表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/105

第100話

祝100話到達

此処まで読んで頂き、ありがとうございます!




 領主邸の会議室。

 対飛空艇対策として、領主様とクック以外に偉そうな騎士やら、気弱そうな兵士が集まっている。

 ちな、俺と神楽はアドバイザーとして参加。

 しかし、飛空艇を相手にするにはこの面子では無理がある。


「まず、魔術師部隊により波状攻撃の後、高度を落とした所で強化バリスタを使用し轟沈! これ以外に方法は無いと思われます!」


 無駄に偉そうな騎士が一際デカイ声で、考えたであろう作戦を報告する。

 ワイバーンとか空飛ぶモンスター相手なら、今提案された作戦でも問題は無い。

 だが、相手は所属不明の飛空艇。


「……無理だな……」


「何だと?」


 おっと、呟きが聞こえてしまったようだ。

 だが、コレは言わなければ無駄に被害が増える。


「アレだけ目立つ相手が何の対策もしてない訳が無いのが一つ。 そもそもだ」


 そこまで言ってから、姿勢を正してと。

 コレから説明するのが一番の懸念事項だからな。


「飛空艇一隻で来る訳ないだろ。 多分、中に兵士がギッシリ詰まってる」


 神楽が言っていた『嫌な気配』は、大きいのが一つ、そして小さいのが大量。

 恐らく、あの飛空艇の中にいる兵士が何か持っているのだろう。

 それを考えると、一筋縄ではいかない。


「それにだ、あの高さまで魔術が届いたとしても、相当減衰して碌にダメージは無いし、強化バリスタでも届かんだろ」


「この……たかが冒険者風情が……」


「では、王牙殿は何か考えがあるのかね?」


 領主様に聞かれ、少し考える。

 まず、防衛は神楽による大結界を使用すれば問題無い。

 飛空艇内部にいるであろう兵士に関しては、俺と炎尚、神威の3人で対応出来るが、遠距離から狙撃としてジーナ達を外壁の上に配置すれば間違いないだろう。

 その為の銃は支給する予定だが、問題があるとすれば事後のゴタゴタ……これは仕方無いと割り切る。


「まず、飛空艇以外はどうにかなる」


「フンッ肝心な方の対策も無いのではないか!」


 そう、一番の問題が飛空艇だ。

 そもそも、人は飛べないんだから仕方無い。

 零式の大推力で飛べば良いじゃないか、と思われるだろうが、ぶっちゃけると零式は飛べない。

 巨剣を手放しても、零式は重過ぎるのだ。


「空が飛べりゃ良いんだがな……現状、無理だ」


「お前さんでも無理か?」


「……一応、手が無い訳じゃ無いんだがな……」


 クックに聞かれたので正直に答えておく。

 現在、うちの屋敷にある工房にその手段があるのだが、とある事情により完全起動が出来ない。


「手はあるのか?」


 領主様も乗り気の様だが、唯一にして最大の問題を聞けば無理だと判るだろう。


「……動かす為の魔石(パワー)が足りん」


「どのくらい必要なのだ?」


「計算上、最低でも龍クラスが必要になる」


 その言葉で領主様とクックの表情が曇る。

 龍クラスの魔石となると、早々手に入らない。

 手に入ったとしても、都市機能を維持する為に使用されたり、王都で研究に使用されたり、個人で自由にする事はほぼ不可能なのだ。


「確かにそれでは不可能じゃな」


「……少し前、王牙殿の御子嬢が逆さ迷宮で手に入れたのでは?」


 領主様の言う通り、神威がブラックドラゴンゾンビの魔石を手に入れている。

 だが、アレは神威の所有物であって、俺のじゃない。

 その事を領主様に説明すると、顎に手を当てて考え込んでいる。


「もし、飛空艇を放置した場合、どんな被害を受ける可能性があるんじゃ?」


「性能がはっきりしてないから、推測になるが……」


 クックの疑問に、尖塔から見た限りでの推測を伝える。


 まず、内部にいる戦闘員の数は少なくとも200人程度だが、どういった装備をしているかは不明。

 飛空艇自体の戦闘力は正直言って不明だが、魔法袋に瓦礫を詰めてサガナの上空からばら撒くだけでも、凶悪な攻撃性能になる。

 これに大砲なんぞ積んでいたら、一方的に攻撃され続けて壊滅する。


「何より、魔法袋に食料を大量に詰めておけば、いつまでも上空に居座られる」


 そういった攻撃に耐え続け、食料が尽きれば撤退はするだろうが、それまでにサガナが受けるダメージは計り知れない。

 そして、コレは言うつもりはないが、問題点はそれだけではない。


 最大の問題点が、敵との技術力の差だ。


 飛空艇すら製造可能な相手であるならば、歩兵が持つ装備もそれに準ずる装備になっている筈だ。

 下手をすれば、人工的に魔剣を製造している可能性もある。

 もし、魔剣装備の兵士が200人もいたら、サガナの防衛力ではどうにもならない。

 それ以外にも、魔弓を作っていれば飛空艇から一方的に攻撃出来る。


「ふぅむ……確かにそれは厄介じゃの」


「想像でしかないが、舐めて掛かると痛い目を見るだろうな」


「とにかく、我々は防衛の作戦準備を始めますので!」


 偉そうにしていた騎士は、そう言って部屋から出て行ってしまった。

 準備ってどうする気だ?




 その後、領主邸から屋敷に帰る。

 碌な対策が出来ぬまま、飛空艇を迎え撃つ事になるが、あの騎士達で大丈夫なんだろうか……


「旦那様、如何致しましょうか?」


 神楽に聞かれるが、現状打つ手が無い。

 逆さ迷宮をブラックドラゴンゾンビが出るまで、延々高速周回するという方法もある。

 だが、どの程度で出現するかも不明だし、もしかしたら初回攻略限定かもしれないのだ。

 そうなれば、完全な無駄足だ。


 椅子に腰掛けて唸っていると、神威とマドゥーラが部屋にやって来た。

 飛空艇の事は領主様側から口止めされて、喋る事が出来ないが、少々悩んでいる事があるとだけ言っておいた。

 まぁ二人なら大丈夫だろうが念の為だ。


「悩みって、工房にあるアレ?」


「まぁ、アレ関連だな」


「確か、魔石あれば動かせるんだよね?」


「……そこが問題でなぁ……」


 そう、魔石があれば一気に解決するのだ。

 だが、娘に『魔石をくれ』とは言えない。

 正攻法で入手するには、時間が圧倒的に足りない。


「んじゃ、はいコレ」


 そう言いながら神威が差し出してきたのは、赤黒い魔石。

 言わずもがな、ブラックドラゴンゾンビの魔石である。


「それはお前のだろう?」


「うん、だから一個貸しね?」


 工房にあるアレに使用すれば、絶対に返ってくる事は無いのを判った上での判断なのだろう。

 我が娘とはいえ、何と豪快な……

 しかし、これで備える事が出来る。


「よし、神楽、屋敷の全員を集めてくれ」


 俺の命令で、神楽は一礼して部屋を出て行く。

 このままだと、騎士連中は恐らく壊滅的被害を受けるだろう。

 あの偉そうにふんぞり返っていた騎士はどうでも良いが、他の騎士達に罪は無いのだから、助けてやりたい。

 

 そうして炎尚を先頭に、ジーナ達も部屋にやって来た。

 これから話す内容と行動について、厳重に口外しない事を命令し、速やかに行動を開始する事を告げた。



 さぁ、盛大に行こうじゃないか。




遂に100話到達しました!

でも、まだ続くんじゃよ


面白いなーとか続きを読みたいなーと思ったら、ブックマーク・評価してくれると、作者がすごく嬉しくなります


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ