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プロローグ
遠い昔。
新潟県が『越後』と呼ばれていた時代。
そこに、『鬼』と呼ばれた1人の漢がいた。
六尺二寸(186㎝)の長身に、筋骨隆々たる肉体を持ち、身に纏うは漆黒の大鎧。
憤怒の形相を浮かべる鬼の顔の旗印を背負い、大槍を担いで幾多の戦場を駆け抜けた。
その漢、大器にして、自由きまま。
苛烈にして、友情に厚く。
決して欲に囚われず、義に生きた武将。
だが、彼は数々の戦で戦功を誇るも、上杉家の軍役帳にその名を記されず、家臣団の名簿にも存在しない武将である。
その男の名を、小島 貞興。
またの名を、鬼小島 弥太郎。