表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/105

第46話




 ラメイルバイパーに遭遇。

 まずエーナルの攻撃。


「『ストームエッジ』!」


 振り抜いた剣が巻き起こす風刃が、周囲を巻き込みながらラメイルバイパーを襲い、砂煙となって鱗の反射光を遮る。

 これで、幻覚を封じる。


「オォォォォッ!」


 即座にテランが、気合の籠った叫びを上げる。

 すると、全員の全身に赤い膜が薄らと現れた。

 コレは、恐らく『ワイルドビート』と言う鼓舞スキルだ。

 効果としては単純で、周囲にいる仲間達の状態異常を一時的に無効化する。


「『イーグルショット』!」


 テランの背後からイーランが放った矢が、ラメイルバイパーの両目を射抜く。

 これで、金縛りになる事は無い。


「『フレアランス』!」


 エルの放った炎の槍がラメイルバイパーに直撃し、炎上。

 炎が消えた後に残っていたのは、水晶のような牙と宝石の様な赤い瞳。

 どうやら、無事に倒せたようだ。



 まぁ及第点だな。

 そう思いながら、背後から襲ってきたリザードマンを叩きのめしておく。

 何故倒したのかと言えば、コイツ等が連れているスケイルディノに用があるからだ。


 スケイルディノ。

 リザードマンが乗り回す亜竜で、スピードはそれ程早くないがスタミナはある。

 更に、強固な鱗を持っている為、防御力が高いので戦闘でも活躍できる。

 そして、騎乗魔獣としてテイム出来るのだ。


 卵の一つでも手に入れば念願の騎乗魔獣に出来ると考え、取り敢えずリザードマンを全滅させ、スケイルディノを再確認。

 良し、威圧を放っている俺にも怯えない。

 怯える所か、逆に積極的に攻撃を仕掛けてくる程だ。

 取り敢えず、7階層までに卵を入手したい。


 そう考えていたのだが……



「迷宮の魔獣は、迷宮が生み出すので、卵とか無いですよ?」


 イーランが俺の提案を聞いてそう教えてくれた。


 そう、ダンジョンにいるモンスターの大半は、ダンジョンから生み出される為、卵で増えている訳では無いのだ。

 卵で増えるモンスターは全て昆虫系だけで、それ以外は成長し切っている状態で生み出される。

 つまり、このダンジョン内でスケイルディノの卵を入手するのは不可能。

 がっかりだな……


 それからはエーナル達に任せる。

 3体のリザードマンとスケイルディノが1体。

 スケイルディノに騎乗したリザードマンの突き出す槍をテランが受け流し、イーランの放つ矢がリザードマンの腕や足を狙う。

 それを無理に避けようとして体制が崩れた所に、エルの魔法が直撃してリザードマンは死亡。

 残されたスケイルディノの攻撃に対しては、テランが『ロイヤルガード』で受け流し、ダメージをチャージし切った所で『ロイヤルリターン』を使って吹き飛ばした。


 エーナルは一人で2体のリザードマンを相手にしており、上手く立ち回って同時に相手しない様にしている。

 必ずほぼ直線状に2体が重なる様に動き、リザードマン同士が邪魔になって攻撃し辛い状況を作っている。

 それでも左右に出て来るのは防げないが、そのタイミングで魔法を使う事で妨害。

 そして、正面のリザードマンを倒し、即座に背後のリザードマンに斬り掛かって斬り倒す。

 今回の戦闘で手に入ったのは、リザードマンから小さな魔石2つと爪1つ。

 スケイルディノからは皮が手に入った。


 リザードマンが持っていた槍も残っていたが、どれも能力無しの通常の槍で、価値は無い。

 これは柴隊のチャモから聞いた話だが、ダンジョン内のモンスターの持つ装備にはたまに『能力付き』と言う、『魔法付与(エンチャント)済』の装備を持っているモンスターがいると言う。

 そう、ダンジョンで生み出されるモンスターは、生まれた時から武器を手にしている。

 その際に、ダンジョンの気紛れなのか、魔法付与された装備が一緒に生成される。

 ただ、そう言った装備を持っているモンスターは同じ個体より強く、リーダーになっている事が大半だ。

 今回はハズレだったが、機会があれば狙ってみるのも良い。


 そうして、何度か戦闘をして7階層を突破し8階層に降りる。

 最後の方は、ラメイルバイパーにも問題無く勝利できるようになった。


 8階層から10階層までが、目的のモンスターがいる階層。

 そうして出会ったのが、アーマーゴーレム。

 見た目は3メートル程の巨大な銀色に輝く鎧で、正しく某有名ゲームに登場する『さまようよ○い』そっくりだ。

 スピードこそ遅いが、そのパワーと防御力は脅威で、耐えてからの反撃を得意とする。

 そのゴーレムに対しての戦闘だが、このゴーレムに対して何も出来ないのがイーランだ。

 彼女の使う弓や短剣では、アーマーゴーレムに対しては殆ど効果を発揮しない。

 後方でエルの護衛として立っている彼女を見て、後で戦い方を教えておくとしよう。

 そう言えば、俺の『ゴーレム召喚』ってどうなってるんだろうか……

 エーナルの攻撃で、アーマーゴーレムが砕け散った所を見ながらそんな事を考える。

 ゲームでは『召喚』と言ってもいろいろあった。

 その中であったのが『ゴーレム召喚』と言うスキルだ。

 言葉通りゴーレムを召喚するスキルだが、その外見が実は弄る事が出来るのだ。


 ユーザーの一人が偶然それを発見し、あっという間に広まった。

 結果、大昔の勇者ロボ風、リアルロボット風、スーパーロボット風とユーザー達がデザインを弄り倒していた。

 ただ問題があり、そのデザインセンスはユーザーのセンスに左右される。

 そう言う中で生まれたのが『ゴーレムデザイナー』と言う職業だ。

 デザインセンスの良いユーザーが集まり、ゲーム内で会社を設立。

 リアルマネーかゲームマネーを払う事でゴーレムのデザインをしてくれるのだ。

 当然、依頼は殺到。

 設立当初は予約は半年待ちと言う状態。

 俺は少しずつ弄るのが楽しいので、依頼はせずにちょこちょこ自分で改造していた。

 ゲームのゴーレムは、『ゴーレムコア』『フレーム』『マナマッスル』『アーマー』『マナタンク』と言う5つの要素があった。


 出力源でもあり頭脳でもある『ゴーレムコア』。

 全身を支える骨である『フレーム』。

 コアからの出力を全身に伝え、筋肉も兼ねた『マナマッスル』。

 全身を覆う外装である『アーマー』。

 そして、稼働時間を長くする為の『マナタンク』。


 これ等を『素体』に装着し、改造して行く事でゴーレムは強くなっていく。

 そして、全身を覆う外装である『アーマー』は自由にデザイン出来る。

 しかも、サポートNPCと違ってゴーレムには所持数限界が無いのも大きい。

 ただし、一人で数多く所持して軍団を作ろうと思っても出来ないのだ。


 理由は単純で、ゴーレムは頭が悪い。

 と言うより、頭脳に相当するコアがそこまで複雑な命令を理解できないのだ。

 なので、数は多く所持出来ても、同時に動かすのは数体が限界だ。


 この同時行使限界数に付いては、ゲームで有名な話があり、それはユーザーの間では『ゴーレムの悲劇』として語られている。



 とある傲慢なユーザーが、別のユーザーの一部に『戦争』を仕掛けた事がある。

 某御国のユーザーで、仲間は自分を守るのが当然、成功報酬を自分が多く貰うのは当然、とやりたい放題。

 そして、自分のミスで失敗すると、それは全部周囲のせいと当たり散らす。

 逆に成功すれば、手柄は全部自分のモノとしていた。

 そうしていると、そんな成功しまくっている自分が低ランク帯にいるのはおかしい! と、高ランク帯のユーザーに対して、ランクを明け渡せば見逃してやると豪語したが、誰も相手にしなかった。

 最終的にゴーレムを大量に作り出して物量で押せば最強! と勘違いを起こし、周囲に止められたのに一方的に『戦争』を仕掛けた。

 そして、草原に並ぶ大量のゴーレム。

 その数、500体。

 見た目は様々で、巨大なのもいれば、子供程度の大きさの物もある。

 それら全てが超高額な最高級の素材で作られていた。

 対して相手の数は3人。

 『戦争』を仕掛けられたユーザーと、そのサポートNPCが2人。


 『戦争』というのは、ユーザー同士での『最大級の決戦』の事を意味する。

 参加人数から条件まで様々に設定でき、その戦争中は特別サーバーしか選択できないので、受諾した場合、勝敗が決するまで逃げる事すら出来ない。

 そして、その戦闘の様子は無料公開され、大多数が結果を見て、知る事が出来る。


 今回の『戦争』の条件(ルール)は単純。


 まず、互いに人数は自由。

 勝利者は敗者へ望みを要求する事が出来る。

 敗者は勝者が今回の戦争で消費したアイテムの補填を全てする、補填不可アイテムの場合は相当額で補填する。


 この3つだけ。


 そして『戦争』が始まった。

 リアルタイムで見ていたユーザー達が、出現した夥しい数のゴーレムを見て息を呑んだ。

 当然、相手になったユーザーも最初は驚き、その表情を見て、戦争を仕掛けたユーザーが高笑いを上げていた。

 相手になるユーザーが大量の能力底上げポーションを使用し、サポートNPCにも使用していざ戦闘開始と誰もが思った瞬間。


 大量のゴーレム達は同士討ちを始めた。


 仕掛けたユーザーの出した命令は、『自分以外を倒せ』と言う単純な物だった。

 ゴーレム達はその『自分』と言うのを正しく『理解』出来なかったのだ。

 結果、ゴーレム達は仕掛けたユーザー以外『全て』を『敵』として攻撃を開始、それがこの同士討ちの真実だ。

 慌てて止めようとしたが、命令を受けて止めたゴーレムに対して別のゴーレムが攻撃を行い、それを止めると別のゴーレムが……

 そして、数分でゴーレム軍団は壊滅。

 仕掛けたユーザーは敗北扱いとなり、持っていたゴーレム軍団は壊滅、条件により相手が消費した能力底上げポーションの資金を補填。

 更に、敗北した事で要求を受ける事になった。

 噂では、この時の負債を検証したユーザーによると、ゴーレム軍団だけでもゲームマネーで数億近くの損害だと言う話だ。

 結果、この仕掛けたユーザーはそのショックでゲームを引退したとか噂が立っていた。


 ちなみに、コレが『ゴーレムは頭が悪い』と言う事が判明した事件であり、『ゴーレムの悲劇』として有名になった。

 その後、検証したユーザー達によると、5体までが一人で同時に行動出来る限界だと言う。

 それ以上になると、ゴーレム頭脳が混乱を起こしてしまう。

 ただし、一人が5体までを操作し、複数人が集まって30体とか40体とかに増やす分には問題無いと言う。

 なお、その後、どうにかして一人で操作しても同士討ちを避ける方法が検証され続け、最終的にゴーレムコアの命令領域を弄れば同士討ちは避けられると判明したが、それをするとゴーレムはただの機械の様に淡々と命令を実行するだけになった。

 それが一部ユーザーからは嫌われた為、実行しているユーザーは多くなかった。

 俺も実行していないユーザーの一人だ。

 一応、俺のゴーレムは2体いるが、どちらも某ロボットゲームから外見や戦闘方法を真似させてもらった。

 単純な事しか理解出来ないのであれば、逆に単純な命令でも最大限の行動が出来るようにすれば良いのだ。

 そして、この『ゴーレム召喚』は『スキル』である為、テイムモンスターや飛空艇のようにクリスタルになっている訳では無い。

 それを考えれば、この世界でも召喚する事が出来る可能性が高い。


 そんな事を思い出していると、エーナル達が倒したアーマーゴーレムが消え、その場に一つの金属片を残した。

 これが、狙っている『アーマーゴーレムの外装』だ。

 見た目はただの金属の板。

 コレを加工する事で様々な素材として活用出来るのだ。


「よし、それじゃ後の素材も集めるぞ」


 エーナルが金属片を回収し、先頭を歩く。

 さて、残りの素材は簡単に回収出来るだろうか……




それでは、また3日後にお逢いしましょう


面白いなーとか続きを読みたいなーと思ったら、ブックマーク・評価してくれると、作者がすごく嬉しくなります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ