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一二六の血脈――玉座は肉体に宿る

最終エピソード掲載日:2026/01/07
日本には、公式の歴史には決して記されないもう一つの系譜が存在する。

それは「思想」でも「宗教」でもない。
肉体そのものを証拠とする血の体系だった。

古代より、ある一族は信じ続けてきた。
「統治の正当性は、制度ではなく血に宿る」
「血を薄めることは、世界を偽ることだ」と。

彼らは外部との交配を拒絶し、
兄妹、叔父と姪、母と子――
許されぬ関係を“儀式”として正当化しながら、
血の濃度だけを追い求めてきた。

そこでは、
奇形は穢れではなく徴(しるし)であり、
先天異常は失敗ではなく選別の結果であり、
生き残った身体のみが「次代」を名乗る資格を持つ。

現代。
象徴制度が形骸化し、
DNA、医療、戸籍、倫理が社会を覆う時代に、
公安の水面下で不可解な事件が連なり始める。

消える戸籍。
存在しないはずの出生記録。
医療機関から持ち出された遺伝子データ。
そして、戦前の史料庫から発見される――
「一二六代、連続して存在した“別の血統”の記録」。

それらの文書は語る。
「表の象徴は影であり、
 真の系譜は常に闇の中で生き延びてきた」と。

捜査の過程で明らかになるのは、
彼らが国家を転覆させようとしている理由ではない。
なぜ、ここまでして“血”に執着するのかという、
人間の根源的な欲望そのものだった。

この物語は、
クーデターの話ではない。
正統性の奪い合いでもない。

「どの身体が、この国を象徴するに値するのか」
という、
決して口にしてはならない問いを突きつける
倒錯と血のサスペンスミステリーである。
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