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オニコジ! ~鬼神覚醒編~  作者: ジョージ
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7

「八重!!」


 弥太郎が少女の名を叫ぶ。


 弥太郎の幼馴染である少女――八重は、柳村の子供達の投石によって頭を負傷し、声一つも上げずに気絶した。


 弥太郎の目から見ても、重症なのが見て取れた。


「弥太郎の動きが止まったぞ! ――よし、あの女に投石を集中させよ!」


 柳村のリーダー格の少年が、卑劣極まりない指示を出し、子供達がそれに従った。


 弥太郎が血相を変えて八重に走り寄った。


 その背中に幾つも小石がぶつけられるが、弥太郎は止まらない。


 弥太郎は焦っていた。


 八重は頭に石をぶつけられたにも関わらず、悲鳴の1つも上げなかったからだ。


 これは尋常じゃない。


 弥太郎は直感でそれを理解した。


「八重、しっかりしろ! 返事をしろ!」


 同じ村で育った弥太郎にとっては、家族同然の少女は、目をつむったままピクリとも動かない。


「長次! 村の人を呼んできて!!」


「あ、うん。解った!」


 流石に事態の重さを理解した長次は、2人の友人を引き連れ、霞村へ向かって行った。


 残った子供達は、倒れた八重を河原から外へとゆっくりと運搬する。


 そんな最中でも、柳村の子供達による投石は止まらないが、弥太郎が全力で庇いきった。


 小川からは、弥太郎を残して霞村の子供達は1人もいなくなった。


「はっはっはっはっはっ、これでこの小川は俺達柳村の遊び場だぜ!!」


 ここで勝利を確信したのか、リーダー格の少年は、そう叫んだ。


 その言葉に、弥太郎はゆっくりとその場から立ち上がる。


 弥太郎の肉体は震えていた。


 怒り、悲しみ、痛み、それら全てが混ざり合い、弥太郎の体に熱を与える。


 肉体に収まりきらなかったその熱が、陽炎となって弥太郎の体から解き放たれ、周囲の光景を歪ませる。


「許さない……!」


 怒りの言葉を放ち、岩山の頂上を振り返り、リーダー格の少年を睨み付ける。


「弥太郎、霞村の奴らは逃げ出したぞ! お前も逃げたらどうだ?」


 人を怒らせる事が何を意味するのか理解していないのか、リーダー格の少年は弥太郎をせせら笑った。


 その言葉に対し、弥太郎は小川に転がっていた小石を拾い上げ、全力投球という形で返答する。

 

 ――ヒュン!


 風切り音と共に、小石はリーダー格の少年の傍を通り抜け、小川を越え、対岸に存在する木へ向かう


 そして、――


 パーン!!


 甲高い音が、小川に響き渡った。


 弥太郎が投擲した小石が、木の幹に命中した音である。


 しかも、尚も木の幹の中で小石は高速回転し、小さなクレーターを作っていた。


 ――あんなものが自分の体に命中したら……。


 脳裏に不吉な想像が浮かんだ瞬間、柳村の少年達は浮足立った。


 その隙を見逃す弥太郎ではない。


 膝を曲げて脚に力を溜め、


「たあああああぁぁぁぁぁっ!!」


 裂帛の気合いと共に、弥太郎は空中高くへ跳躍した。


「許さんぞ、お前らあああああぁぁぁぁぁっ!!」


 怒涛の雄叫びを上げ、弥太郎は岩山に着地する。


 あまりの光景に、柳村の子供達は腰を抜かして震えあがった。


 弥太郎はそんな柳村の子供達に目もくれず、卑劣なリーダー各の少年の首根っこを掴み上げた。


「自分の足で帰るか、岩山から川に落とされて帰るか、どちらか選べ!」


 無情な仕打ちをされた側からすれば、極めて慈悲深い勧告を弥太郎は行った。


 彼の優しさが滲み出ているかのような行いである。


 そんな弥太郎に対し、リーダー格の少年は、――


「ぺっ」


 と、唾を吐いた。


 弥太郎の頬に、べったりと唾液が付く。


 その瞬間、――弥太郎は切れた。


 弥太郎は少年の体を持ち上げると、風切り音をたてて少年を、『本気』で放り投げた。


 ドボンっ、と派手な水音と白波が小川に広がった。

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