んで行く。

 ある程度沈んだ後はギガントハンマーで叩いて打ち込む。

 全部打ち込み終えると既に昼を過ぎていた。

 後は……アマッシュと相談するか。


 昼御飯として出て来たのはサンドイッチ。

 既に神威は済ませて、リルと一緒に平原迷宮の方に散歩に向かったそうだ。

 俺の方も作業は終わったし、明日の為にゆっくりするかな……


「旦那様、御客様がお見えになりましたが……」


 神楽がそう言いながらやって来た。

 まぁうん、予想はしてたさ。



 やって来たのはアマッシュ。

 小屋を作る前に色々と確認する為に来たらしい。


「ふむ、こりゃまた凄いな」


 アマッシュが建設予定地を見てそう言う。

 地面を固める為、零式に叩かせたので20センチ程陥没し、更にそこに150本の杭が埋まっている。

 そう説明したら溜息を吐かれた。


「地面を固めるのは兎も角、杭は何の為に埋めたんじゃ?」


「俺の育った地元だと地震が多くてな、その対策に杭を埋めてたんだよ」


 そう言うとアマッシュが顎に手を当てて考え込む。

 ただ、詮索はしないようで陥没した予定地を見て細かい要望があるかと聞いてきた。

 それならと、色々と考えていた事を伝える。

 まず何としても水平の床、出来れば水場もあれば良い。

 中央には頑丈な台を置く予定だが、奥側の方にも同じような台を作って欲しい。

 他にも扱うのは危険な物もあるので、とにかく頑丈な方が良い。


「となると、床はなるべく一枚岩を並べた方が良いか」


 俺の要望を聞いてアマッシュが頭を掻く。

 まぁ無茶な要望だと思うので最低限、水平な床と頑丈に出来れば良いとも伝えておく。

 だが、アマッシュは『仕事人がそんな妥協が出来るか』と設計し直してくれるという。

 床材にする一枚岩の手配が済み次第、建設を始めると言われ、建設期間を聞いた所、大凡一月もあれば作れるという。

 その一月の間に、最低限必要な内装を揃えておくとするか。


 そう考え、アマッシュが帰った後に一旦リストに纏めてみる。

 まずは工具類を収納する為の工具箱だが、これはそのまま道具箱を作って置けば問題無いだろう。

 なのでサクッと制作しておく。

 次は……クレーン用のレールとチェーンを用意するか。

 クレーンに吊るすのはどうしても重い物が多いので、使い続ければ歪んでしまう。

 故に、ここは妥協はしない。

 両方ともアダマンタイト製で作ってみた。

 ただ誤算としてレール自体が重いので、固定するフレームもアダマンタイトで作る事になる。

 チェーンに関しては、零式がフルパワーで引けば千切れるが、通常状態ではビクともしない。

 後は……防災対策か。

 コレに関してはセンサーを付け、無人状態で発火したらその場所に水魔法を直撃させ、それでも鎮火しなかった場合は風魔法で無酸素状態にして鎮火させる。

 その為の監視ボットも作る。

 いや、監視と言うより、正しくはセンサーボットだな。

 天井の四隅に取り付けられる様にして、制御部分に『素体03』のゴーレムコアを利用する事にする。

 別に移動させる事は無いので、システムの一部を弄れば利用可能だ。

 全て作り終えた所で日が沈んで夜となった。 

 さて、明日は弟子候補と面談か。

 どうなる事やら……




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