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第八話 友達? 敵?

やっとテンプレっぽい悪役を出すことができました。本日最初の投稿です。

今日は珍しく僕の方が早起きだ。隣を見ると、生まれたままの姿のアインが寝息をたてている。そんな姿を見ていると愛おしいという気持ちがあふれてくる。僕は昨日アインと・・・


そんなことを考えながらアインの髪をいじっていると、どうやら起こしてしまったみたいだ。


「おはよう、アイン」


「おはよう、刀哉」


お互い若干照れながら朝のあいさつをする。


「今日は早起きなのね。起きたら刀哉が私の髪をいじって遊んでいたから驚いちゃったわ」


「驚かせちゃったかな?アインのことが愛おしすぎて気づいたらいじっちゃってたよ。嫌だったかな?」


「意地悪言わないで、嫌なわけないじゃない。とても気持ちいいわ。好きな人と触れ合っていることがこんなにも素晴らしいものだとは思わなかったわ」


「僕もいつまでもこうしていたいけど、そろそろ準備しないと遅れてしまうから、そろそろ準備しようか」


「そうね、名残惜しいけど夜まで我慢するわ」


僕たちは朝の支度を済ませて学園に向かった。


アインは初めてだったためか、少し歩きづらそうにしている。


昨日のことを思い出して顔が熱くなるのがわかる。


学園の正門の前に見覚えのある影が2つある。


「唯、セレーネおはよう」


「刀哉君おはよう」


「刀哉様おはようございます」


するとセレーネがなにかに気づいたように


「そういうことですか。良かったですわね、アインさん?」


ちなみに僕とアインは指を絡めあって手を繋いでいる。いわゆる恋人繋ぎだ。


「え!えっと・・」


「みなまで言わなくても結構ですわ!昨日は刀哉様にたっぷりと慰めてもらったみたいですし、今度の休みは刀哉様を貸してくださいますよね?」


やっぱりセレーネを怒せると大変なことになると思う。今もセレーネの背後に般若がみえる。


「ええ。そうね、私は部屋が同じで普段独占させてもらっているから問題ないわ」


アインもたじたじだ。正直今の状態のセレーネの相手はしたくない。


「じゃあその次の休日は僕とデートね」


僕としてもみんなに優劣をつけるつもりもないから問題ない。


「ほらほら、正門で止まっていると邪魔だし遅刻しちゃうよ」


そうして教室に入ると、いかにも軽そうな男子生徒が声をかけてきた。


「よう、朝から美女に囲まれてうらやましいねえ。あやからせてもらいたいもんだ」


「えっと、君は誰だったかな?」


「おっと、俺としたことが。俺は鳳大地。総合ランクCのギリギリAクラスの平平凡凡さ!」


「それで、その鳳君が僕になにか用かな?」


「おうさ。学園中が昨日のレッドドラゴンの話しでもちきりだぜ。Aクラスの1年生4人のチームが倒したってな。あと俺のことは大地って呼んでくれ。家名はあまり好きじゃないんだ」


良かった。僕の力のことはばれていないみたいだ。学園長がなんとかしてくれるって言っていたし、ここは適当にごまかしておくか。


「さあ僕に言われても、あの時は避難しそびれて、隠れていたからね」


「真実は学園長と当事者だけが知っているってわけか。まあいいさ、刀哉といると退屈しなさそうだからな、これからよろしく頼むよ」


僕が学園に入学して、初めて男子とまともな会話できたことに猛烈に感動していると


「ふん!そんなランクD風情がレッドドラゴンを倒したわけがないだろう。大方、そちらの女性たちの影に隠れていただけだろう。ところでどうだい?そんな冴えない男なんて放っておいて、僕のチームにはいらないかい?」


アイン達は不機嫌さを隠そうともせず、その男にくってかかる。


「あんた誰よ!あと人の彼氏のことを悪く言うのはやめてもらえる?あなたなんかと比べるのもおこがましいほどいい男よ!」


罵声を浴びせられているにもかかわらず、どこ吹く風だ。


「僕としたことが、名乗りもせずに失礼。名門海上家の長男、海上海斗、総合ランクAのエリートさ。君たちのような女性には僕のような男がふさわしい。さあそこの冴えない庶民!どきたまえ!」


確かにみてくれはイケメンといって差し支えない。さらに海上家といえば幾人も優秀な攻略者を輩出している名門だ。とはいえ、女性なら誰でも自分になびくとでも思っているのだろうか?今回ばかりはさすがの僕もカチンときた。


「なぜ僕がどかないといけないんだい?彼女たちは全員僕の恋人だよ。海上君に指図される理由はないね。みんな行こうか?」


こうでも言って移動しなければ後ろの3人が今にもデバイスを展開しそうだった。


こんなきれいどころで、実力を持った女性を3人も恋人にしているんだ。それもランクDの僕が。


こういう状況になることも、もちろん予想はしていたが、いざその時になるとやっぱり悔しいな。僕だけならなんてことはない。しかし、彼女たちに嫌な思いをさせたくはなかった。


「ごめんね。僕のランクが低いせいで」


申し訳なくて、情けなくて、僕がそう言うと。


「あんなの気にしなくていいわよ。大切なのは私たちの気持ちでしょ?あなたは最高のパートナーなんだから。自信を持ちなさい!」


「そうだよ。僕たちは僕たちの意思で刀哉君といるんだから。それに最近の海上家って良い噂きかないよ?」


「そうです。あんな有象無象のことなんて気にしないでくださいな。ただ唯さんの言っていることが確かなのでしたら、少し警戒する必要がありそうですわね」


情けない。他人のことなんてどうだっていいじゃないか。彼女たちが笑顔でいられることが大切だというのに。この笑顔を守っていこうと改めて誓った。


「刀哉は本当に愛されているんだな。俺もそんな彼女がほしいぜ!」


いい雰囲気だったのになんだかだいなしだ。アインも同じことを思ったみたいだ。


「ちょっと!せっかくいい雰囲気だったのに邪魔しないでよ!」


「おお怖い怖い。悪かったって、そう怖い顔するなよ」


「アインそれぐらいにしなよ。この学園にきて初めてまともに会話した男子なんだ。ちょっとおおめにみてあげて」


「刀哉がそう言うなら。良かったわね、今回は刀哉に免じて許してあげる。でも友達はもう少し選んだ方が良いと思うわよ?こいつ、さっきのやつよりはましってぐらいじゃない?」


「それはひどくないか?お姫様でも言って良いことと悪いことがあるぞ。さっきのとやつと比べられるとたいていのやつがましになっちまうじゃねえか」


それにしても海上海斗は言われたい放題だな。自業自得だけど。


「まあまあ、僕は大地と友達としてやっていきたいと思ってるんだから。これからよろしくね」


「彼氏の方は分かってるじゃないか。おっとそろそろ授業だ」


僕たちも慌てて席に着いた。


この時の僕は、海上海斗が僕に向けてくる憎しみの視線に全く気付いていなかった。



次回は戦闘までいけたらと思います。次の投稿は昼頃になると思います。

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