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硬球が直撃

俺は授業を受けながら、弥生ちゃんを救う手をずっと考えていた。


①トラック

②鉄骨

③欄干の崩落

④通り魔


・違う道を通ってもらう ×

・引き留めて、時間をずらすか ×

両方ダメだった。


前回は学校から出た瞬間にダメだったから。

学校から出さなければだいじょぶかも。


今回も前回と同じ作戦を取ろう。

……


当日、俺は帰り際、弥生ちゃんに声をかけた。


「もしかして、弥生ちゃん、SCって作家好きだったりする」

と俺は言った。


「SCって、あの汚部屋転生とか、お笑い芸人の転生とか、老兵300人で1万の軍隊相手に戦うとか、無茶な設定が好きな作家さん?」

と弥生ちゃんは言った。


よし、来た。


「そうそう。無茶な設定で、転生チートとか絶対にしてくれない塩対応の神様がよく出る作家さん」

と俺は言った。


「あの人の作品、ほんとオカシイよね。なんか常に予想を裏切るというか、予想を裏切るのが当たり前的な」

と弥生ちゃんは言った。


「結構読んでるの?」

と俺は言った。


「投稿サイトに出てるのは全部読んだ」

と弥生ちゃんは言った。


「俺、紙版もコンプリートしてるよ。まだだったら今度貸そうか?」

と俺は言った。


「めっちゃウレシイ。絶対だよ」

と弥生ちゃんは言った。


よし成功。


「今日新刊が出るんだ」

と俺は言った。


「いいな」

と弥生ちゃんは羨ましそうに言った。


「見終わったら貸すよ」

と俺は快諾した。


「約束だよ」

と弥生ちゃんは笑顔で言った。


「うん。弥生ちゃん、ひょっとして、今日急ぎのようあったりする?」

と俺は言った。


「えぇっなんでわかるの?」

と弥生ちゃんは言った。


「なんか、最近すごい勘がするどくって、うん。たぶんね。その急ぎのよう。もう必要なかったりするよ」

と俺は言った。


「さすがに、それはないでしょ」

と弥生ちゃんは言った。


「俺……勘すごく当たるから、一回確認取ってみてよ。

外れてたら、明日昼飯おごるわ。

もし俺が正解だったら、30分で良いから、学校中でSCの話しよ。

同級生で初めてなんだよ。

SCのファンの子と話すの」

と俺は言った。


「面白いね。わかった。忘れないでよ。明日の昼ご飯」

と弥生ちゃんは、メッセージを送る。

1分後メッセージが届く。

(ちょうど連絡しようとしてた。今日はいつも通りでいいよ)


弥生ちゃんは驚く。

「すごい。高元君。正解」


俺はガッツポーズをとる。

「じゃあ。約束通り30分ね。あっちょっと待って」

と俺はいい、自販機に走る。


「これ好きだったでしょ。昨日のお弁当すごく美味しくってみんな喜んでたよ」

と元気印のおしるこを弥生ちゃんに渡す。


「それはよかった。私が好きな飲み物覚えてくれてたんだ」

と弥生ちゃんは言った。


「俺もこれ好きだから、あっちょっと貸して」

と俺は弥生ちゃんのおしるこを振り、缶の蓋を開ける。

(ぷしゅ)


「ありがとう。ちょっと手をケガして、開けにくかったから、助かる。それも勘?」

と弥生ちゃんは言った。


「そうだよ。勘だよ。なんか最近当るのよ」

と俺は言った。

自分で言ってて、ちょっとだけ虚しかった。


それから、俺たちは30分ほど話をした。

もうこれくらいの時間ならだいじょぶだろうと、

俺たちは学校を出ようとした瞬間。

(かーん。どーん)

校庭のネットの隙間から硬球が飛んできて、弥生ちゃんの頭を直撃して、転倒。

弥生ちゃんはそのまま、動かなくなった。


「弥生ちゃん」

俺は叫ぶ。

俺は弥生ちゃんの近くにかけより、抱き起したいのに、怖くて抱き起せずにいる。


俺は叫ぶ。

「誰か救急車を」


5分後救急車が到着する。

弥生ちゃんは救急車に搬送された。


そして弥生ちゃんはまた目を閉じた。


大好きな女の子が、目の前で5回も亡くなる。そんな経験をした男って俺だけじゃないのか?

俺はそう思った。

強烈な絶望が俺を支配した。

不完全

不完全

不完全

俺はそう思った。

不完全だからいけない。

もし、俺がチート級の力を持っていたら、これを防げた。

そう考えた。

チート。

あぁそうか。だからテンプレと言われようが、チート能力系の小説が多いんだ。

悲しいことが見たくないから。

でも。

悲しい話を見なかったら、人生に悲しい事はなくなるのか?

いや。

そうじゃない。

今考えるべきは、そうじゃないんだ。

不完全でも、できることはある。

それは俺が一番知ってるじゃないか。

SCのキャラクターは、常にチートと無縁。

むしろモブのようなステータスで、困難を乗り越えていく。

俺はそれに憧れたんじゃないか。

こういうやり方なら、俺でも勝てるかもしれない。


そうだ。

こんな変な展開をそもそも自分一人で考えるのが、おかしかったんだ。

だれだ。だれに相談する。

父さん、母さん、いや違う。

餅屋は餅屋。

おかしな世界はあの人しかいない。


そう考えて、俺はある決断をした。


しかし、果たして連絡が取れるのか?

そして連絡を取ったとしても、この限られた時間で対応を取ってもらえるのか?

すべては賭けだ。

でも、あの人なら、こんな面白い話。スルーするわけがない。

俺はそうも思った。


俺は少しだけ立ち直ることができた。

問題は、どう伝えるかだ。

困ってますか?

そうじゃない。

困ってます。

なんか言った日には、

それがどうした?

で終わるに決まってる。


それより、

髪喰いさまの話とハゲ戻りと異世界転職相談所の話だな。

もしかしたら、髪喰いさまの事も、ハゲ戻りの事も、異世界転職相談所も詳しいかもしれない。

それに、きっと不可解な話には興味を持つはずだ。


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