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第一話:パトカー

「おまわりさん、パトカーから出てきてくれよ」

 山口春哉26歳は苦しそうに言った。

「通り過ぎないでくれよ。おまわりさん。パトカーをとめて、ドアを開けて飛び出してきて、俺に手錠をはめてくれよ」

 春哉は、圧縮してゆく空気のようなものが胸の中に存在していて、それが心臓を締めつけている――そんな苦しさを味わっていた。胸から首筋にかけて筋肉が張っており、息が苦しい。心臓が今にも止まってしまいそうな焦燥感がある。頭も重い。春哉は自分の脳の姿をイメージすることがよくある。脳は、炭のように真っ黒で、手にとってみると腐った藻のように湿っており、ドブ川のような真っ黒な水が滴り落ちる――そんなイメージだ。自分の脳は、真っ黒で腐敗しており、湿っていながら乾燥していて、暴走しているように活発だが、機能は停止している。春哉は自分の脳を、機能を停止したが、それでも動き続ける暗黒物体とイメージしていた。

 深夜十一時五分。春哉の日課の夜の散歩。

 地元民達から「子供通り」と呼ばれる道路の歩道を、春哉は歩いていた。

 ガードレール越しに、春哉の横を走り去ってゆくパトカー。夜の景色に、パトカーの赤ランプと、白と黒で塗り分けられた車体はよく映える。パトカーには威厳があり、圧迫感がある。だが、とまってくれない。春哉を不審人物と見て職務質問をしてくることはない。春哉を無視して、走り去ってゆく。

 春哉はたまらずに独り言を言った。

「早く俺を捕まえてくれ!このままじゃ俺、何かやっちゃうよ!その前に、俺を逮捕してくれ!手錠をはめてくれ!」

 パトカーは小さくなってゆき、やがて左折して消えていった。できれば、あの威厳ある車体に乗せてもらいたかった。手錠という威厳ある拘束具で、物理的に拘束されたかった。威厳ある警察官達に、君の人生は終わったんだと、告げてもらいたかった。

 春哉は、13歳以上の女性に欲情できない。すなわち、小学生の女児にしか、性的興奮を得られない。

 女児という呼称には、12歳未満の女性を女性としてではなく、子供として扱うという意味がこめられているように思う。だが、春哉は女子小学生を、女児という言葉では実感できない。「大変色っぽい、成熟した女性達」という表現のほうが、春哉は女子小学生を実感できる。

 春哉の精神の城郭には、女子小学生達は、この世でもっとも色っぽい女性達として招かれる。色っぽくてしかたがない。例えば、20歳で、スタイル抜群の女性がドレスを着て、スリットから太ももを覗かせたとき、男性達はその女性に色っぽさを感じるだろう。春哉の場合、それと同じ興奮や色っぽさへの尊敬を、女子小学生の短パンの太ももに感じる。その太ももは女児ではなく、女性だ。色っぽい女性の太ももなのだ、春哉にとっては。

 色っぽくてしかたがないのだ。子供という言葉では、とても実感できない。女子小学生達は、成熟した大人の色気を発して、春哉の性的領域を刺激する。

 それが、春哉にとっては、残酷な色気だ。蒸し返したくない興奮を蒸し返す。こんなもの、知りたくなかったと思う。女子小学生が発する桁外れの色気になど、気付きたくなかった。燦燦と輝く圧倒的な色気が、この世にあるなどとは、露知らずに生きていたかった。

 女子小学生への憧憬と、心の中に広がるファンタジー。それらは、春哉の心の庭の中で、漠然とした砂漠から、早急に実現すべき、具体的なラブホテルへと成長している。

 苦しい。朝起きてから、アルバイトの最中、家に帰って寝る時まで、果てしないファンタジーが、心の庭を暴れまわって苦しい。

 ファンタジーはやがて美男美女となり、あるいは、醜く生まれながらも勇気の一歩を踏み出す兄妹として、心の庭を飛び出してゆくだろう。馬に乗って、疾走するのだ。二人だけでなく、多人数のパーティとなることもきっとある。

 これは、すでに十分な速度で広がっている春哉のファンタジーが、もはやとめようもないほど、加速されてゆくのを暗示してはいないか。


なんだかよくわからない一話ですね。書きなぐりでいこうと思いますので、素人の小説と割り切って読んでいただければ幸いです〜。

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