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究剣極化  作者: 啓上秋
2/2

2話「入学試験」

「これより入学試験を開始する!」


 試験を受ける人々が学園の校庭に集められる。

 

 城のような学園に、噴水が佇む校庭、とても剣術学園とは思えない優雅さだ。

 しかし、それのせいで受験者達が噴水を間に挟んで縦に二分されているのはどうなのかとノアは思った。


 どうでもいい事を考えていると、受験者達が、指示に従って移動を始めた。

 事前に説明された通り試験はいくつかのグループに分かれて行われる。

 まず座学試験から、そして実技試験、この二つを昼までに行い、試験が終了する。


 とりあえず移動しなければ話が始まらないので、指定されたグループの列に並び、全員集まったタイミングで移動が始まった。


 校庭を出て座学試験の教室に案内された後、受験受付で貰った番号札に書かれている番号の席に座り試験の開始を待つ。

 

 机には試験用紙が裏返しで置かれてあった。


 全員が着席したのを確認すると教師が試験の開始を宣言する。


 「それでは座学試験を開始する、時間は三十分、カンニングなどの不正行為は禁止だ、以上、始め!」


 その合図ともに試験用紙をひっくり返し、名前を書き一問目に望む。

 特に問題なく問題を解いていき最終問題も解答を終える。


 時間になり試験用紙を教師が回収し、次の試験会場に向かう。



 

 ――訓練場に着き試験が始まる。

 実技試験は個人で行われ他人からは実力が測れない仕組みになっていて、先程の校庭よりも広い訓練場にいくつかの箱型の部屋が用意されていてその中で一人ずつ、試験官との戦いが行われる。


 次々と試験が行われいよいよ名前が呼ばれた。


「次、ノア・オルディネール、入れ!」


  部屋に入ると試験官と審判が一人ずつおり、ノアの実力を測るため待ち構えていた。


「御託はいらん、さっそく試験を始めるぞ」


「ちょっと待ってください、少し補足があります」


 審判から試験官に何かを伝えているようだった。


「なるほど……分かった」


 審判と話した後、こちらに質問を投げかけてきた。


「貴様は自前の剣があると?」


「はい?」


「……その様子だと分かっていないようだな、なら私から説明してやる、本来、剣は騎士団か、学園に入学した生徒しか持てないが、この試験では学園から木剣を貸し出して戦ってもらう、そのため受験者は剣の練習などろくにしてない状態で臨み、試験官に勝てないのが普通だ、その中で見込みのある人間だけが入学を許される」


「じゃあ俺は自前の剣がある不審者って思われてるってことですか?」


「いや、確かに剣は帝国が管理しているし、それが盗まれて反逆の刃にいくつか渡ってしまっている事も事実だが、貴様は剣帝からのお許しを得てるようだからな不審者ではない、ただ剣を持ってきているかの確認だ」


「えぇと……持ってきてないですね」


「何? 剣があるからわざわざ剣帝から審判に言伝があったのではないのか?」


 確かに剣神の称号を持つ者なら剣をすでに持っている、だが先輩は前日こう言っていたが――、


『真剣でやる試験じゃないし、木剣は貸してもらえるから心配するな、それに騎士団でも剣神でもないのに剣を持ってたらおかしいだろ』 


 と、何か伝達ミスがあったのかも知れないがどうする事もできないので木剣を貸してもらうしかないだろう。


「何か伝達ミスがあったのかも知れないので今日は剣を貸して下さい」


「……分かった、審判、剣を持ってこい」


「はい!」


 木剣を審判から受け取り、準備を完了する。


「まあ、そもそも、木剣での試験だしな、多分入学後の話がどこかで試験時の話になったのだろうな、それにしては気が早いが……さて、試験を始めるぞ」


「はい、よろしくお願いします」


 互いに木剣を抜き向かい合う、両者距離を取り間合いをはかりながらも、どこか余裕そうな試験官は言う。


「王宮使用人の力見せてもらうぞ」


 勝手に王宮使用人なっている事やそもそも使用人が剣を持つのも意味が分からないが、とりあえずスルー。


「そうですか……で? 話してる間に攻撃しても構いませんか?」


「構わん、まあ私に攻撃を当てれるな――」 


「真向斬り」


 高速で移動し剣を真上から振り下ろし一撃を叩き込む。

 試験官はギリギリで攻撃を剣でガードしたが、あまりの剣の力強さに試験官はそのまま後ろに倒れ込んだ。


 それを見た審判は慌てて勝敗を判定する。


「勝者、ノア・オルディネール!」


 試験官が起き上がり、疑問を口にする。


「お前……何者だ?」


「さぁ? 王宮使用人らしいですよ」


「フッ……よく分からないが、ノア・オルディネール私から一言言わせてくれ」


「何ですか?」


「この実技試験、合格だ」


「ありがとございます」


 それだけ言い残し場を後にした。

 



 ――全員の試験が終了し、また同じように校庭に集められた。


「全ての試験が終了した、合否は後日発表する、以上、解散!」


 試験が終了し、特にやることもないのでその足で学園を出て剣神会に向かった。




 ――王宮に戻り剣神会の扉を開けると、先輩が待ってたぞと言わんばかりの顔をして扉の前に立っていた。


「待ってたぞ、後輩」


「本当に言ったよ……」


 思わず口に出してしまった。


「なんだ? 心から待ってたぞ、それが悪いか?」


「いえ……別に」


「そうか、で? 手応えはあったか?」


「まあ、両方いい結果だと思いますけど……それは置いといて、また報連相ができてないですよ先輩」


「何の話だ?」


「今日の実技試験の話ですよ」


「詳しく聞かせてくれ」


「詳しいことはエシャレカさんにも聞かないと分からないと思いますよ」


「そうか、なら剣帝の間に行くか」




 ――剣帝の間に辿り着き、剣帝と謁見する。


「やぁ、入学試験は無事終わったみたいだね」


「はい、なんとか」


「エシャレカ、後輩が聞きたいことがあるらしい」


 相変わらず先輩は剣帝のことも呼び捨てなのは大丈夫なのかと思いながらも話を進める。


「なんだい? 遠慮なく聞いてごらん?」


「じゃあ遠慮なく、実技試験の時に剣を持ってきていると剣帝からの言伝があったと試験官から言われたんですよ」


 そう言われた剣帝は少し首を傾げた後……。


「あぁ! 確かに言伝はしたね、君が入学した時に自前の剣を使えるように、多分どこかで手違いがあって試験時に持ってくると思われたんだろうね」


「なるほど……なら王宮使用人というのは?」


「君達剣神はボクの護衛が主な任務、だから王宮に皆住んでいるし、実質使用人みたいなものかなと、それと剣を持っているのだって使用人なら自分の身を自分で守ってもらうためとかで誤魔化しといたよ」


 無茶苦茶な理論な気がするが、とりあえずは良しとする。


「俺が剣神だとは学園に伝えているんですか?」


「反逆の刃は入学生徒の中にいるかも、とはいえ、一応君の身分は学園にも隠す方針だ、それに反逆の刃が試験に失敗して入学できなかったら、剣神なのに学園に入学してる君の立場も危ういしね」


 剣神だと学園に入学するのが問題だと言わんばかりの発言に衝撃を受ける。


「剣神だと何か問題でもあるんですか?」


「まあ問題といえば問題だよね、だって強すぎてすぐ卒業しちゃうし剣王の座も確定で取れるしね」


 確かに剣神が学園に入学できるとなると、学園システムの意味が壊れてしまう。

 ならば、もし剣神が入学したとバレたなら大問題なのは明白だ。


「まあでも安心しなよ、もしバレてもボクが何とかする、でもちゃんと実力を隠して反逆の刃に気取られないようにするんだよ? それに剣神の称号ばっかり一人歩きして、君達の顔は全然知られてないから多分大丈夫さ」


 若干貶された気がするが、気にしないでおこう。


「分かりました……が、学園に言伝を伝えるのはいいですけど、こっちにも事前に教えてほしかったです、そうすれば混乱を生まなくてすんだのに」


「確かに君宛てにも伝えておくべきだったね、すまない」


「違うぞエシャレカ」


 剣帝からの謝罪を受け取り、もう話すこともないので退室しようとしたタイミングで、先輩が何かを否定した。


「エシャレカ、こういう時は、テヘペロだ」


 先輩が意味のわからないことを言い始めたので急いで退室することに決めたがもう遅かった。


「なるほど……で、では、て……てへぺろ……」


「恥ずかしいなら無理しなくて良いですよ……」


「問題ないよ、誠心誠意謝罪したいからね」


「いや……それ謝罪になってないし、多分もう古いですよ」


「何!? テヘペロはもう古かったのか……いやでも待てよ、確かに俺が大人になった頃にはもう古くなってたかも……」


 先輩は大分ショックを受けているようだった。


「コガネ!! このボクを騙したのか!?」


「いや? 騙してないただ、可愛いかなって……」


「かわっ……かわかわ……いい!? そんな……コガネ、ボクのことそんなに好きだったんだ……」


「何でエシャレカは頬を染めているんだ……」


 先輩とエシャレカさんに若干呆れつつも先輩を引きずって退室する。




 ――合否発表当日。


 どこか特定の場所に集まるのではなく手紙で合否の発表が行われる今日この日、手紙を剣帝から直接手渡しでもらい、開封する。


 『ノア・オルディネールを剣術学園に入学することを許可する。』


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