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10年後の嘘

作者: くるみ

あなたはありきたりな嘘をたくさん私に言ったよね。


だけど、私はその嘘さえ愛しくてたまらなかった。




あなたの顔、細い足、匂い、全てが愛しくて愛しくて…



今までこんな気持ちになったことがないからそういう気持ちになれただけで人生の財産だって思えた。




あなたから半年に1回くるかこないかの連絡。



そんなあなたに夢中になっている私は周りからバカだと言われる。



けど、私は男の人からどんなに好きだと言われてもどんなに優しくされてもどんなに美味しいご飯に連れて行かれても男の人を心から好きになったことはない。


ちょっと好きかも?なんか愛されるっていいな。


この程度の気持ちにしかなったことがないのだ。



だから、彼と出会って見ているだけで幸せで、声が聞けるだけで幸せって思える。そして半年に1回くるかこないかの連絡だって飛び上がって走り回るくらい嬉しい気持ちになれたことは私にとって初めてのこと。




彼は言う。仕事が今本当に忙しいんだ。そして子供が1番大切だから。


わかってる。私のことなんてたまに思いつきで連絡するとすぐに会える都合の良い女としか思っていないってことも。

だからたまに見られる彼の顔が尚更切なくて、嬉しいのにとっても悲しくて。



この人の側にいられたらどんなに幸せなんだろう。



今までは普通に恋愛してきた。あんまり好きになれなかったばかりに短期的な恋愛だったけれど。


そのときも好きって気持ちは相手にあったけど、愛おしいとは思わなかったし、自分の話ばかり私はしていた。



彼の話なら何時間だって聞いていられるし、介護だって私がしたいと思えるのに。



バカだなぁ…




何度も言うけれど、彼からは半年に1回連絡くるかこないかだ。



その時は話をして体を重ねる。

私はバカだけどその時は幸せだ。



わかってる。そんなことをしても幸せにはなれないってこと。そして彼とは永遠に結ばれることもないってことも。



世間がいう幸せな恋愛は、妻子持ちの男性を好きになることではなく、私を好きって言ってくれる男性と付き合って、その人のことも私が好きになって、お互い相思相愛で愛し合い結婚するということ。





人生なんて一度きり。よく聞く言葉だが、私は都合の良い方にその言葉を受け入れる。



人生一度きりなんだ、なら好きなことして好きな人を愛そうと。




好きって心の底から思い、愛おしいと思える相手なんてそうそう現れるもんじゃない。



彼を忘れようと色々な男性と食事やデートをした。


けど誰一人としてビビッとくるものがなく、会えば会うほど嫌いになってめんどくさくなる。



私が悪いのか?このひねくれた性格のせいか?と

自問自答したが、答えはでなかった。


結局愛せる相手なんて人生で1人か2人現れるくらいで、その気持ちにさせてくれた相手を一方的に愛すことは自由なのではないかと思った。


別に家庭を壊したりストーカーをする訳じゃない。


だから半年に1回会うか会わないかの時間は楽しんだっていいのではないか。と…



もう開き直るしかない。


好きなもんは好きなんだ。



高校生の恋愛マンガみたいな言葉がズラズラと彼のことを想うと頭を駆け巡る。




彼は一度だけ私に言った。


10年後、結婚したいね。と…



私は嬉しくて泣いた。バカな涙だ。



嘘だ…嘘だって分かってるけど嬉しくて、嬉しくて



その時に彼が初めて自分の両親や家族について話してくれたり、3人の子供の写真や動画を見せてくれたりした。


今までそんな話は自らしたことなかった彼だったから、なぜだから心を開いてくれてる気がしてそれすら愛おしかった。



良きパパなんだなぁ〜。と




私は決めた。バカな決断。




普通に好きな人ができたら恋愛もするし、好きって気持ちを彼より超える人が現れたらその人と結婚もする。



だけど彼との約束はずっと心の宝物だから、それまで私が独身だったら彼がまた結婚しようって言ってくれることを待とうと。



バカな女だけど、愛されるより愛したい。




そしてこれからも今までどおり、働き、適度に恋愛もし、彼からくる半年に1回の連絡を待とう。




人を愛すこと。



この人の為ならなんでもできる。



こういう気持ちは人生の財産であることを。



私はその財産を得た。


バカな女の財産だと思われてもいい。



これからも彼の幸せをずっと願いつづける。




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