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【2】うどんと魚と男と女(後編)

書くこと特に無いんで早く本文読んで下さい。(←失礼ですね。)

いくら他人から鈍いと指摘される村野も、今の女の視線を辿れば相手の考えている事など手に取る様にわかる。


もしかしてこの女…、うどん狙いか!?UFO焼きうどんは一週間に一度のお楽しみであり、至福のひと時だ。一口たりとも他人に食われる訳にはいかん!うどんは俺が食う!絶対に!

「まぁいいや、頂きま〜す」

そんな思いとは裏腹に正面から村野の隣に、ポジション移動しつつ愛内は食事を口に運び始める。…間違いない!(←まだ現役だ!)食いながらずっと焼きうどん見てるし!…しかしこのまま迂闊に逃げてしまうと、もし相手に食う気が無かった場合、変に刺激してしまいノリで食われてしまう可能性がある…ここは慎重に行動しよう。要は食われる前に食えば良いんだ。

…簡単な事じゃないか、俺はうどん一皿、敵は草と焼き魚の二品、焼き魚を食べ慣れていない今時(←なのか!?)の女子がそれを食べるのにはそれなりの時間を要するはずだ。

その間に焼きうどんをかき込んで、作戦完了!…よし、完封勝利だ。

では早速作戦実行…って、あれ?さっきまであった焼き魚が無い…何故だ?

食べ慣れている人でもここまで早くは食べられない筈だ。

ま、まさか奴、現代女子には珍しい『お魚大好きッ娘☆』か!?これは盲点だった、まさか相手が『お魚大好きッ娘☆』だったとは…。作戦変更を急がなければ!


……ちなみに、俺は妄想壁ではない。


男はしばらくの間状況観察をしていたが、そうする内にそこにあるハズの物が無い事に気が付いた。いや、気が付いてしまった…と言うのが正しいのか。


(魚の骨と皮が…無い?)…。


なんと!こいつはやってしまったのか!?あの伝説の食い方を!…く、くそっ、流石の俺も動揺を隠しきれん!まさかあれを実際に実行する強者が現代に生きているとは!伝説の食い方って何?だって!?そ、そんなモンは知らん!親に聞け!俺は知らんぞ!


…い、いつまでも動揺している俺では無い、さっさと次の作戦を考えてしまおう。しかし敵の食事があと草だけになってしまった以上、変に作戦を立てるよりも相手よりも早く食べる事に専念した方が良いかもしれない。

紛いなりにも俺は男、奴は女だ。食欲も胃袋も負ける気は全くない。草は俺も食べる事を考えて多めに作ってあるし、…この勝負もらった!


そういえば今まで全く食事に手を付けてなかった事に気付きつつ、村野は焼きうどんを食べ始める。ペースは早い。

いつもの様に味わって食べると危険なので、本末転倒な気もするが素早く食べ進めていく。…勝利を信じて。

しかし愛内も早い。

「うん、美味しい。」などと、間に小言を挟みながらも……っていうか早い!うわ、スゲェなぁ〜これ。もう『UFO焼きうどん』狙いなの丸わかり!って感じ!?

横で村野の動きが止まる。凍りつく。気付いてしまったのだろう、この堤防下で繰り広げられている、世界への挑戦(?)に。

村野は瞬時に悟る。無理だ、と。そして頭の中には

「逃げろ!」

と天からの声が響きわたる。

食卓の上から緑が無くなり愛内が村野に視線を移すのと、村野がうどんの入った皿を手に取るのは同時で、その顔からは明らかに焦りが読み取れる。

うどんを守る様にその手に抱えながら、男は立ち上がり、走り出そうと姿勢を低くする。その直後、村野は重心を崩していた。


「うわ、ととっ」

愛内に押し倒される様に倒れ、そのまま地面に横になる村野。

いてて…って下は草だからそんなに痛くはないんだが、つい反射的にそう言ってしまう。嘘をついた訳では無い。

焼きうどんは…なんとか無事の様だ。あの非常時でも焼きうどんを本能的に守ったのだから俺の食欲も大したものだ。

…しかしその努力もコイツのせいで報われないだろう。悪夢だ。

「ねえ、はんぶんこしよう?」

人を見下ろしながら笑顔で脅迫する愛内。…もう終わりだ。一度逃げてしまい、更に捕まったのにこの条件を拒むなんて惨めな事俺にはできない。

返事もしてないのに奴は俺の←(強調)『UFO焼きうどん』を何のためらいもなく、半分以上を目の前で美味しそうに食べてしまった。

…しかも俺に乗ったままで。



ー次回予告(愛内作)ー

夏休み初日から悪の陰謀により村君の怒りを買ってしまった愛内!しかし彼女はそんな逆境にもめげず、その身に刻まれている運命に立ち向かっていく。

次回、UFO焼きうどん(大盛り) お楽しみに!


ー次回予告(村野作)ー

恩という言葉を知らない悪魔に生きる喜びすらも奪われてしまった村野。人を信じる心を忘れてしまった彼を救うのも又人なのか。

次回、村野と普通の日々 お楽しみに!

暇なら感想とか書いちゃっても良いんですよー(←失礼ですね。)

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