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一二六の血脈――玉座は肉体に宿る

日本には、公式の歴史には決して記されないもう一つの系譜が存在する。

それは「思想」でも「宗教」でもない。
肉体そのものを証拠とする血の体系だった。

古代より、ある一族は信じ続けてきた。
「統治の正当性は、制度ではなく血に宿る」
「血を薄めることは、世界を偽ることだ」と。

彼らは外部との交配を拒絶し、
兄妹、叔父と姪、母と子――
許されぬ関係を“儀式”として正当化しながら、
血の濃度だけを追い求めてきた。

そこでは、
奇形は穢れではなく徴(しるし)であり、
先天異常は失敗ではなく選別の結果であり、
生き残った身体のみが「次代」を名乗る資格を持つ。

現代。
象徴制度が形骸化し、
DNA、医療、戸籍、倫理が社会を覆う時代に、
公安の水面下で不可解な事件が連なり始める。

消える戸籍。
存在しないはずの出生記録。
医療機関から持ち出された遺伝子データ。
そして、戦前の史料庫から発見される――
「一二六代、連続して存在した“別の血統”の記録」。

それらの文書は語る。
「表の象徴は影であり、
 真の系譜は常に闇の中で生き延びてきた」と。

捜査の過程で明らかになるのは、
彼らが国家を転覆させようとしている理由ではない。
なぜ、ここまでして“血”に執着するのかという、
人間の根源的な欲望そのものだった。

この物語は、
クーデターの話ではない。
正統性の奪い合いでもない。

「どの身体が、この国を象徴するに値するのか」
という、
決して口にしてはならない問いを突きつける
倒錯と血のサスペンスミステリーである。
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